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小ネタ 咲「京ちゃんが悪いんだよ…」 ザク…ザク… 京太郎「やめてくれ…咲、俺が悪かった」 咲「ダメだよ、京ちゃん。私はやめないからね」 コン…パカ…コン…パカ 京太郎「やめてくれ…それ以上は…」 咲「駄目。末原さんなんかに手を出したからだよ」 ぐちょ…グチょ… 京太郎「咲!」 咲「今更、遅いよ。これで終わりだから」 じゅわぁぁぁあ… 京太郎「ああ…終わった」 ピンポーン 咲「きたよ、京ちゃん。泥棒猫が」 ガチャ… 恭子「あんたらなにしてんの?」 咲「お好み焼きをやいてみたんです」ニコニコ 京太郎「先輩に作ってもらうための材料が…」うるうる 恭子「…あほちゃう?」 カン!
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咲「ロン、8000、ごめんね京ちゃん」 優希「ロンだじぇ! 6300!」 和「須賀君それロンです。12000、あ、飛ばしちゃいました」 京太郎「」 久「いやー、これは酷いわね」 まこ「狙ってもいないのに狙い撃ちにされるとかある意味能力なんじゃないかの?」 京太郎「うう、毎日打ってるのに一度も勝てない…」 久「あ、落ち込みだした」 咲「きょ、京ちゃん、元気出して。ほら、練習すればもっと上手くなるよ」 まこ「そうじゃぞ。最初からうまい奴なんておらん。精進あるのみじゃ」 京太郎「ネット麻雀なら勝率半々くらいだから才能あるかもって思ってたのに」 優希「犬がなんか言ってるじぇ」 和「凄いですね須賀君。寝言を起きてても言えるんですね」 京太郎「」 咲「ふ、二人とも言いすぎだよ! 確かに京ちゃん牌効率全く分かってないし危険牌平然と切ってくるし素人だってもっと考えて打つと思うけど京ちゃんだって頑張ってるん だから!」 京太郎「」 久「咲、あなたが一番追い込んでるわよ」 自宅 京太郎「……」カチカチ 京太郎「……」カチカチ 京太郎「……! ロン! しかも四暗刻!」カチ 京太郎「ハハ! やっぱりネットなら勝てる! しかも今回は断トツ!」 京太郎「…なんで実際には勝てないんだろう?」 京太郎「……いかん、いかんぞ須賀京太郎! このままでは唯一の男子ポジションにも関わらずいつのまにか存在を忘れられた空気みたいな扱いを受ける!」 京太郎「それだけは回避しなくては!」 京太郎「よし、そもそもの原因を考えてみよう」 「ネットなら勝てるのに部の皆相手じゃ勝てない。この違いは何だ?」 「和は愛用のぬいぐるみを抱き抱える事でネットと同じくらい強くなった」 「なら和みたいにエトペンでも持ってみるか?」 「……和のエトペン……」グヘヘ 「ハッ、駄目だ妄想してる場合じゃない」 「大体俺にお気に入りの縫いぐるみなんてないし」 「何でリアルで勝てないかを考えないと」 「……もっと対人戦の経験を積むか。そういや染谷先輩の実家って雀荘だったな」 「明日は休みだし行ってみるか」 休日 ザワザワ 京太郎「ここか」 キィ、バタン イラッシャイマセー 京太郎(うお! やばっメイド可愛い! あの子なんて和くらいの戦闘力か?) あっちの子は……咲くらいか…)フッ 京太郎(って違う! 今日は真剣に麻雀しに来たんだった!) 京太郎(えーと1人だし何処か空いてるとこは) 京太郎(お、あそこが空いているな) 咲「うーーん! さっきのパスタおいしかったね原村さん!」 和「ええ、宮永さんが頬にソースつけても気付かないくらいおいしかったですね」 咲「あ、あれは忘れてよ!?」 和「フフッ」 咲「んもう。でも偶然だね、二人とも偶々買い物の途中で会うなんて」 和「ええ本当。『偶然』ですね……」フフフ 咲「? 何か言った?」 和「いいえ何でも」フフフ 咲「そうだ! せっかくだしこの後麻雀しない?」 和「いいですね。この近くで打てるところと言うと……染谷先輩の実家の雀荘がありますね」 咲「じゃあ行こっか」 カランカラン 咲「ん? あれは……」 和「どうしました?」 咲「あそこにいるのって京ちゃんじゃない?」 和「え? ああ、言われてみればそうかもしれませんけど」 咲「ちょっと見てみよっか」 和「……宮永さんがそういうのなら」 和(フウ、須賀君は牌だけじゃなく空気も読めませんね) 和(でももう宮永さんは須賀君の後ろに行ってますし私も行かないと) 和(さて、状況は……既にオーラスですか) 和(対戦相手は三人とも女子大生くらい。しかも打ち筋からみるに完全に素人ですね) 和(これならいくら須賀君でも……って何で安牌があるのにそんな危険牌を!?) 女A「あ! それロン! 一気通貫ってやつよね? やったぁ!」 京太郎「……」 女B「これで終わりね。やー、麻雀なんて初めて打ったけど結構楽しいわね」 女C「じゃあねー学生君! 楽しかったよ―」ヒラヒラ バタン キャハハ、ヨワイヒトデヨカッタネー、アハハ 京太郎「……」 京太郎「……」ギィ、クルッ 京太郎「! 咲、和も、か」 咲「あ、きょ、京ちゃん……その、ごめん」 京太郎「……見てたのか」 咲「盗み見るつもりじゃなかったんだけど」 京太郎「……いや。別にいいよ」 和「須賀君」スッ 京太郎「和? どうかしたのか?」 和「さっきのアレはもしかしてわざとですか? 初めて麻雀を打つ相手だったから手加減をしたとか花を持たせたとかですか? だったら…」 京太郎「……いや。真剣に打ったよ。真剣に打って、そして負けた」 和「……そうですか」 京太郎「二人はこれから打つのか? 俺はもう終わったから先に帰るな」 咲「あ、京ちゃん。もしよかったら一緒に」 京太郎「悪い咲。今日はもう十分打ったからさ」 京太郎「それに……多分お前らと打っても負けるだけだ」ボソッ 和「……須賀君。大丈夫ですか?」 京太郎「ああ、大丈夫だ。ともかく俺はもう十分打ったから帰るよ。また明日な」 キィ、バタン まこ「京太郎は帰ったか」 咲「染谷先輩…」 まこ「わしが見たのは途中からじゃったが酷いもんじゃったぞ。 さっきの女子大生の前には中学生くらいの子たちとも打っておったようだがそちらもボロ負け」 まこ「知り合いには見られたくないだろうと思って隠れてはいたんじゃが」 和「私達が見てしまったと……」 咲「京ちゃん……」 まこ「今は1人にしてやろう」 自宅 京太郎「……」カチカチ 京太郎「……」カチカチ ツモ、チンイーソー 京太郎「やっぱり勝てる……。戦績は、2勝2敗か」 京太郎「でも部活では、いや部活だけじゃない。今日の雀荘でもやって分かった」 京太郎「きっと俺は……いくら努力しても咲達には勝てない」 京太郎「でも、もしそうだとしたら」 京太郎「俺が部活やってる意味あるのか?」 久「っふう。今日はこのくらいにしときましょうかね」 まこ「そうじゃな」 優希「うがぁー、タコス分がもうないじぇ~」グデー 咲「優希ちゃん、だらしないよ」クスクス 京太郎「……」カチカチ 和(……須賀君、今日部活に来てからずっとネット麻雀をしてる) 和(部活に来てたのは良かったけれどやっぱりこの前のひきずってるのかしら) 京太郎「……あ、負けた。これで3勝2敗か」 京太郎「ええっとチャットでお礼を。シンタロウさんへ。練習付き合ってくれてありがとうございましたっと」 京太郎「あ、返事。こちらこそ。そっちも練習頑張れよ、か」 京太郎「……フフ。さて、次は誰とやるかな」 和「……」 和「須賀君?」 京太郎「ん? なんだ和?」 和「良かったらこの後に麻雀の指導しましょうか?」 咲「……!?」 咲(え? 原村さん、今京ちゃんの練習付き合うって言った?) 咲(この後って部活の後? 私達がいなくなってから部室で二人きり? 若い男女が密室に二人だけ?) 咲(そう言えばこの前読んだ小説だと閉じ込められた二人がだんだん近くに寄っていって最後には……) 咲(…だ、駄目! 何が駄目かよく分かんないけどとにかく二人っきりは駄目!) 咲「きょ、京ちゃん! 練習なら私も一緒n」 京太郎「あー、悪い。遠慮しとくよ」 咲、和「え?」 京太郎「和も咲ももうすぐ団体だろ? 俺との練習に時間付き合ってちゃ勿体ないだろ?」 咲「な、何言ってるの? ソレを言うなら京ちゃんだって個人戦があるじゃん」 和「そうですよ。努力しないでいたらいつまでたっても強くはなれません」 京太郎「……いいんだよ。俺の事はほっといて」 咲「でも京ちゃん」 京太郎「いいんだって。どうせ俺はいくら頑張ってもお前らには絶対勝てないんだから」 和「……っ!」パアン 一同「!?」 咲「っ!? は、原村さん!?」 京太郎「……」 和「……取り消してください」 京太郎「…え?」 和「さっきの科白です。『いくら頑張っても勝てない』と言う言葉です」 和「努力が意味を為さないなら私達は何のために練習してるんですか?」 京太郎「……」 和「私はオカルトは嫌いです」 和「でも努力しない人はもっと嫌いです」 京太郎「……」ダッ! 咲「あ…京ちゃん!」 和「宮永さんほおっておきましょう。あんな人はもう知りません」 咲「でも!」 久「和の言うとおりよ咲。自分から前へ進む気持ちを失くしてしまったのならば何を言っても心に届かないわ」 優希「でも、それってきびしくないか?」 まこ「しかたなかろう。ああいうのは自分でどうにかしなければならん」 まこ(しかしこのままでは危ういのも確か。雀荘の件、皆にも話しておくべきか?) タッタッタッタ 京太郎「はあ…はあ…」 京太郎「…なんのために練習してるか…か」 京太郎「……ハハ、そりゃ勝てる可能性があるんならやるさ」 京太郎「でも全く勝てる気かしないんだよ」 京太郎「いくらやっても、全然! アイツらには勝てる気がしないんだよ!」 京太郎「……何やってんだ俺…」 京太郎「……もうすぐ県大会。俺は個人戦」 京太郎「……結果なんて分かり切ってる」 京太郎「だったらやる意味なんて」 『努力しない人はもっと嫌いです』 京太郎「……和のやつ。本気で怒ってたな」 京太郎「…………出るだけ出るか」 大会当日 久「さて、今日はいよいよ全国へ向けての県大会決勝。相手は強敵ばかりだけど皆、飲まれないようにね」 咲「はい」 和「分かってます」 優希「まかせるじぇ~」 まこ「ま、なるようになるじゃろ」 久(うん。皆良い具合にほぐれてる。これならイケる!) 久(……問題は) 京太郎「皆頑張ってくださいね! 俺は個人戦あるんで応援出来ませんけど必勝願ってますから!」グッ 久(やっぱり彼よね) 優希「おう! 京太郎も頑張るじぇ~!」 京太郎「お前こそタコス忘れたり誰かにくわれたりすんなよ?」 優希「むうー、そんな奴いないじぇー!!」 京太郎「ハハッそっかあ?」 久(あの日はどうなるかと思ったけど予想に反して次の日も平然と彼は来た) 久(流石に皆も遠慮してたのかあまり勝負に誘うような事は無かったけどあの明るさは何?) 久(立ち直ったのならいい。でももし自棄になってるのだとしたら) 久(……駄目ね。こんなんじゃ部長失格。大会が終わったらしっかりフォローしないと) ウリウリウリイイイ、イ、イタイジェエエエエエ 咲(京ちゃん、部活には来てくれるけど麻雀は全然やろうとしてない) 咲(京ちゃん、私を麻雀部に誘ってくれたのは京ちゃんなんだよ?) 咲(麻雀が楽しいって分かるきっかけを作ってくれたのは京ちゃんなんだよ?) 咲(京ちゃんはどうなの? 今の麻雀は楽しくないの?) 咲(……よし! この大会終わったら京ちゃんに麻雀を色々教えてあげよう) 咲(そうすればきっと京ちゃんも勝てるようになって楽しめるようになるよね!) 和(宮永さん、やっぱり須賀君を心配しているみたい。確かにあんなふうに負け続けてるのを見たら麻雀を続けられるかもわからない) 和(私もあの時頭に血が上ってたとは言えあんなこと言っちゃったし) 和(なのに須賀君は次の日私が謝った時『あれは俺の方も悪かった』って気にしてないみたいだった) 和(正直言えば私は須賀君が麻雀を嫌いになってやめてしまうんじゃないかとすら思ったのに、意外にも須賀君は一度も部活を休まなかった) 和(それどころか雑用も前より進んでやるようになったみたいだし) 和(ゆーきはもう須賀君が立ち直ったと思ってるみたいだけど多分違う) 和(……もし須賀君がやめてしまったらやっぱり影響がでるのかしら。宮永さんにも、ゆーきにも、……私にも?) 久「よし。とにかく目標は当然優勝! 全国を狙うわよ!」 一同「おー!」 京太郎「………」 優希「ん~? どうした京太郎?」 京太郎「いや、俺にとって目標は全国じゃないなあ、と思ってさ」 優希「ならなんだじぇ?」 京太郎「え?」 優希「だから犬の目標はなんだじぇ?」 京太郎「……目標」 京太郎「………俺の、目標……」 咲「? どうしたの京ちゃん?」 咲(なんで急に私のほうみたんだろ?) 京太郎「……一勝したい」 京太郎「僅差でもいい。運でもいい。安い手でもいい」 京太郎「ただの一度でいい。一度勝てればそれでいい」 京太郎「俺は一勝したい」 咲、和「……」 優希「犬は謙虚だじぇ~」 京太郎「そっか? ありがとうな」ナデナデ 優希「わ、わわ! 頭撫でるな!」 京太郎「悪い悪い。じゃあ行ってきます」 久「ええ。もし私達が先に終わったら応援に行くから」 京太郎「あはは、それじゃ意地でも負けられませんね」スタスタ 咲「あ……」 咲(なんでだろう。離れていく京ちゃんがいつもと違って見えたのは) 只今から男子個人戦一回戦を始めます 京太郎(……目標。一勝…) 京太郎(……そっか。そうだよ) 京太郎(簡単なことだったんだ) 京太郎(正直、わざと負けようかとすら思ったこの大会) 京太郎(でも分かった。俺は『勝ちたい』んだ) 京太郎(能力が何だってんだ。それに縛られてたらいつまでも咲達には勝てない) 京太郎(可能性がない? それが何だってんだ? おれはアイツらに勝ちたいんだ!) 京太郎(だったら) ???「フフフ、ついにきたで。ワテの友情パワーを見せる時が! 見てておくれやすーシn」 京太郎(こんな奴に負けてられるか) 女子団体決勝 「優勝は清澄高校!!」 ワーワー、キャーキャー 久「やったわね」 まこ「これでわしらも全国か」 和「宮永さん、凄い……」 咲「うん。ありがとう……? あれ? 京ちゃんは?」 優希「京太郎? 来てないじぇ?」 まこ「男子の個人戦は試合数が多いから遅れてもおかしくないが、まだ来ないと見ると勝ち残っとるのかの?」 優希「もしかしたら負け犬になって部屋の隅でガタガタ震えてるだけかもしれないじぇ?」 咲「そ、そんなこと、ないと……いいんだけど」 和「心配ですね」 久「じゃあ皆で身に行ってみましょうか」 スタスタ 久「とは言えもし須賀君が決勝まで勝ち残ってたとしても正直全国は無理でしょうね」 和「部長、酷くないですか?」 まこ「いや、和よ。部長も何も意地悪でいっとるのではない。単純に京太郎では勝てん相手がいるからじゃ」 優希「京太郎が勝てる相手のほうがすくないじぇ」 久「まあ冗談じゃなくてね、長野の個人男子には3強と呼ばれる三人がいるの」 久「個人で全国に行けるのは三人までなんだけどこの2年間、その三人が外れた事は無いわ」 咲「そ、そんなに強いんですか?」 まこ「強いなんてもんじゃない。なんせその三人はそのまま全国でも1位から3位までを独占しとるからの」 久「あまりに強いから男子の方はルールが一部改正されているくらいよ」 和「え!? と言う事は実質全国最強の三人がここにいるってことですか?」 久「そう、阿佐田、アカギ、傀。この三人は既にプロ級の腕を持っているの」 男子決勝 久「さて、誰がいるかしら、ってあれ?」 咲「? 三強って言うのは皆同じ顔なんですか?」 まこ「そんなわけなかろう! 全員別人じゃ!」 和「三つ子でしょうか? 学校も名前も聞いたことないですけど」 優希「あの量産ヅラ達そんなに強いのか?」 久「三強が、負けた? あの三強を倒すだなんてあの三つ子何者?」 咲「最後の1人は……京ちゃん?」 和「嘘? 決勝まで残ってる?」 まこ「信じられん……」 三つ子A「ワリイな、チー」カチャ 三つ子B「兄貴それポン」 三つ子C「ほいよ。お、お前のもポンだわ」 三つ子A「ありゃ、やるなC」 三つ子C「はい和了和了っと」 三つ子B「次でオーラスだな」 優希「あの三人ずるいじぇ! 同じ学校だからって明らかに手を組んでるじぇ!」 まこ「個人の全国枠は3つ。つまり京太郎さえ負かしてしまえば自動的に三人とも行けるとは言えあまりにもあからさまじゃのう」 和「お互いの欲しい牌を渡しあってあっという間に役を作ってますね。三つ子だから出来る事でしょうか」 久「でもそれは決勝で三人そろったからよね。正直あの三強を倒せるほどの雀力とは思えないんだけど」 咲「……」 和「宮永さん? どうしました?」 優希「京太郎が気になるじぇ?」 咲「ううん、京ちゃんも気になるけど、さっきから変な感じがするの」 和「宮永さん? どうしました?」 優希「京太郎が気になるじぇ?」 咲「ううん、京ちゃんも気になるけど、さっきから変な感じがするの」 和「変な感じ、ですか?」 咲「うん。そこにあるはずの牌がいつの間にか移動しちゃってるような感じ」 まこ「!?」 久「それってまさか!?」 優希「む? どういうことだじぇ?」 まこ「咲よ。それはいままで感じた事はあるか?」 咲「いえ、ないです。この試合が初めてですけど……」 久「なるほど、それならあの三強が負けたのも頷けるわ」 咲「何かわかったんですか」 まこ「恐らくじゃが、あの三つ子はイカサマをしとる」 優希「あの量産ヅラ達ズルしてるのかっ?」 和「え? イカサマなんて、ありえません! あそこはカメラが何台も設置されているんですよ? そこでイカサマなんて…」 まこ「じゃから恐らくといったじゃろう。どうやっているのかは知らんが咲の言うとおり牌が動いているのなら奴らがやっているとしか思えん。京太郎はそんな器用な事出来んじゃろうしな」 咲「だ、だったら報告しないと」 ???「無理だな」 咲「え?(誰? この黒いシャツの人?) ???「サマはバレなきゃサマとは言えねえ。例え何かしてると分かってもそれがどういうもんか分からねえならこっちには手の打ちようがねえさ」 和「そ、そんな、須賀君はもう800点しかないんですよ? 」 ???「それで負けちまうならその程度の男だったってだけの話だ」スパー ジャラジャラ 三つ子A「ほらあんたが親だぜ清澄のスガ君?」 三つ子B「並みの役じゃあ逆転は不可能だけどな」 三つ子C「まあ役をつくろうと手を待ってたらその間に俺達が和了しちまったらそこで終わりだけどな」 三つ子「「「ハハハ!」」」 京太郎「………」 ジャラジャラ ジャラジャラ 京太郎「……」フウ 京太郎「やっぱりな」 三つ子「?」 京太郎「男子の決勝」 京太郎「点差は3万以上」 京太郎「おまけにオーラスで3人はグル」 京太郎「もうほぼ詰んでる状態だってのに」 京太郎「あんた達には負ける気がまるでしない」 パタタ 京太郎「和了。ツモのみ」 咲「!?」ゾクッ 優希「安っ!」 まこ「かっこつけたみたいじゃがなんとまあ安手で」 和「でも取りあえず首は繋がりましたね」 久「これで流れが変わるといいんだけど」 咲(何? 今の感覚、京ちゃんから?) 三つ子A「へえ運がいいな」パチ 三つ子B「でもそんな安手じゃ追いつくことすらできねえぜ」パチ 三つ子C「それともクズ手で八連荘でも狙うか?」パチ 京太郎「……」 パタタ 京太郎「和了。ツモのみ」 三つ子「「「え?」」」 まこ「ま、まさか……」 久「本気で狙う気?」 優希「あの京太郎が?」 和「まるで別人みたいですね」 咲(やっぱり、さっきの感覚は京ちゃんから……) 咲(でもなんで? 今まで一度も京ちゃんからあんな気配を感じた事ないのに…) 京太郎「和了。ツモ、七対子」 三つ子A(あ、ありえねえ。あれからマジで連荘してやがる!?) 京太郎「……」カチャカチャ 三つ子B(どうする? 次和了られたら八連荘、役満で負けちまうぞ?) 三つ子C(こうなったら何が何でも奴に牌を引かせるな) 三つ子A(つまり危険は承知でサマをやってアイツが牌を引けないようにすればいいんだな?) 三つ子B(そしてついでに俺達の誰かが和了ってしまえばそれで終わりか。よしそれで行こうぜ) 三つ子A(ともかくアイツが最初に牌を切ったら速効だ。もう二度とアイツに牌をツモらせるな) ???「…お」 咲「…あ」 京太郎「……」ピタ 三つ子A「おいどうした、速く牌を捨てろよ」 京太郎「いや、なんか色々やろうとしてたみたいだけど」 パタタ 白白白發發發中中中北北北南南 三つ子A「」 三つ子B「」 三つ子C「」 京太郎「やっぱりあんた達には負ける気がしない」 和「……すごい」 久「ここに来て…」 咲「あれ、本当に京ちゃん?」 優希「じぇ~…」 まこ「こりゃホントにホンモノか」 スタスタ 京太郎「あ、女子もう終わったのか? どうだった?」 咲「え? あ、うん。優勝したよ」 京太郎「お、やったな! これでうちの部は全員全国行きってわけだ」 久「い、いやいやいや!? ちょっと待って!? 京太郎君? さっきの試合何?」 京太郎「? 何って?」 まこ「いや何故お前がとぼける? あんな実力あるならどうして部活でやらんかった?」 京太郎「ああ、それは……」 ???「よう」 京太郎「あ、ども」ペコリ ???「見てたぜさっきの試合。正直簡単に負けられたら俺達の立つ瀬がなかったしな」 京太郎「いやあ、途中までイカサマしてたみたいだから『もしかして負けるかも』とおもったんですけど、やっぱりアイツらには負ける気がまるでしなかったんで」 ???「…負けなかったな」 京太郎「ええ。『残念なことに』」 ???「ッフ、そうか。じゃあな。俺達はもう引退だがまたどっかでブとうぜ」 スタスタ 久「…須賀京太郎君? ちょっといいかしら?」 まこ「なんであの人と知り合いみたいな雰囲気なんじゃ?」 京太郎「え? いやだって今日対戦した相手ですし」 久「」 まこ「」 京太郎「?」 まこ「まさか勝ったのか?」 京太郎「当たり前じゃないですか。だから決勝に行ったんですし」 久「う、ウソでしょ? だってあの人三強のうちの1人よ!」 京太郎「三強? ああ、だからさっきの三つ子よりもずっと強かったんすね。他にも二人同じくらい強かった人がいましたけど」 まこ「は?」 まこ(え? まさかコヤツ三強全員と戦って勝ち残ったのか?) 優希「す、凄いじぇ京太郎! 実はそんなに強かったのか!?」 和「驚きました。ええ、ホントに。でも逆に腹立たしくもあります。どうして私達と打っているときはあんなに弱かったんですか?」 京太郎「ああ、それか。いや、正直俺自身信じたくなかったんだけど」 京太郎「俺は女の子相手だと絶対に負けるらしいけど」 京太郎「男相手だと絶対勝てるらしい」 一同「」 『ネット麻雀なら勝率半々くらいだから才能あるかもって思ってたのに』 『俺はお前らには絶対勝てない』 和(前にそんな事を言っていたような気がするけど) 和(それって男女比として半々ってこと!?) 和「そんなオカルトありえません!」 京太郎「そう言われてもなあ。何故か相手が俺よりもど素人の子にも勝手に負けちゃうし」 京太郎「さっきの黒シャツの人みたいなすっげえ強い人に勝てちゃうんだぜ?」 和「」 咲「で、でも凄いね京ちゃん! 目標の一勝どころか優勝までしちゃうなんて!」 京太郎「……いや。まだ目標は果たせてねえよ」 咲「え?」 京太郎(俺の能力が本物ならつまり幾らやったって負ける相手には負けて勝てる相手には勝てるってことだ) 京太郎(そんなの麻雀じゃない。ただのデモンストレーションみたいなもんだ) 京太郎(それが分かったら急に麻雀がつまらなく思えた) 京太郎(だから麻雀している相手の性別が分からないネトマに逃げた) 京太郎(勝つか負けるか分からないそれが面白くて逃げた) 京太郎(ソレだって一度戦ってしまえば性別が分かってしまう。いい加減に嫌になった) 京太郎(今日の試合だってもしかしたら俺の能力の推測が間違ってて誰かが俺に勝つんじゃないかとか思った) 京太郎(誰にも『負けなかったら』麻雀を止めようかとすら思った) 京太郎(でも、やっぱり、俺は) 京太郎「俺が言った一勝ってのはな咲」 咲「?」 京太郎「お前たちに勝ちたいんだよ」 後日 咲「ロン!」 和「ロン!」 優希「ロン!」 咲「ロン!」 和「ロン!」 優希「ロン! あ、飛んだ」 京太郎「」 咲「…ねえ京ちゃん、ホントにわざとじゃないの?」 京太郎「」コク 和「やっぱり信じられません。相手によってこんなに強さが変わるなんて」 和「……決勝はあんなにカッコよかったのに」ボソ 咲「!? え、ええ!?」 優希「こりゃライバル登場かー?」 咲「うええ!?」 京太郎「? さっきから何叫んでんだ咲?」 咲「な、何でもない!」 京太郎「何でもって」 咲「何でもない! そんなことより!」 咲「京ちゃん! いくらなんでも弱すぎない!?」 カン!
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前話 まとめ それからの話を、俺、須賀京太郎がしようと思う 試合が終わったその時のことはあまりよく覚えていない 笑いながら泣いていたる部長、声をあげて泣いている優希と和、二人をなだめている染谷先輩 そして、画面の向こうで目を閉じて少しだけ微笑んでいる咲、みんなの顔だけは、よく覚えている 俺は咲を迎えに行った 対局室前で、 淡「テルーやったよ!!これでKちゃんゲット…え!?無い!?なんでー!?」 何か淡が白糸台の人達相手に騒いでいた アイツ、優勝して何が不満なんだ? 穏乃や臨海の大将も、え?みたいな顔をしていた気がするが……気のせいだろう とりあえず咲の手を引き、控え室に戻った 咲は堪えていたようだが、控え室に戻った途端、優希や和と泣いていた そして、清澄高校の団体戦は終わった インタビューやらなにやらあったが、適当に流して俺たちはホテルに帰った 久「優勝できなくてすっごく悔しいけど……すっごく楽しかったわ。まこ、それにみんな。後をお願いね」 そう言って部長、竹井先輩は染谷先輩を次の部長に任命し、個人戦の準備をすると言った お疲れ様です あなたがいたから、ここまで来ることができました ありがとうございます その数日後、個人戦は始まった 咲も和も気持ちを切り替えて個人戦に臨んでいるようで安心した しかし、とんでもないことが起きた 個人戦2日目の午後 チラホラ去年活躍した実力者なども出始めるこの日に 咲「えっと……よろしくお願いします」 照「……よろしくお願いします」 姉妹対決が実現してしまった なんでだよ! そう思ったのは確実に俺以外にいるだろう 最後の最後、全国1位を決める試合! そういうところで当たるべき二人だ 神様、いたらとんでもねーわ この二人をこんなところで当てるし 照「なんて言うか……こんなとこで当たると思わなかった」 咲「うん……私も」 照「でも……全力でいくからね?」 咲「私だって……負けないよ、お姉ちゃん!」 その日のどの試合よりも注目された試合になった 試合内容は……二人の選手が可哀想とも思える内容だった 最後に選手が一人飛んで僅差で照さんの勝ち、という結果で試合は終わった 飛んだ選手は全国的に見ても無名だったらしく、実力差は歴然だった 試合終了後、それ以降の試合は棄権したとか ただ、その卓にいたもう一人の選手は、直接の振込みそのものは無かったがツモで削られて3位という結果だった しかし、全国1位の宮永照 その妹で、自身より明らかに実力が上の宮永咲 その二人を相手に、最後まで諦めず、むしろ勝ってやろうという姿勢で打った彼女は、各所で活躍した選手達とまた違う意味で有名な選手となった 彼女はその後の試合も最後まで出場し、相手がどんな有名で、どんな強敵でも最後まで諦めずに打った 後に彼女はこう言っている やえ「諦める?最後まで勝ちにいかないニワカのような真似を私がやるわけないだろう!」 彼女のその姿勢は、王者のようだった その後の咲は、燃え尽きたのか照さんとの直接対決に満足したのか、それまでほど圧倒的な勝ち方じゃなかった それでも、相手が勝手に怯えたり、カタカタしたり、恭子の仇やーと燃えたりで、最終的な順位は21位だった 和は、相変わらずのデジタル打ちだった 団体戦の悔しさからか、今まで以上に早く『のどっち』になっていた しかしそれでも、全国の壁は高かった 個人戦最終日、和の相手は荒川憩さんに、辻垣内智葉さん、神代小蒔さんだった さすがの『のどっち』も、この実力者ととんでもないオカルトには敵わず、8位という結果に終わった 和「……そんなオカルトありえません」 戻ってきた第一声がそうだった 和はどこまで行っても変わらないな…… 個人戦の優勝はやっぱりというか、当然の如く照さんだった 優希「いや……アレ無理だって」 珍しく真面目な顔の優希がそう言う 優希「ドラ無しで私フルボッコだじぇ?ドラ縛りなけりゃーこうなるって。あんなんと渡り合った咲ちゃんが凄すぎるじょ」 うん、気持ちは分かるが照さんをアレとかあんなんとか言うのはやめろ? 麻雀以外なら無害かドジなお菓子好きの人だから あ、咲も似たようなもんだったな 優希「……なんで咲ちゃん21位なんだろ?」 本人のやる気の問題だな こうして個人戦も終わり、インターハイは幕を閉じた 閉会式で開会式の時のような視線を感じたが……どうでもいいか みんな知り合った何人かの人に挨拶をして回った 竹井先輩や和はマスコミのインタビューもあったようで忙しそうだった でも竹井先輩……挨拶の相手なんか多くないですか? 俺も一応知り合った人には挨拶をした やけに惜しまれたりまた連絡してと言ってくる人が多かった 煌「あなただけでなく、和や優希も、また会いましょうね」 姫子「れ、連絡待っとるけんね!」 哩「その……タコス、美味しかったよ。また、会ってくれる?」 桃子「帰りは別っすからねー。今度また合宿とかやるっすよ!」 ゆみ「全くモモは……ああ、私もその時はまた参加したいな」 穏乃「今度遊びに行くからね!」 憧「その……メール、するからね?」 玄「ぜひ!ぜひ長野のおもちを教えてね!!」 宥「あったかいあなたに会えてよかったよ」 灼「……こ、今度ボーリングでも」 エイスリン「……ハイ!」(海外の住所と連絡先とハートのイラスト) 塞「あはは……忙しくなるけど、連絡するね」 泉「えっと……今度ネト麻とか……」 セーラ「またな!あ、今度は打とうなー!」 怜「……ウチ病弱やから、こまめに連絡してな?病弱アピール?……連絡してほしいんはホンマやで?」 竜華「あんま話す機会も無かったけど……大阪に来た時は連絡してな?」 洋榎「大阪来たら連絡やで!え?これ言われたん2度目?……ウチを先にな!」 絹恵「お姉ちゃん、そこはうちだけって言えばええんちゃう?……あ、サッカーとか興味ある?近いうちに試合あるんがやけど…」 洋榎「絹!?絹が……絹が逆ナンしよるなんて……おかんと浩子に言ったるー!!」 絹恵「お姉ちゃん!?知ってる人相手でも逆ナンて言うん!?」 ダヴァン「東京とアメリカに来た時はぜひ連絡を!おいしいラーメンをご馳走シマス!」 明華「アメリカでラーメンはないと思いますよ。またお会いしましょうね」 ネリー「監督に頼むからさー、うちに来ない?」 智葉「引き抜くなっつったろ!!……ああ、前に言ってた件だが……大丈夫だ、そちらの部長とも連絡先は交換した近いうちにまた会おう」 ハオ「楽しみですね。また会えるのが」 憩「体は気ぃ付けてなーぁ」 やえ「うむ、体調管理は基本だからな!それを怠るようなニワカな真似はするなよ!……あ、Kちゃんってどうやったら買える?」 春「はい黒糖……また送る……」ニコッ 初美「はるるー?なんでそんな笑顔ですかー?あ、このお面どうぞー!……冗談ですよー?」 誠子「今度、長野に釣りに行くから、その時連絡するよ」 尭深「私も行くから……美味しいお茶、持っていくね?」 菫「その……約束、覚えているよな?ああ、必ず君に麻雀を教えるよ。うん、また」 淡「絶対絶対連絡してね!絶対の絶対だよ!!……私からも、絶対連絡するからね?」 照「夏休みの内に、一度長野に帰るから。うん……いろいろ難しいかもしれないけど、私と咲は大丈夫だから……また3人でね?」 みんないい人だ そこからはあっという間だった ホテルで荷物をまとめ、俺たちは長野に、清澄高校に帰った 清澄高校に帰った俺達を待っていたのは……多くの人達だった 久「え?……これ……」 副会長「お疲れ様です……えーっと……会長達が今日帰ってくるって聞いて……」 「会長!お疲れ様です!」 「準優勝とか……すごいです!」 「準優勝記念だ!学食のタコス割引だよ!!」 「おう!またラーメン食っていきな!金はいらねぇよ!腹一杯食ってけ!!」 マホ「先輩方お疲れ様です!全国大会、すごかったです!!もうすごくてすごくて!!それで……えと……」 裕子「落ち着けって……先輩方お疲れ様です。なんていうか……感動しました」 久「……もう……いらないって……言ったのに……」 竹井先輩の目が潤んでいたのは、見間違いじゃないと思う 後ろには、見覚えのある同級生から知らない上級生までいた おそらく先輩たちのクラスメイトや友人だろう 「お疲れ様!」 「会長すごいぜ!」 「まこー!今度お店行くねー!!」 「優希やるじゃん!」 「原村さんもすごかったよー!」 「宮永さん最後かっこよかったー!!」 「須賀帰れー!」 最後誰だコラ 久「もう……騒がないの!ああもう……お土産もっと買っとけばよかった……」 まこ「そうじゃな……おいおい、ウチの店の常連まで……どさくさまぎれてチラシ配りよる……」 しばらく騒がしそうですね 久「もう……やっと解放されたわ」 今は部室にいる あれからしばし揉みくちゃにされた 俺はどちらかと言うと叩かれまくったが 副会長とか全力だったな…… 久「さてと……賞状やらなんやらは部室でいいわね?」 まこ「ああ。また夏休み明けにいろいろあるじゃろうが……とりあえずは置いといていいじゃろ」 優希「それじゃあラーメン食べにいくじぇ!」 咲「うん。何人かは待ってるって言ってたよね?」 和「はい。あのお店に入る人数でしょうか……」 そう言いながら外に出て、ラーメン屋に向かう その途中、1台の車が俺達の近くに停まった 京太郎「ん?まだ待ってる人がいたのか?」 和「この車は……」 優希「……のどちゃん?」 車から、一人の男が降りてくる 咲「和ちゃん、知り合い?」 和「……父、です」 和は、震えていた 和父「……帰ってきたと聞いて、来てみたが」 和「その……今からみんなで夕飯を……」 和父「そうか……以前言ったことは覚えているな?」 和「……はい」 一体、なんなんだ? 親子というのに、和は今にも泣きだしそうな顔だった 和父「試合自体はテレビで見ていた……団体戦は準優勝で、個人戦で8位だそうだな」 和「……はい」 和父「……和」 和の肩がビクッっとなる 和父「……来年は頑張れよ」 和「……え?」 和父「荷物があるなら持っていこう。後で迎えに行くから連絡するようにな」 和「えっと……荷物は……ありますけど……え?」 和父「うむ……成績だけは落とさないように」 和「あ……はい!!」 和父「ではな。高校生だから、あまり遅くならないように」 和「あの……どうしてですか?」 和父「……何、頑張る娘を邪魔することを、やめようと思っただけだ」 そう言って和の父親は行ってしまった 久「邪魔って一体……和!?」 和は、泣いていた 優希「ど、どどうした!?何があったんだじぇ!?」 まこ「お前さんの親父のせいか!?成績とか、いったいなんなんじゃ!?」 咲「その……お父さんと、喧嘩?」 和「いえ……違います」 和は、泣きながら、嬉しそうに言った 和「……麻雀を続けていいということが……嬉しくて……」 後で、和と父親がしていた約束を聞いた 色々と思うことはあるが……良かったな、和 そして、数日が過ぎた 京太郎「咲……」 咲「……何?」 京太郎「頼む……お前にしか頼めないんだ」 咲「京ちゃん……でも……」 京太郎「俺にはお前しかいないんだ!!」 咲「……京ちゃん」 咲「……さすがに夏休みの宿題を丸写しはできないよ」 京太郎「頼むよー!!お前にしか頼めないことなんだよー!!」 俺は咲の家に居た 理由はにっくき夏休みの宿題だ 東京やらなんやら行ってる間、まっさらなままだったブツである これを残り数日で仕上げるなど、不可能だった 咲「なんで私なの?」 京太郎「先輩たちは忙しそうだし、和はこういうこと許さないだろ。優希は論外」 咲「京ちゃん、友達結構多い方だよね?」 京太郎「野郎共は全員爆ぜろだのもげろだのお前ばっかりだの言って無理だった」 俺が何をしたというんだ! そんな爆ぜたりもげたりするようなことやってないっての!! この夏は知り合いこそ増えたが東京でやったのは雑用ばっかりだ あいつらが羨ましがるようなことは一切やってない!! 咲「……なんとなくその男の子たちが言いたいこと分かる気がするなー」 お前までそう言うなよ! 京太郎「頼む!お前の言うことを何でも聞いてやるから!!」 咲「…………」 アレ?失敗した? そういえば決勝の時も言ってたけど、あの時は結局無しになった訳だし 京太郎「あの……咲?」 咲「しょうがないな、京ちゃんは」 咲はやれやれといった感じだった なんか、口元が緩みそうになってるぞ? おい、俺に何させる気が 今月のこずかいそんなに残ってねーぞ 咲「でも教えるだけ。いいよね?」 京太郎「ああ。それでも十分助かるけど、今日だけじゃ終わらねーぞ?」 咲「終わるまで付き合ってあげるからね」 持つべきものは優しい幼馴染だ…… 京太郎「それはそうと、俺に何させる気だ?」 咲「……あ、今日はあんまりできないよ?」 無視かよ 咲「お姉ちゃんが帰ってくるって言ってたし」 京太郎「照さんが?」 咲「ちょうどいいからこのまま会って…」 その時に咲の携帯電話が鳴った 咲「わっ!え、えっと……お姉ちゃんからだ」 照『もしもし咲?』 咲「お姉ちゃん?」 照『今駅に着いたけど……この辺り少し変わった?』 咲「あんまり変わってないけど……」 照『……見覚えが無い景色だけど』 咲「……駅まで行こうか?」 照『……うん』 電話が終わる おそらく相手は照さんで、駅まで行くという内容か 京太郎「俺も行こうか?照さんの荷物持ちくらいはできるぜ?」 後、迷子二人の保護者とか 咲「うん、それじゃ宿題は私の部屋に置いておく?京ちゃんもお姉ちゃんに会っていけばいいし」 京太郎「ああ、そうさせてもらうよ」 そのまま咲の部屋に行く 高校入ってからは初めてだがあんまり変わってねーな 咲「じゃ、その辺りに置いて」 京太郎「おう」 その時、咲の机の上にあるものに気付いた 京太郎「Kちゃんぬいぐるみ?」 それは俺が咲にあげた、正真正銘、最初に作られたKちゃんぬいぐるみだった 思えば、こいつがあったから全国でもいろいろな人と知り合えたんだよな 咲「あ……それ……」 京太郎「なんか懐かしいな」 咲「うん……大事にしてる」 京太郎「こいつができたのもちょっとしたきっかけだったのにな」 正直ただの思いつきで言ったらできて、何故か売れた『Kちゃんぬいぐるみ』 そういえば今度『ハギヨシぬいぐるみ』も発売するとか言ってたっけ 京太郎「……こいつのおかげとも言えるな」 全国で、いろいろな人と知り合えたのは 咲「京ちゃん?」 京太郎「ああ悪い。今行く」 咲の部屋を出る間際、振り返り、もう一度Kちゃんぬいぐるみを見る 気のせいかもしれないが、Kちゃんぬいぐるみが笑っていた気がした カンッ!! 前話 まとめ 名前 コメント
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京太郎「どうしてこうなった……?」 玄「ゴゴゴメンね京太郎君!この料理、菊の間のお客様のとこに運んで!」 京太郎(年末年始、うちの旅館でゆっくり過ごすのはどうでしょうか!って玄さんに誘ってもらって……染谷先輩家の雀荘でアルバイトして資金を貯めて――――) 玄「きょきょきょ京太郎くーんッ、このビールを薔薇の間にー……!」 京太郎「何で奈良に来てまでバイトしてんだ、俺……?」 玄「あーっ、百合の間のお客様にお鍋を持っていってー!」 京太郎「―――ァイ、喜んでー!」 玄「居酒屋さんみたいな挨拶しないでよー!?」 京太郎「――――だはぁ!つ……疲れた……」 宥「ふ、ふふ、ゴメンね……。なんだか夏の大会が終わった後からウチの旅館……とっても人気になっちゃって……」 京太郎「…………あー、全国大会を破竹の勢いで勝ち進んだ選手の実家ですもんね。一度来てみたい、って考える人は多いですか……」 宥「う、うん、そうだねー……」 京太郎「玄さんみたいな美少女が仲居やってたらなおさらですしね……」 宥「玄ちゃん、すごく張り切っちゃってて……頑張りすぎないか、少しだけ心配……」 玄「心配ご無用だよ、お姉ちゃん!」 宥「わ、うわ……く、玄ちゃん驚かせないでよぉ……」 京太郎「玄さん、お客様はもう大丈夫なんですか?」 玄「うん!皆さん酔い潰れたり、二年参りに出掛けたりですっかり落ち着いたから」 京太郎「そですか、それはよかった」 玄「この度はまことに申し訳ありませんでしたー……」(深々 京太郎「え?あぁ、旅館の手伝いのことですか?」 玄「はいー……せっかくウチの旅館に遊びに来てもらったというのに、猫の手も借りたい忙しさに、つい悪魔の囁きに耳を傾けてフラフラとぉ……」 京太郎「ア、アハハ……大丈夫……大丈夫ですから……」 玄「ちゃんとお手伝い料、色をつけてもらえるよう交渉しておくからね!」 京太郎「悪いですよ。ここはいい経験させてもらったってことで、一つ」 宥「うふふ……今年は最後まで京太郎君に助けてもらっちゃったね、玄ちゃん……」 玄「うん、そうだねお姉ちゃん……。何だか年上として肩身が狭いよー……」 京太郎「あの……俺、なにかしましたっけ?」 玄「えっとほら、初めて龍門渕で会った時とか……全国大会でもイロイロとしてもらったでしょ?」 京太郎「…………?」 宥「きょ、京太郎君……?」 京太郎「………………………………あ、会うたびにに、阿知賀のみんなと麻雀したのは覚えてますよ?」 玄宥「………………」 玄「あ、お姉ちゃん、私年越し蕎麦もってくるね。京太郎君もお腹すいたでしょ?いっぱい食べてね!」 宥「うんー、ありがと玄ちゃんー。うふふ、あったかいお蕎麦、楽しみだね……」 京太郎「あ、や、やめてください、そんな腫れ物に触るような反応やめてください……!」 宥「ハム……ン、あったかーい……♪」(チュルチュル 京太郎(……なんか言葉の響きがエロく感じるのは俺だけなんだろーか)(ズルズル 玄「おかわりもあるから、遠慮なく言ってねー♪」 京太郎「うーっす」 宥「――――ぁ……除夜の鐘」 玄「今年もついに終わりだねー」 京太郎「新年かー。なんかあっという間に一年が過ぎた気がしますね」 玄「うん……」 宥「私は……とっても楽しかった、よ?」 玄「私もだよ、お姉ちゃん……」 京太郎「俺もちょー楽しかったです」 玄「麻雀三昧だったもんね!」 京太郎「ハイ!!」 玄「即答ですか……ムムッ、これは病気が悪化してるよね。最近はおもち力も落ちてきてるし……せっかくの同志が……」(ブツブツ 宥「きょ、京太郎君はなにか抱負、あるの?」 京太郎「来年……いや、もう今年のですか?抱負、抱負かー……」 玄「お、それはぜひお聞かせ願いたいですよー」 京太郎「んー……やっぱり麻雀強くなりたい、ですかねー」 玄宥「や、やっぱり……」 京太郎「ああ、あとはあれですね、せっかくの青春なんだからいい加減、彼女が欲しいなー、なんて」 玄「恋人ですかー、ふんふむ」 宥「わ、わー……」(ポッ 京太郎「お二人みたいに、俺ももっと才色兼備な感じだったら、こんなこと抱負にしなくていいんですけどね」 玄「アハハ、お世辞でも嬉しいよ京太郎君」 宥「ああ、あり、ありがとー……」 京太郎「お世辞じゃないですって。…………うん、でも」 玄宥「?」 京太郎「とりあえず今は、こうやって親しくしてくれる人たちとお蕎麦食べられるだけで十分幸せだよなー、って思います」 玄「京太郎君……」 京太郎「玄さん、宥さん……明けましておめでとうございます。今年も、よろしく」 宥「ここっ、こちらこそ、ふ、ふつつかものですがー……」 玄「お姉ちゃん、その挨拶は何か間違ってるよー!?」 宥「はわぅわわ……!?」 京太郎「アハハハ!そんな風に言われたら、もうこのままよろしくお願いされるしかないですね」 玄「やめるのです京太郎君!あまりお姉ちゃんをからかうのはダメー!」 宥「うぅ、か、顔……熱くなってきちゃたよぉ……」 そんなこんなでゆく年くる年が過ぎ…… 後日、松実館には須賀京太郎少年が接待してくれるサービスがあるという記事が麻雀TODAYに掲載されて、とあるご新規のお客様が数名同時に訪れて一波乱起きるのだが――――それはまた別のお話。
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京太郎は千里山にいます 姫松の場合 洋榎「お疲れー」 恭子「主将お疲れです。でも遅刻ですよ?」 洋榎「恭子知っとるかー?今日代行おらへんのやで?」 恭子「へ?」 洋榎「ちょうど学校出るん見てな?代行おらんし少し購買行ってなー」 由子「洋榎……」 洋榎「たまにはええやん?まあその分練習は質っちゅーことで…」 雅枝「……ほう?偉くなったもんやなぁ?」 洋榎「……へ?」 京太郎「あー……どうも」 洋榎「京太郎!?」 雅枝「男が先ってどういうことやぁぁぁ?」頭掴む 洋榎「あだだだだだだ!お、オカン!?なんでや!ここ姫松やで!?」 絹恵「お姉ちゃん、一日千里山の監督が来てくれるって先週言ってたで?」 漫「で、千里山の愛宕さんと付き添いで須賀くんが来たんです」 雅枝「あんたは監督の話も聞かんのかぁぁぁ?」 洋榎「あだだだだだだだ!あ、頭離してええええええ!」 雅枝「主将とか大層な肩書きのくせに遅刻して話聞かんとか恥ずかしいでえええええ?」 洋榎「あだだだだだだだ!ちょ、凹む!頭凹むて!!」 雅恵「その凹んだとこに聞いた話やら真面目さやら詰めればええで?ちょっとこっちで説教やな」 洋榎「冗談やろ!?学校でまでオカンの説教!?」 雅枝「今は監督やろがああああ?」 洋榎「あだだだだだだだ!き、絹!京太郎!助けてー!!」 絹恵「これはお姉ちゃんが悪いて」 京太郎「まぁ、監督は優しい人ですから大丈夫ですよ……多分」 洋榎「多分てなんやねん!オカン怒ったら鬼みたいであだだだだだだだ!」 雅枝「ちょっと来い洋榎!あ、ちゃんと指導するから普通に練習続けとってな」 洋榎「せめて!せめて手ぇ離してやああああああ!!」 千里山の場合(別の日です) 郁乃「というわけで、愛宕監督の代わりに来た赤阪郁乃です~。よろしゅうな~」 竜華「よろしくお願いします」 浩子「こないだは従妹がなんかやったみたいで……」 郁乃「ええてええて~。その分説教やったみたいやし~」 京太郎「その後ずっと正座&牌譜眺めたりでまともに打つ練習させてなかったですね」 郁乃「洋榎ちゃんには効くやろね~」 怜「あの愛宕洋榎ならなぁ……」 セーラ「うわ……俺もそんなん耐えられんわ」 郁乃「ん~?」 セーラ「な、なんですか?」 郁乃「江口セーラちゃん、やね?」 セーラ「ちゃ、ちゃん?」 郁乃「……セーラー服着らんの?」 セーラ「えっと、俺は…」 泉「ここにありますよ」 セーラ「泉ぃ!」 浩子「さらにここにはセーラ服を着た時の写真が」 セーラ「なんであるん!?」 郁乃「……へぇ」 京太郎「……赤阪さん?」 郁乃「……うちなぁ、普段そういう洒落っ気の無い子磨いたりとかホンマ好きなんよ?」 浩子「分かります。普段かこれやとなおええですね」 郁乃「やね?」 セーラ「浩子ー?なん言いよるん?ほら練習やでー?」 浩子「……やります?」 郁乃「……やろか」 セーラ「……あー!急用思い出しだわー!!」 郁乃「はいダメー」 泉「い、一瞬で掴んだ!?」 浩子「ではこっちの部屋に」 郁乃「ええねー。あ、戒能プロとかそういう人達呼んだから練習はその人達と実戦形式でなー?」 セーラ「お、俺もそっちがええ!!」 浩子「やったらプロの前で失礼な恰好させるわけにはいきませんね。京太郎くん、メイド服と巫女服どっちが好きですか?」 郁乃「いややねー。そんなん両方着てみせればええやん。チャイナとかどうや?スリット入って背中見えてるやつ」 浩子「いいですね!!」 セーラ「京太郎ー!りゅーかー!怜ー!泉ー!たーすーけー…」 ガチャン 京太郎「……まぁ、服着替えるだけだろう」 イヤヤーソンナンイヤヤー タダノフクヤカラ。スエハラチャンモキタンヤデ ヤッタラコッチノフリフリツイタメイドフクガ ウワー 泉「……着替えるだけ?」 京太郎「……多分」 後で写真もらいました カンッ!!
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「リーチ!」 清澄高校麻雀部部室に起家である優希の高い声が響いた。東1局3順目、捨牌には西、1萬、4索が切られているのみである。 内心ため息をつきながら下家の京太郎は自分の手配を見下ろした。 『京太郎手配』 2289m 125p 58s 北北撥中 ドラ3s アガリどころか聴牌すらほど遠い自分の手配に視線を送りつつ、山に手を伸ばす。ツモ8p。 『京太郎手配』 2289m 125p 58s 北北撥中 ツモ8p 全く状況が良くならないツモであったがどちらにせよ1面子もない状態で親リーに突っ張るつもりは欠片もなかった。 ノータイムで北の対子に手を伸ばし、場に切り出した。だが、それに対して待ってましたとばかりに声が上がる。 「ロンだじぇ!」 思わずビクリ、京太郎の体が跳ねた。思わず優希の顔を見た後、優希の倒した手配に目をやった。 『優希手配』 678m234s東東東北北中中 ロン北 「リーチ一発ダブ東ドラ1……おっ、裏ドラが中で親っ跳だじぇ!」 「なんじゃぁそりゃ!」 思わず素っ頓狂な声が上がる。振り込んだ京太郎は体をのけぞらせ天を仰いだ。 「そう落ち込むな! 高めだったら親倍だったんだじぇ! 安く済んだと考えな!」 「まぁ、京ちゃんこればっかりはしょうがないよ。その待ちならいずれ出ちゃうよ」 「そうですよ須賀君。麻雀ですからこういうことも起こりえます」 1年生の3人娘から口々にフォローの言葉が飛び交う。 自分の手の中にある中――優希の言う高目親倍の当たり牌――を見下ろしながらため息をつく。 あの手恰好では振り込むことが約束されていたとばかりの状況に心が折れそうになる。 「そうじゃな。あの手恰好じゃ誰が打とうといずれ打ち込んでおった。気にするな」 京太郎の打ち筋を後ろで眺めていたまこも気遣いの言葉を投げる。 「うっす。よっしゃ、まだ始まったばかりだ! 気合い入れていくぜ!」 「ふふっ、頑張って京ちゃん」 「おぉっと、そうはいかないじぇ。この連荘で終わらせてやるじぇ!」 軽く笑いあいながら、再び場は進行していった。 (そう、だれでも振り込む。それはわかる) (でも……こいつらは) (こいつらはこんな状況にまずならない) (こいつらだったら確実な安牌が手にあるかそもそも手の中に当たり牌がない) (……少なくとも、インターハイ中はそうだったしな) 京太郎の胸に芽生えた小さな小さなしこりを押し隠したまま。 激動のインターハイで非常に優秀な成績を残した清澄高校麻雀部は インターハイ後の残り少ない夏休みも関係各所への対応に追われた。 学校での祝賀会、マスコミへの応対、行政からの祝辞等、 一般高校生ではなかなかお目にかかることのないイベントが連日のように行われろくに休みもないまま新学期に突入した。 9月となり竹井久からの引き継ぎを終えた染谷まこが新部長となり、 新たな体制と清澄高校麻雀部は2学期初めての部活に励んでいた。 大会中は麻雀をほとんど打つことができなかった京太郎は部活開始と同時に喜び勇んで卓につき、 前述の通り惨い有様となっている。 東1局1本場は和が優希から2,300点をアガって軽く流し、巡ってきた親番。 何とかこれをものにしなければ、と念じながら配牌を手にした。 1127m458s257p西西西撥 ドラ1m ドラヘッドのチャンス手。面子候補が足りてないうえに動きにくい手だが筒子がさばければ勝負になる。 自分の手をそう結論付ける。ドラを固定するために1打目2萬を切り出す。 面子が足りてないうえに動きにくい手恰好なので撥はぜひとも欲しいところであった。 とは言えある程度の打点もほしい、そう考慮して小考した後2萬を切り出したが それを受けて京太郎の下家は和はドラが対子以上であることをなんとなく検知する。 (須賀君も私達とは打てなかったとはいえ、その間に何もしてなかったわけではありませんからね) (ある程度効率は考えられるようになってきているはずです) (恐らくドラが対子以上。まぁ、ほぼ聴牌形が出来上がっているという可能性もありますが……) 考えつつも和は第1ツモに手を伸ばす。そしていつものように長考に入る。 『和手配』 23m12446s24678p北 ツモ3p とは言ったもののほぼ面子候補ができている形。 且つ急所の1つである索子の嵌張引いて方向性はほぼ決まっている。を北を切り出し場を進める。 その後、場は淡々と進み一つの分岐点といわれる6順目、京太郎の手配はこうなっていた。 『京太郎手配』 11m34588s579p西西西 高確率で愚形が残る手恰好。ツモは白。ノータイムでツモ切りしつつ、京太郎はどう聴牌してもリーチを打つ気でいた。 夏休み、大会中の空き時間中に携帯の麻雀アプリで麻雀を打っていた際に 役無しドラ1の愚形聴牌を入れた際に両面への手替わりを見越して黙聴にしたところ、 たまたま通りすがった和にひどく叱られたことがあった。 『京太郎手配』 123m23479s67799p ツモ5p ドラ1m 「須賀君、何故黙聴にしたんですか?」 アプリの画面では「リーチ」のアイコンが表示されていたがそれを押さず7pを切って聴牌を取った瞬間だった。 思いがけず声をかけられびくり、と震えて後ろを振り向くと難しい顔をした和が立っていた。 自分の答えを待っていることを悟った京太郎は恐る恐るといった感じで声を出した。 「えっ? あっ、そ、その、 だって嵌8索だぜ? 6索を引けば平和が……」 「論外です!」 ぴしゃりと言い切る和に思わず言葉を詰まらせる京太郎。 「単純な確率の問題です。まだ5順目ですよね? だれのリーチも仕掛けも入っていません。」 「場は字牌、端牌だらけ。この状況で6索引く確率と8索引く確率ってどちらが高いと思いますか?」 「……同じ、だな」 「そうです。尚且つこの手は役無で手替わりの受け入れも6索しかないと考えれば即リーの1手です」 「6索引いて平和を逃すより8索の出上がりができないということのほうが圧倒的に痛手です」 「なるほど、そういわれると納得いくな……」 「これは現代のデジタル麻雀では基礎の基礎です」 「この21世紀に未だ旧態依然とした面前で手役を作らなければいけないという面前至上主義が」 「根強く生き残っているのは由々しき事態です。自分がやるのはまだ許せますが」 「それを初心者にあたかも正しいことのように伝えていくというその姿勢が」 「ストーーーーーップストーーーーーーーップ! わかった! わかったから!」 オカルトの風が吹き荒れるこのインターハイでいろいろと腹が据えかねるものがあったのか、 滾々と和の口から湧き出る呪詛の言葉をあわてて押しとどめる。 思わずはっとなった和は軽く頬を染めながら軽く咳払いをする。 「……失礼しました」 「い、いや、別にいいけどさ。しかし……すまんな、和」 「? 何がですか?」 少し言いづらそうに視線をそらしつつ呟く。 「いや、その、大会中でせっかく休んでる最中に俺なんかのためにくだらない時間使わせちゃって。もうすぐ出番だっていうのにさ」 はは、と自嘲気味に笑う。烏滸がましいことだとは理解している。しかたがないことだとは理解している。 それでも京太郎は周りに置いて行かれている、蔑ろにされている。そんな気持ちを抑えることができなかった。 普段はあまり自虐的なことなど言わないとは京太郎自身思っていたがそんな精神状態のせいか、 思わず口に出てしまう。何を言ってるんだ、と激しく後悔しそうになるが 見る見る不機嫌な顔になっていく和に驚きの感情で塗りつぶされていった。 「くだらないってなんですか?」 「えっ、いや、だって」 「私が初心者の須賀君に対して、経験者が初心者に指導をする、初心者が経験者に対して教えを乞う」 「それがそんなにおかしいこと、くだらないことなんですか?」 麻雀はガチガチのデジタル思考であり、機械のように冷静沈着正確無比。 そんな原村和だが一歩卓から離れると非常に感情が表に出やすい。 京太郎はそんなことを考えながら思わず身震いする。彼女は怒っていた。それも猛烈に。 「その……大会中だし、和も忙しいし自分の時間もほしいだろ? ほら、俺の始動で時間を使うよりはその」 「須賀君!」 ごにょごにょと、とりとめのない言い訳をする京太郎を一喝する。 京太郎はびくりと体を震わせ恐る恐るといった感じで和と目を合わせた。 「いいですか須賀君。私とあなた、同じ清澄高校麻雀部ですよね?」 「……」 「返事は?」 「は、はい!」 「そうです。同じチームメイトですよね? それなのに何故、貴方が教えを乞うことに遜ったり卑屈になる必要があるんですか?」 「いや、だって、和はレギュラーメンバーだし、インターミドルチャンピオンだし、悪いなって……」 「つまらないこと聞くと、その、怒られそうだし……」 和はその答えに思わず頭を抱えたくなった。将来の夢の1つに小学校の先生になりたい そう思っているのにそんなに怖い人間、質問をしにくい人間だと思われていたとは……。 もう少しやわらかい態度を心がけるべきだろうか、そう自省しつつ幾許か表情を和らげた。 「……須賀君の中で私はそんなに怖い女、キツイ女だったんですか?」 「あー、いやー、そんなことは」 「目を見て話してください」 「……すみません」 「いいです、謝らないでください。初心者が聞きづらい環境にあるというのはこちらが反省すべきことですから」 そう、反省するべきだ。そう和は思った。初心者であり、 まずは麻雀の楽しさを分かってもらうという大切な時期に合宿だ大会だで殆ど放置気味になっていたことを反省すべきだ。 和自身、中学時代は後輩達にもいろいろ気にはかけていたはずだったのだが ここ最近はいろんなことがありすぎ、自分自身手一杯であったため、あまり周りに気を配りきれなかった。 京太郎がこういう卑屈な発言をしてしまうような環境を作ってしまったのは自分たちに責任がある。 ずきり、と心が痛んだ。 (だからと言って今更取戻しが効くものではありませんよね……) (だから……だからせめて) 和は心の中で一つ決意する。今更罪悪感に任せて媚を売っても仕方あるまい。 京太郎に怖い女と思われているのならそれでいい。 それでも自分にできることをしよう、そう決意した。 「須賀君」 「な、何?」 「今は大会中だから無理ですが、大会が終わって、新学期になったら特訓です」 「うぇ?」 思わず声が出る京太郎。大分間抜けな顔をしているのだが気にせず和は続けた。 「勉強はそれなりにしているみたいですがまだまだ不足しているところも多いみたいです」 「えっ、ちょっ」 「私だけじゃありません。周りは上手い人だらけです。部長、染谷先輩、咲さんとゆーき、みんなで協力して徹底的に特訓します」 「いや、その」 「嫌とは言わせません。泣いたり笑ったりできなくなるまでみんなでバキバキに鍛え上げます」 「ちょ、和。こわ」 「何か言いました?」 「いえ、何も」 怖い、と言いかけた口を思わず閉じる。そんな姿を見て和は思わず小さく微笑んだ。 「大丈夫です。優しく教えますから」 「……」 (今の話の流れでその言葉はどう考えても信用ならん) 新学期から自分はどうなってしまうのか。そう考えると京太郎は軽く身震いした。 「それと、さっき教えることが無駄な時間って言いましたけど」 「私たちも人に教えることで自分が改めて深く理解するっていうこともありますし」 「指導っていう行為は無駄な時間ってことはないんですよ」 「だから」 「くだらないとか、悪い、とか思わないでください」 「そんなの、悲しいです」 その一言でどれだけ救われたか、京太郎はそう思った。 恐らく一番存在を軽んじられているであろうと思っていた和にそう言われて京太郎はひたすら麻雀の勉強に費やした。 大会中の雑用もこなしつつ、教本を読み、ネト麻を打ち続け自分なりに修練を続けた上での この1局であったが状況は前述した通りである。 だが、圧倒的不利な状況でも京太郎は何とかベストを尽くそうと足掻いていた。そして8順目。 『京太郎手配』 11m34588s579p西西西 ツモ1m (っ! 絶好のドラ引き!) ここ最近で一番手ごたえがあるツモに喜び勇んで5筒を切り出し、千点棒を場に出して高らかに発声した。 「リーチっ!」 このリーチに対して3人は現物を切り出す。そして1発目のツモ。 力を込めてツモるがそこに書かれていた絵柄に思わず心がざわめく。 『京太郎手配』 111m34588s79p西西西 ツモ6p 典型的な裏目。思わず歯ぎしりしそうになる京太郎だったがなるべく平静を装って場に切り出した。 (しょうがない。麻雀で裏目を引くのはしかたない、まだ終わったわけじゃ) 「ロンだじぇ」 京太郎の必死な思いをその声が無情にも打ち砕く。 『優希手配』 【5】5m99m67799s【5】5p北北 「仮聴だったけど出るならありがたくあがらせてもらうじぇ。チートイ赤赤。6,400点だじぇ」 「っ! ロクヨンってことは……」 「そう。リー棒出しちゃったから……ト・ビ、だじぇ」 「マジかーーーーーーーーー!」 しなを作ってウィンクしながら無情にそう告げる優希。それを聞いた京太郎はぐしゃり、と前のめりに倒れこむ。 京太郎の手配も倒れこんだがその手配と捨て牌を見比べて和は多少表情を和らげた。 「いえ、須賀君。結果的に振り込みに回ってしまいましたが別段間違いは犯してません。まっすぐ打てていたと思いますよ」 「そうだよ京ちゃん。8筒はおそらく全部山だったし、こればっかりはしょうがないよ」 そんなフォローが2人から飛ぶが京太郎はうめき声を返すのが精いっぱいだった。 無力感にさいなまれつつ、先ほど芽生えたしこりに気づかないように視線をそらし続けた。 (俺は、強くなれるのか。本当に?) 勝利への疑心という感情に 「あーあ、9筒切りだったか……」 「それは結果論です」 弱気な発言を即座にたしなめる和。 その様子を見ながら咲は自分の手牌に目をやり、次に嶺上牌に目をやった。 『咲手牌』 123m【5】55s999p白中中中 (9筒を切ったら私がカンしてた。多分あの嶺上牌は……中、だと思う) (それもカンしたらおそらく、多分この白ツモれてた) (新ドラも含めれば倍満で京ちゃんを飛ばしつつ逆転……) (ごめんね京ちゃん。9筒でもダメだったみたい) 和が聞いたら発狂しそうなことを考えながら、咲は京太郎の不運を嘆いた。 そんな中、一呼吸を置いてまこが立ち上がり手を叩いた。 「とりあえず新学期一発目の対局は終わったようじゃな」 1年生4人組の顔を見渡したのち多少もったいぶった感じで言った。 「インターハイも無事に終わって気が抜けたと思うが、じゃからと言ってそれで全てが終わったわけではないぞ」 そう言った後、ペンを取ってホワイトボードに歩み寄り何かを書き始める。 訝しげに見つめる4人を尻目に、何かを書き終えたまこはペンを置き、ホワイトボードを強く叩いた。 11/×× 新人戦長野県予選 「そう、新人戦じゃ。無論わしには関係のない話じゃが……おんしら1年生4人組には他人事ではなかろう」 それを聞いて京太郎は何か言いたげにまこを見たり3人娘を見たり落ち着かない様子であたりを見渡した。 「京太郎、そんな顔をせんとも言いたいことはわかる」 「夏の大会メンバーで言えば鶴賀の東横や風越の文堂あたりがでてくるじゃろう。それでも」 しばし沈黙するまこ。 「インターハイでの成績を考えれば3人のうち誰かは全国に行けるじゃろう」 「ですよねー」 「無論、油断していいという理由にはならん! 団体戦に出なかった無名の大型ルーキーが出てくるかもしれん」 麻雀に絶対はないしな、と付け足しつつまこは3人娘に視線を送る。それを受けてはい、と元気よく返事を返す。 だが、その言葉に京太郎はふたたび心がざわめくのを感じた。 (絶対はない……本当か? 本当にそうなのか?) その内心を知ってか知らずか、まこは京太郎に視線を向け、びしりと指を突きつけた。 「問題はお前じゃな。京太郎」 「え、あ、はい……」 唐突な名指しの声に思考を打ち切り我に帰る京太郎。まこと目を合わせると何か意地の悪い笑みを浮かべていた。 「インターハイ中はほとんど目をかけられなかったというのに、自分なりに学習を進めておったようじゃな」 「はい、一応……」 「とはいえ、自分の実力は把握しておるじゃろ?」 「休み期間中にやっていたというネト麻の牌譜を見せてもらったがまだまだミスが多い」 「うぐっ」 「だーかーらー」 にぃ、という擬音が聞こえてきそうな笑みだった。 「これから大会に向けて京太郎を徹底的に鍛え上げる。今までろくに始動できなかった分たっっっぷりとな」 ぶるりと身震いする京太郎の横から和が何か楽しそうに言葉を続けた。 「私から染谷先輩に須賀君の特訓の話を持ちかけたら、染谷先輩もそのつもりだったみたいです。よかったですね、須賀君」 「なるほど犬の強化月間ってことか。それは楽しみだじぇ! 腕が鳴るじぇ!」 「よかったね京ちゃん! もちろん私も協力するよ!」 わいわいと、本当に楽しそうにこれからの教育プランを話し合う4人を見て、 決して見捨てられていたわけではないという喜びを感じつつも…… (どうなるんだ、俺……) 嫌な予感が止まらない京太郎であった。 その後、京太郎は4人とかわるがわる打ち続けことごとく叩き潰される時間が続いた。 本日は初日ということで軽めに――とはいえそれなりに打ってはいるのだが――終わったのが京太郎にとっては幸いであった。 今日1日で1か月分は負けたのでは、と思えるほどのすりつぶされっぷりあった。 事務仕事があるというまこを残し4人は校舎を後にした。 「それじゃあまた明日なー!」 「須賀君、咲さん。また明日」 「ばいばーい」 「おう……じゃーなー」 とりとめのない話をしながら歩いていたが分かれ道となり京太郎と咲、優希と和という組み合わせで別れた。 「あー……づがれだ」 「お疲れ様、京ちゃん」 二人だけとなったタイミングで軽く愚痴りながら大きく伸びをする。 げっそりとしている京太郎とその横で朗らかに笑う咲。 時間的には夜とは言えまだまだ暑い。時間を考えずけたたましくなく蝉の音を聞きながら二人は帰途についていた。 二人の間に特に会話はないが付き合いの長さが成せる技か、気まずさは特になかった。 沈みかけた日に伸びる自分の影を見つつ京太郎はふたたび自分の心のしこりに悩まされていた。 (沢山打った) (そして沢山負けた) (3位をとれたのが数回あっただけであとは全部ラス) (何だこれ? 麻雀ってそんなゲームなのか? こんなに運の要素が強いゲームなのに、こんなに勝てないものなのか?) (俺が弱いだけ……本当にそれだけで済まされる話なのか?) (牌効率や押し引きを学んで……埋められる距離なのか?) 京太郎は隣を歩く咲に目を向ける。 それと同時に長野大会での最後の場面が京太郎の頭によぎった。 『カン』 (……) 『ツモ』 (あれが) 『清一色、対々、三暗刻、三槓子、赤一、嶺上開花』 (あれが) 『役満です』 (あれが……!) 『麻雀って、楽しいよね』 (あれが技術やなんかで埋まるものなのか!?) 「……京ちゃん?」 京太郎の隣を歩いていた咲が立ち止った。京太郎から何か感じたのか、心配そうに顔を覗き込む。 心の内を悟られないように、ごまかすように京太郎は咲に問いかけた 「なぁ、咲」 「なぁに、京ちゃん?」 「このままこうやって、必死に練習を続けて、毎日毎日頑張って勉強して、そうすれば……」 叫びだしたい気持ちを必死でこらえて、京太郎は言葉を続けた。 「俺も、強く、なれるか?」 「……えっ?」 唐突な問いかけに思わず言葉を失ったが、京太郎の何かこらえきれないような、必死な様相を見て意識を取り戻した。 咲は思考する。どう答えるべきなのか。 咲自身としてはきっと強くなれる、そう信じているが……京太郎の欲しい答えというのはそんな単純なものだろうか? 何を応えればいいのか、何が正解なのか咲の頭の中でぐるぐるとまわっていた。 それでも、しばしの沈黙ののち、咲は答えた。 「ごめんね、京ちゃん……京ちゃんが強くなれるかどうかは、わからないよ。絶対、なんで無責任なこと、言えないもん」 「……そうか」 「でもね、でも、私はいつも練習するときもっと強くなれる、もっといい牌が引けるようになる、そう信じてやってるよ」 「……」 「そうすれば、きっと牌も答えてくれる。だから京ちゃんも信じて頑張ってみて」 そういいながら咲は京太郎に微笑みかけた。釣られて、辛うじてといった形だが微笑み返す。 「一歩ずつ、少しずつでいいから、頑張ろう? ね?」 「……そっか」 京太郎はそれを聞いて理解した。 「そうだよな、咲。そうだったな……頑張るよ、俺」 咲の頭に生えている特徴的な癖っ毛をピンと指ではじきながら京太郎は歩き出した。 「あぅ、ちょっとやめてよー!」 「ははっ、わりぃわりぃ。ほら、帰るぞ」 足早に歩みを進めると咲が慌てて後を追いかけた。 京太郎はそんな咲をからかいつつ、ざわめく心とがりがりと暗い気持ちが自分の心を侵食していくのを感じていた。 (そうだよな、咲) (お前には昔からすごい力があって) (努力すれば報われる) (願えば叶う。そう言う人間なんだな) (まさに牌に愛された子ってやつか) (ははっ、なんだそれ) (……くそっ) (……ずりぃ) (ずりぃよ、咲。俺だって) (俺だって、そうありたかった) (お前みたいに、何かをもって、生まれてきたかったよ) 必死に暗い気持ちを振り払う。京太郎自身前に進むには努力しかないということは心情では理解していた。 だから咲の言うとおり明日から一歩一歩頑張ろう、無理やりそう自分の中で結論付けた。 芽生えたくらい感情に無理やり蓋をしたまま。 そんな生活を続けて1か月。決して物覚えのいいほうではなかったが、判断や押し引きは以前よりも優れてきた。 大きな落手を踏むようなことも少なくなってきた。だが、それでも。 「ツモ。ツモメンホンで満ガン。これでぴったりまくりじゃな」 「うわー! 最後の最後でまくられたじぇ!」 「あぅ、私のカン材が使い切られてる……」 「……」 それでも京太郎は1か月の間1度もトップを取ることができなかった。 棚ボタな2位が時たまあったぐらいでほぼ3位4位を占めていた。 「……くそっ」 オーラスの京太郎の手配はこのようになっていた。 『京太郎手牌』 13【5】56889s南西白撥撥 ドラ6s 焼き鳥で迎えたオーラス、着順を上げるには跳満をツモるか満ガンを直撃しなければいかなかった。 そのため染めに走ったがろくに面子ができず終わった。 かといって自分の捨て牌をかき集めても――鳴きが入る可能性があるので不毛な話だが――聴牌すらできていない。 卓の下で思わず拳を固めた。 「残念でしたね。最後の局、私が打ってもそうなってましたから気にしないでください」 今回抜け番だった和が後ろから声をかける。それに対して軽く礼を言いつつも溢れてくる暗い気持ちを押しとどめていた。 (お前だったらこうはならないよ、和。ちゃんとツモが来てくれるさ。それでかっこよく逆転……だな) 「京太郎、大丈夫か? 少し休憩するか?」 暗い表情の京太郎を見てまこが心配そうに声をかける。それに対して半ば意地のように答えた。 「いや、やります。まだいけます」 「無理はするな、大分堪えたじゃろう?」 「大丈夫です、行けます……ほら、和。入れよ」 話は終了とばかりに話題を変える。まこは不承不承といった形で和に席を譲った。 「おーし、まだまだやる気だな京太郎! 頑張るんだじぇ!」 「……おぅ!」 無理やり、といった感じて返事を返す京太郎。そして、サイコロが振られた。 「ツモ。三槓子ドラ4で3,100、6,100です」 (で、結局いつものパターンか) 南2局に咲が派手に上がったところで京太郎はひとり心の中で愚痴る。 相も変わらず焼き鳥の状況。なんでもいいからあがりたい、そう考えているがそもそも勝負になる牌がやってこない。 そんな苦しい状況で自分の最後の親番は空しく流れていった。 新たに山が積まれ配牌を取っていく。 南3局 咲 34,900 京太郎 16,400 和 29,200(親) 優希 19,500 そこまで絶望的な点差ではないが相も変わらずラスにいた。 こういった状況は今まで何度もあったが全くと言っていいほど逆転の手が入らなかった。 だが、この局においては違った。4トンずつ牌を取っていくたび、京太郎の心は激しく騒いだ。 『京太郎手牌』 6s112233588p東中中 ドラ中 配牌メンホンチートイシャンテン。順子のホンイツと考えてもリャンシャンテンである。 どちらにせよ跳満、うまくいけば倍満まで見える手配だった。後ろで手を見ているまこも思わず息を飲んだ。 3人の打牌が完了し、震える手で第一ツモに手を伸ばした。 『京太郎手牌』 6s112233688p東中中 ツモ6p (っっっっっ!) 思わず叫びだしそうだった。渾身の引き。考え付く限りで最高の引きだった。 リアルの麻雀ではダブリーは初めてであり、倍満確定のリーチを打つことも初めてだった。 震えを抑えながら6sを切り出し、宣言をした。 「リーチっ!」 「うげっ、ダブリー!?」 凹み続けていたところからの思わず伏兵を想定していなかった優希は思わず取り乱した。 次順、親の和がツモに手を伸ばし、相変わらず淀みの無い仕草で場に手出しで牌を捨てた。 東を。 「ロンッ!」 「えっ?」 勢いのいい発声に思わず驚きの声を漏らす和。 「ダブリー一発メンホンチートイドラドラ……裏2! 24,000だっ!」 京太郎以外の4人がぽかんと口をあけたのち優希が思わず声を荒げた。 「なんじゃそりゃっ!」 「うるせー! お前が言うな!」 即座に突っ込み返す京太郎。京太郎と優希は憎まれ口をたたき合うが、その顔には久方ぶりの笑みが浮かんでいた。 「……さすがに読めませんね」 「うん、これはね。和ちゃんが切らなきゃ私が切ってたし」 そういいながら咲は手の中にぽつんと浮いていた東をぱたりと倒した。 「やりおったのぅ、京太郎。初のトップが見えてきたぞ。きばりんしゃい」 まこのそんな嬉しそうな言葉に京太郎は気を引き締めた。 (そうだ、まだ終わったわけじゃない。オーラス何とか軽く流して終了するんだ) 南4局 咲 34,900 京太郎 40,400 和 5,200 優希 19,500(親) 高鳴る心臓を抑えながら配牌を取る。 『京太郎手牌』 34m45s1145688p北白 (悪くない! 何とか平和かタンヤオが作れれば、勝てる!) 北を切り出しながら、京太郎の初トップに向けての道のりが始まった。 その後、5萬を引き入れツモ切りが続いた7順目。 『京太郎手牌』 345m45s1145688p北 ツモ5p (っ! 良型変化への種!) 引いてきた5pを手に仕舞い込み打北とする。 そして次順 『京太郎手牌』 345m45s11455688p ツモ6p (よし! 来た!) 平和確定のツモ。それを見て京太郎は場を見渡す。 『咲捨牌』 1⑨白撥二⑧④ 『和捨牌』 四二西西⑧⑤② 『優希捨牌』 中1南東二九白 (咲は普通の平和系、和は……チャンタか、清一色かな。優希もタンピン系っぽいな) どちらにせよ、そこまで不穏な感じは受けないと判断し、京太郎は1筒に手をかけて場に切り出した。 その時、まこが思わず小さく息を吐いたが幸いにして誰も気づかなかった。 そして次順 『京太郎手牌』 345m45s14556688p ツモ3s (聴牌だっ! これをあがれば) 滑るように1筒に手をかけて場に切り出した。その瞬間、まこのうめき声を京太郎は聞いた。そして 「ロン」 和のよく通る声が響いた。その瞬間京太郎は理解した。 (和は4確や3確をするようなやつじゃない。つまり) 『和手牌』 19m9p19s東南南西北白撥中 ロン1p (逆転の手が入ってる、って……こと……だ……) 「国士無双。32,000です」 終局 咲 34,900 京太郎 8,400 和 37,200 優希 19,500 負け続けてきた京太郎を支えていたもの プライドか、意地か、仲間への思いなのかそれは本人にもわからない。 だが 京太郎を支えてきた「何か」が、ぽきり、と音を立てて折れた。 「うわー……すごいよ、和ちゃん」 呆然としている京太郎。その横で咲があまりにもドラマティックな展開に驚きの声を漏らす。 「まさかこんなにタイミングよく刺さってしまうとはのう」 京太郎と和の手牌を後ろから見ていたまこはそう言いながら天を仰いだ。 「少々出来すぎでしたがね」 和はそういいながら苦笑する。そして呆然とする京太郎に視線を向けた。 「あの、す、須賀君? 大丈夫ですか?」 心配そうに声をかける和だが京太郎は反応を示さない。そんな和を尻目に優希は京太郎の隣に立って背中を軽く叩いた。 「シャキッとしろ京太郎! まったく、どんな手恰好だったんだ?」 そう言いながら優希は京太郎の手配を倒した。 「ふんふん、なるほど……。京太郎、そこまで悪手ってわけじゃないがこの振り込みは防ごうと思えば防げたじぇ」 京太郎はピクリ、と体を反応させ、うつむいた姿勢のまま自分の手配に目をやった。 「お前が1筒対子落としの際は捨て牌はこうなっていたはずだじぇ」 『京太郎手牌』 345m45s11455688p ツモ6p 『咲捨牌』 1⑨白撥二⑧④ 『和捨牌』 四二西西⑧⑤② 『優希捨牌』 中1南東二九白 「確かに1筒ならチー聴も取れるけど、防御ってことを考えたら8筒のほうが圧倒的に安全だじぇ?」 「まぁ、無論私にあたる可能性が0ではないけど」 優希の指をぼんやりと見つめる京太郎。 「まぁ、とは言ってもそこまでの落手、とは言い切れないじぇ。というか国士とはだれも読めないじぇ」 「とは言えもうちょいっと防御のほうにも」 「やめてくれ」 絞り出すような京太郎の声が聞こえた。部室の中がしん、と静まり返った。 「もう、わかった。わかったから。俺が悪かった。俺が下手くそなのが悪かった。だから、もう勘弁してくれ」 ぼそぼそと、うつむいたまま呟く京太郎。それを聞いて何か腹を据えかねたのか優希が食って掛かる。 「なにをふて腐れてるんだじぇ! 敗北から学ばなくて一体どうやって成長するつもりなんだじぇ!?」 だが、その声にも反応せず京太郎は言葉をつづけた。 「もうダメだ。どんだけやってもお前らには勝てない」 「勝てないんだ。どんだけあがこうと」 「お前ら持ってるやつにはどんだけやっても勝てないんだ」 「っ! 京太郎!」 かっとなった優希がつかみかかろうとしたところに慌てて咲が押しとどめる。 「優希ちゃん待って! 落ち着いて!」 「離すんだじぇ咲ちゃん! 京太郎、お前はそんな奴だったのか!? 強くなりたいんじゃなかったのか!?」 余りの事態に和は動揺を隠せずにいた。まこは落ち着かせようと一喝するために息を吸い込んだ瞬間だった。 京太郎から押し殺すような、うめき声のような、鳴き声のような、そんな声が聞こえた。 「つらいんだ。もう、麻雀を打ってても」 「差を見せつけられるばかりで。何もできないまま終わっていくばかりで」 「だから」 「……もう、嫌だ」 弱弱しかったが、痛いほど意思が伝わってきた。 それは、京太郎からの麻雀に対する、メンバーに対する拒絶の言葉であった。 それを聞いて、憤っていた優希も、必死になだめようとしていた咲も、動揺していた和も、 如何に収めようか気を揉んでいたまこも言葉を失った。 静まり返る部室。優希が何か言いたげにするが結局何も言えずに視線を落とした。 「……今日はここまでにしよう。3人は先に帰っとれ」 まこが搾り出すように言った。苦渋の色が強く現れており、苦しげな声であった。 「わしは少し京太郎と話をしてから帰る」 「だ、だったら私も」 いてもたってもいられない、といった様相で咲がまこに食いつく。 だが、まこは頭を振り、3人に近づいて小さく言った。 「今後の……今後の、話じゃけん。3人がいると話にくかろう」 「!」 つまり、彼が今後、どうするのか。 辞めるのか、辞めないのか、そういった話になるまこはそう言っていた。 「京太郎、お前、麻雀部を……」 普段からは想像もつかない様な非常に寂しげな優希の声は最後まで紡がれることはなかった。 そして、それにも反応を示さず、京太郎は俯き続けた。 「……ゆーき、咲さん。行きましょう?」 「の、和ちゃん」 咲は何か言いたげに京太郎と和に視線をさまよせるが、後ろ髪引かれながらも部室を後にした。 優希もそれに続く。ぱたん、と扉が閉まる音が響いて部室には京太郎とまこが残された。 「……何か飲むか?」 しばしの沈黙の後に、まこは京太郎に声をかけるがそれに対して無言で首を振る。 ほうか、と呟いて京太郎の前に椅子を引き、座った。 「すまんかった。皆つい熱が入りすぎたようじゃ。あそこまで負けが込めば……嫌にもなろう」 そう言いながらまこは京太郎に頭を下げる。再び沈黙の時が流れる。 その間もまこは京太郎に頭を下げたままだった。そんな中、沈黙を破ったのは京太郎だった。 「すみません、気を使わせて。俺が悪いんです。俺が、耐えられないってだけで」 拳を強く握り締める。そんな京太郎の声を聞き、まこも顔を上げた。 「わかってるんです。皆、俺のためを思ってやってくれてる。俺のために言ってくれてる。だけど……だけど……」 京太郎の体が震える。今にも泣き出しそうな声で目の前にまこに言葉をぶつける。 「それがつらいんです。皆に、追いつける気がしなくて。自分がまるで強くなってる気がしなくて」 「確かに、ネト麻ならたまに勝つこともできます」 「この前、先輩の店に行って打たせてもらったときも、まぐれでしょうが1回トップを取ることができました」 何かを思い返すように天井を見上げる。その目頭は緩んでいた。 「でも、駄目なんです。このメンバーと打っているとお前の成長なんて大したもんじゃない」 「お前の実力なんて大したものじゃない。お前はいくらやっても絶対に勝てない。お前のやっていることは無駄だ」 「そう言われているみたいで……残酷な事実を突きつけられてるみたいで」 再び俯く京太郎。そして、こらえきれないように、涙がこぼれた。 「つらいんです。麻雀を打っていても嫌な苦しくて辛い気持ちばかりで……。だから」 若干の沈黙が入る。 まこは次に続く言葉をある程度想像できていたが、その想像が外れていることを強く願った。 「もう、麻雀部を辞めます」 無論、そのようなことはなかったが。 静まり返る部室。すっかり蝉の声も聞こえなくなった長野の夜は、静かな羽虫の声が聞こえていた。 京太郎は、何も言わない。俯いたまま時折鼻をすすっていた。 まこは京太郎のその姿を見て、自分の無力さ、愚かさに叫びだしたい気持ちであった。 唇をかみ締める。 (……アホか。そんなことしても、何の解決にもならんわ) 頭を振る。無理やりに頭を落ち着かせて立ち上がり、京太郎の傍らに立つと丸まった背中をそっと撫でた。 「すまんかった、すまんかったのう。こんなに追い詰めてしまっていたとは。部長として、先輩として気づいてやるべきだった」 びくり、と体を震わせる京太郎。 「京太郎の気持ちに気付いてやるべきだったな」 少し間をおいてありったけの気持ちを込めて言った。 「本当に、すまんかった」 京太郎の体が再び震えだす。泣くのを必死にこらえているようだった。 それをみて軽く微笑んで語りかける。 「泣きたかったらないてもええんじゃぞ?」 「……大丈夫です」 「ほうか」 まこは、それ以上何も言わずに京太郎の背中をさすり続けた。 しばらく経ち、京太郎が落ち着いてきた時を見計らってまこは口を開いた。 「京太郎の言いたことはわかった。じゃが……」 ぽん、と軽く頭を叩き、そのまましゃがみこんで京太郎の顔を覗き込む。 「もう少し、考えてみてくれんか? 1週間でいい。時間を置いて、それでも辞めたいというのなら……もう止めはせん」 「1週間……ですか」 「うむ。今の京太郎は心身ともに疲れきっとる」 「決断を咎めるつもりはないが、少し麻雀から離れてみてその上で結論を出しても遅くはなかろう?」 「でも、俺」 「お願いじゃ」 有無を言わせぬ、と言った体でまこが京太郎の顔をじっと見つめる。 その視線になにかいたたまれなさ、後ろめたさを感じた京太郎は思わずうなずいた。 「わかりました。少し、麻雀から離れて考えて見ます」 「ありがとうな。ともかく1週間、ゆっくり休んでくれ。部活漬けで疲れたじゃろ?」 「……うっす」 うなずきつつ、まこは時計を見た。すでに7時を過ぎており、外は真っ暗であった。 「さて、そろそろ帰るか。わしはちょっとやることがあるけぇ、先に帰るといい」 「……わかりました。それじゃあ、失礼します」 何か言いたげな京太郎だったが、結局立ち上がり、頭を下げて部室を扉を開けた。 「染谷先輩」 「ん? なんじゃ?」 扉に手をかけた京太郎は振り返らずに言った。 「たぶん、考えは変わらないと思います。わざわざ毎日辛い思いをしに来るのはもう、嫌です」 そう言い残して京太郎は扉を閉めて去っていった。 まこはしばしの間京太郎が出て行った後の扉を見つめていたが、徐々に体が震えだすのを止められなかった。 「わしは……わしはいったい何をやっているんじゃ」 麻雀卓に寄りかかるように座り込む。 「これから、これからだというのに、こんな、こんな……」 清澄高校麻雀部は名声は手に入れた。 来年になればきっとたくさんの部員が入ってくるだろう。 その時、京太郎が後輩に舐められぬよう、京太郎には地力をつけてほしかった。 沢山部に尽くしてくれた分、彼にも名声を手に入れてほしかった。 高望みかもしれないが、次の個人戦で活躍してほしかった。 そうすれば周りから揶揄されたり批判されることもないだろう。 彼自身が負い目を感じることもないだろう。 そうなってくれることを心から望んでいた (だが、全部、これでは全部、台無しではないか!) それからしばらくまこは一人、悔い続けていた。 次の日、京太郎は暗い顔で通学路を歩いていた。周りに人影は少ない。 もう朝練に出る必要はないのだが、染み付いた習慣は抜けず、結局先日と同じ時間に家を出ることとなった。 (どうするかな。授業が始まるまで予習でもするか? らしくねー) そう自嘲気味に笑って歩みを進める。 学校まであと少し、と言ったところで曲がり角を曲がるとそこには見覚えのある姿があった。 特徴のあるくせっ毛、小柄な体系、小動物系な顔立ち。 どう見ても全国の猛者と渡り合った人間には見えない。 「咲……」 「おはよ、京ちゃん」 「……何してんだ。こんなとこで」 訝しげに尋ねると、少し弱弱しく咲は笑いながら言った。 「京ちゃんを待ってたの」 「お前……俺がこの時間に家を出なかったらどうするつもりだったんだよ」 「でも、来てくれたよね。京ちゃん」 早朝の澄んだ空気の中、二人はしばらく立ち尽くした。 京太郎は何を言うか迷っていたが、先に口を開いたのは咲だった。 怯えと、期待が半々の表情で咲は京太郎に問いかける。 「朝練、一緒に行こう?」 「いや、俺は休む」 「そっか」 「……意外と冷静だな」 「うん、染谷先輩からメールで京ちゃんは1週間ぐらい麻雀から離れるって聞いてたから」 「知ってたのにわざわざ聞いたのか?」 「だって、もしかしたら、って、思って……」 顔を伏せる。その姿に京太郎は若干心が痛んだがそれを振り払うように歩き出した。 「じゃあ、俺は先に……」 「待って!」 京太郎は歩みを止める。だが振り返らなかった。 拒絶の意思が見えるようで、咲の心はチクチクと痛んだが、言葉を続けた。 「ちょっと、1週間だけ、お休みするだけだよね」 むしろそれは問いかけというより願望だったのだろう。言葉の端々が震えていた。 「麻雀部、辞めちゃわないよね?」 再び沈黙。咲は神に祈るかの表情で、京太郎の言葉を待った。 京太郎には咲の顔を見えていないがどれほど不安な顔をしているのか、なんとなく想像ができた。 「いや、辞める」 「……えっ?」 「辞めるよ、麻雀部。1週間後、退部届を持っていくつもりだ」 「嘘……」 「嘘じゃない」 「嘘だよね?」 「嘘じゃない」 「京ちゃん、また私のことからかってるとか、そういうことだよね」 奥歯をぎゅっと噛みしめる。今にも泣きだしそうな咲の声に心がざわめく。 京太郎は大きく息を吐いて、振り向いた。 京太郎の想定通り、やはり咲は今にも泣きそうな顔をしていた。 「嘘じゃない。からかってもいない。もう麻雀が嫌になった。だから、もう、辞める」 再びの沈黙。咲の悲しそうな顔を見て思わず京太郎は視線を逸らした。 「京ちゃんは、私たちと打つの、嫌なの? みんな嫌いになっちゃったの?」 京太郎は何も答えない。正直、京太郎はそれに対して何と答えればいいのかわからなかった。 咲は何も答えない京太郎を見てさらに言葉を続けた。 「私は、京ちゃんと一緒に打てて楽しいよ」 泣きそうな顔で、それでも無理やり微笑んで言った。 その言葉が、京太郎の何か、心の暗い部分に触れた。触れてしまった。 その感情を必死で抑えつけてた蓋が弾け飛び、もう自省は効かなかった。 体温が上がり、なにか、得体のしれない感情が体を支配していく。 それらを吐き出すように、京太郎は口を開いた。 「そりゃお前は楽しいだろうな、咲」 「……京ちゃん?」 京太郎の雰囲気が変わったことを感じる咲。 これまで向けられたことがないような視線を感じ、体を震わせた。 「あんな風に上がれて、欲しい牌がツモれてそりゃ楽しいだろうさ」 拳を強く握りすぎているせいか、京太郎の手が震えていた。 「長野大会の時の数え役満みたいなこと、できたら楽しいだろうな。うん、絶対楽しいよな」 ははは、と乾いた笑いが響いた。京太郎の態度に動揺が隠せず、咲は言葉が出ない。 その様子を見て京太郎は更に言葉をぶつける。 「でもよ、咲。お前、俺の立場に立った時、胸張って楽しいって言えるか?」 「逆転の手が欲しいときに手が入らない」 「軽い手が欲しいときに手が入らない」 「たまのラッキーパンチはそれ以上 パンチで叩き潰されて」 「1か月間、どれだけ打ってもトップが取れない……」 京太郎の頭の中で、そんなことを咲に言っても仕方ない。やめろ、傷つけるだけだ。そう訴えかけている。 だが、止まらない。京太郎の心の中にヘドロのように堆積した感情は止まらなかった。 「お前はさ、咲」 「お前は……」 「お前はそんな状況でも楽しいって言えるのかよ!」 人気のない、早朝の道に京太郎の叫び声が響いた。 咲は言葉を失っていた。 京太郎とは中学生のころの付き合いだがこのように怒鳴られるのは初めてだった。 そもそも、京太郎がこのような悪意、敵意といった負の感情を露わにしているのを見るのが初めてだった。 軽い口げんか程度はすることはあった。 だが、京太郎はいつも笑って、くだらないことを言って咲をからかっていた。 そのあまりのギャップに咲は現実を認識できないでいた。 「どうした? 答えろよ」 乱暴に急かされ、咲は我に返る。 そして京太郎の問いかけに対して思考を及ぼされるが、考えても考えても結論が出なかった。 「だよな。答えられないよな?」 咲は待って、と声を出したかった。だが、いくら考えても答えが出せずにいた。 いや、そもそも出せるはずがないのだ。当たり前の話であった。 「だってお前、そんな状況になったこと、ないもんな」 そう、彼女は考えうる限り、何もできない、といった状況になったことが殆どなかった。 ましてやそれほど長時間打ち続けて全くトップが取れないなど、全く記憶がなかった。 「当たり前だよな。お前は何かをもっていて、俺はもっていない」 京太郎の脳は必死に自分の感情を押しとどめようとする。 取り返しのつかない一言を言ってしまう前に。 「そんなお前が、俺みたいなやつに対して、楽しいか、だって?」 (やめろ) 「嫌みか? 馬鹿にしてるのか?」 (咲を見ろ。もう泣いてるだろ) 「そんなわけないだろ。麻雀はやっぱり、勝たなきゃ楽しくないんだよ」 (口を閉じて、謝るんだ。辞めるにしても咲を傷つける必要がある?) 「俺は」 (せっかく咲は麻雀を楽しく打てるようになったんだぞ!) 「俺は!」 (やめろ!) 「俺はお前らと打っても楽しくもなんともない!」 言い切った後で京太郎は我に返った。完全な拒絶の言葉を口にしてしまったことに驚く。 「京……ちゃん」 ぽろぽろと、涙をこぼす咲。 京太郎は激しく後悔する。決して咲を泣かせたいわけではなかった。 そう、別に咲が憎いわけではなかった。 「ごめん、ごめんね、京ちゃん。ごめんね、私、京ちゃんを苦しめていたんだね」 故に、目の前で泣きじゃくる咲を見て京太郎の心は引き裂かれたような痛みを感じた。 「ごめんね、私のせいで……ごめんね」 次々と咲の目から涙が零れ落ちる。京太郎は何か言おうとするが言葉にならなかった。 「わ、私、きょ、京ちゃんの気持ち、何も、何も考えて、なくて、ご、ごめんなさい」 しゃくりあげながら言葉を震わせながらも京太郎に謝罪の言葉を吐く。 零れ落ちる涙をポケットから取り出したハンカチでぬぐい、咲は顔を伏せた。 「ごめんなさい、ごめんなさい……」 咲が謝るたびに京太郎は自分の心が切り裂かれていくのを感じた。 何かを言わなければ、謝るか何か、言わなければと思って必死に口を開いた。 「……すまん、言い過ぎた」 そう、口にするのが精いっぱいだった。 咲はそれを聞いて最後に一言謝ると、そのまま京太郎のわきを通りぬけてまっすぐ学校に向けて駆け出して行った。 京太郎はその背中を追いかけることも言葉をかけることもできずに呆然と立ち尽くした。 早朝の清澄高校部室。 麻雀卓には和、優希、まこがすでに席に着いていた。 「京太郎、やっぱり来ないのかな」 優希はそう言いつつ、卓のふちに顎を乗せながら牌を手で弄る。 それを聞いて和は顔を伏せながら呟いた。 「……どうでしょう。いえ、多分、来ないと思います。来てほしいとは思いますが」 昨日の振り絞るような京太郎の声を聴いて和の思考はどうしても悲観的な方向に流れていく。 「どうじゃろうな……」 まこはそう相槌を打ちながら、昨日の去り際のセリフを思い出していた。 ――わざわざ毎日辛い思いをしに来るのは―― 部を預かる身として突き刺さる言葉であった。 「昨日ののどちゃんの国士、強烈だったからなー」 「……私もできすぎだとは思います。でも、あがらないのはそれはそれで、須賀君に対する冒涜です」 「そうだけどさー」 和と優希の間でそのような会話をしていると部室の扉が開いた。 3人が一斉に扉を開けるがそこにいたのは京太郎ではなく咲であった。 「おーう、咲ちゃん。おは……よ、う?」 優希がいつものように明るく挨拶しようとしたが、言葉を失った。 咲はハンカチを片手にボロボロと泣きながら部室に入ってきたからだ。 「咲さん、いったいどうしたんですか!?」 和が慌てて咲に駆け寄る。優希とまこもそれに続いた。 「和ちゃん……私、私」 「咲さん?」 「私、私、京ちゃんに酷いこと、酷いこと言っちゃった」 「咲、京太郎と、会ったのか!?」 まこが驚きの声を漏らす。 それからも何かを言おうとするが言葉にならない咲。その背中をさする和。 優希とまこもそれを心配そうに見つめた。 しばらくして、まだ泣いてはいるが咲から何かあったかを聞いた3人はそれぞれ言葉を失った。 京太郎がそれほど感情を露わにしたこと、それほど鬱屈した思いを抱えていた、そして 「楽しくない、か」 ぽつりと優希が呟いた。 3人それぞれ、この1か月京太郎の力になろうとしていた。 だが、それが京太郎を苦しめるだけに終わったという事実に打ちのめされていた。 昨日の様子を見て和も優希もなんとなく悟っていたことであったが、それでも心に響く。 (なぜこうなることを予期しておかなかった!) そしてまこは一人悔いていた。 京太郎は今不安定だからそっとしておいてやろう、その一言を連絡しなかった昨日の自分を悔いた。 (恐らく、京太郎が一番複雑な思いを抱えているのは咲だろう) (一番長い付き合いで、あいつが連れてきたんだからな) (それぐらい、わかっていたことじゃろうが!) まこの目の前では咲がまだ泣いている。優希がそれに釣られて涙をこぼしていた。 和は二人を必死になだめようとしているが、その本人も目に涙を浮かべていた。 (部長を引き継いで、たった1か月。それなのにもう部の崩壊の危機) 京太郎は部を去ろうとしている。咲はとても麻雀が打てる精神状態ではないだろう。 優希にも和にも心にしこりを残したはずだ。 (わしは、何をやっているんじゃ。本当に) 悔しくて、無念で、口惜しくて、必死にこぼれそうになる涙をまこは必死に堪えていた。 その時、唐突に部室の扉が開いた。 「おっはよー。元部長が久しぶりに様子を見に来たわよー……って、どうしたの、これ」 そこには8月をもって部を引退した元部長、竹井久が立っていた。 「この1か月精力的に活動してるって話は聞いてたけど、そんなことになってたのね」 あの後、とてもではないが朝連などできる状態でないと判断したまこは3人娘に朝連の中止を告げた。 しばらく泣きじゃくっていた咲は和や優希に慰められながらようやく落ち着きを取り戻し、2人とともに部室を出て行った。 咲の泣き声が聞こえなくなり、静かになった部室でまこは久にこれまでの経緯を話し、現在に至る。 「すまん、本当に。引き継いでたった1か月だというのに、こんなことになってしまった」 まこは顔を伏せ、罰を受ける子供のように頭を垂れた。 それを見てあわてて久は言葉をかける。 「ちょっと、やめて。別に誰が悪いなんて責めるつもりはないわ」 「しかし……あんたのときは、こんなことにはならなかったじゃろ?」 そうまこが言うと久は若干ばつが悪そうにため息をついて、苦笑した。 「それは私が部長の立場でいたときに、誰もが頭を悩ませる初心者の育成って言うことに対して先送りにしてたからよ」 後悔の念を感じさせるように、久は言葉を続ける。 「きっと、私がまこの立場でも同じ失敗をしていたと思う。私だって、須賀君には強くなってほしいしね」 (放置気味の方針をとってしまった私が言うのもなんだけどね、まったく) この事については久の心の中に若干のしこりとして残っていた。 最後の夏ということでなんとしても勝利を、とわき目も振らず突き進んでいったが、そのせいで京太郎を蔑ろにしてしまった。 (今考えると、本当にひどい話だわ。よく着いてきてくれたわね、彼) 小さくため息をつく久。 しばらく沈黙が続くが、とても頼りげのない声でまこが口を開いた。 「……正直、もうわしはどうしたらいいか。1週間考えてくれとはいったが、このままじゃ間違いなく辞めてしまうじゃろう」 嫌われてしまってだろうしな、と言葉を付け足して椅子にもたれかかった。 まこは部長という立場でなければ泣き出したい気持ちだった。 (これは、重症ね。皆) このままでは京太郎の退部とともに皆バラバラになってしまうだろう。 久はなんとなくそんな予感がした。 とは言え、それ以上に久には何かの確信があった。 (でも、取り戻せないわけじゃない。きっと) (きっかけはちょっとのすれ違いのはず。だから……) 久は佇まいを直してまこに向き直った。 「わかったわ。この件、ちょっと私に任せてみない?」 「えっ?」 「かわいい後輩たちが悩んでいるんだから、一肌脱ぎましょう。ね?」 「しかし、これはわしらが……」 「まこたちだけの責任じゃないわ」 わしらが悪い、そういいかけたまこの言葉をさえぎる久。 「彼の教育を丸投げしてしまったのは私だし、この状況の種を作ってしまったのは私の責任よ」 それは半分懺悔であったのだろう。辛そうに、とても辛そうに久は言葉を続けた。 「だから、お願い。私に任せてもらえないかしら?」 まこはそれを受けてしばらく黙るも、小さく頷いた。 「……すまんな」 「いいのよ。ただ、彼を絶対に連れ戻せるかどうかわからないけど」 そういって立ち上がり、大きく伸びをした。 「一度、話はしてみたいからね。彼がどう考えているか。須賀君の口から聞いてみたい」 「京太郎ー! 部活行かなくていいのー?」 「……今日は休みー」 土曜日。いつもだったらとっくの昔に部活のために学校に向かっている時間帯であったが、 京太郎は自室でゴロゴロとしていた。 階下から聞こえる母親の問いかけにも気だるげに返事をする。 咲とのあの一件から丸1日が経った。 あの後、クラスでも咲と目を合わせることができずそそくさと帰宅した。 メールや電話で謝ろうと思って何度も携帯を手にとったが、結局何もできずにいた。 「そう、ならいいけど。この前言っておいたけど、お父さんとお母さん、出かけてくるからね」 「あーい……」 「夜には戻るからね。昼は適当に済ませなさいねー!」 「あー……」 「もう、部活が休みならちゃんと勉強しなさいよー!」 そう言うと玄関の扉が閉まる音が聞こえて沈黙に包まれた。 「……どうするかなー」 京太郎は暇を持て余していた。ここ最近は空いた時間はすべて麻雀につぎ込んでいた。 単純な話、そんな生活から麻雀をなくせば暇になるのは当たり前の話である。 「勉強……って気分じゃねーよなー」 枕元の本棚に目線をやる。すべて読み終わった漫画の隣に何冊かの麻雀教本が置かれていた。 和が貸してくれたもの、勧められたて自分で買ったものが並んでいる。 京太郎は視線を外して体を起こした。 勉強机に視線をやる。咲がいろいろコメントをつけてくれた牌譜が重ねて置かれている。 部屋の隅に目をやる。まこがくれた麻雀牌とマットが置かれている。 視線を下げる。自分の手を見ると麻雀漬けのせいかすっかりと荒れた手が見える。 手を握り締めて、ざわめく心を振り払うように首を振り、顔を上げた。 目の前の壁に、写真が1枚貼られていた。全国大会後、東京を後にする前に撮った写真だった。 『最後にもう1枚だけみんなに写真を撮ろうじぇ! せっかくだから東京駅をバックに!』 『またかよ……ったく、ほら、カメラ貸せよ。撮ってやるから』 『? 何言ってるんだじぇ。お前も入らなくてどうするんだじぇ?』 『嫌、だって俺は……』 『あーもう! つべこべうっさいじぇ! そこのおねーさーん! 写真撮ってほしいのじぇ!』 『って、あいつ……』 『ふふっ、ほら、京ちゃんこっちこっち』 『須賀君は一番大きいんですからしゃがんでくださいね』 『あらあら両手に花どころじゃないわねー須賀君』 『うりうり、嬉しいかの京太郎』 『あーほら、京太郎! もっと詰めろ! 入れないじぇ!』 『だー! タコス押すな! 倒れる倒れる!』 ――それじゃ、撮りますよー!―― ――ハイ、チーズ!―― 写真の中では一番前でしゃがんだ京太郎の頭をみんなが撫でまわしたりつついたりしている。 写真の中の京太郎は困った顔をしつつも笑っていた。 皆が皆、とても楽しそうに、幸せそうに笑っていた。 とても、幸せそうに。 『京太郎、お前、麻雀部を……』 『須賀君……』 『すまんかったの、京太郎』 『ごめん、ごめんね、京ちゃん』 床に拳をたたきつけて立ち上がる。京太郎は壁の写真に向かって手を伸ばす。 コルクマットに留められた写真を手に取った。 力を入れようとする。決別をするかのように、それを引き裂こうとする。 「……なんで、できないんだ」 それでも、引き裂くことはできなかった。 嫌な思いをしたはずなのに、辛い思いをたくさんしたはずなのに。 もう部活はやめると決心したはずなのに。 京太郎はそれを引き裂くことができなかった 「くそっ」 写真をもう一度コルクマットに留めた。 そのまま踵を返して、ベッドに腰掛けた。 そのタイミングだった。 ピンポーン、とよく響く音が家の中に響いた。 「誰だ?」 恐らく郵便や宅配の類と考えたが、京太郎の部屋の窓からは玄関が見えないので1階に下りなければ確認できない。 「……別にいいか」 京太郎は居留守を使うことを選択した。 母親からは特に何も聞いていないので重要なものではないだろう、と判断した。 だが、10秒ほどしてもう一度インターフォンが鳴った。 無視をする。 更にもう1回。 無視をする。 更にもう一回。 無視をする。 そしてもう一回。 「あーもう! 誰だよ!」 根負けした京太郎は1階に下りリビングに備え付けられたインターフォンの受話器を手に取った。 「はーい?」 「あっ、宅配便でず。はんごいだだげまずが?」 ワザとらしいほど低い声だった。首をかしげながらもハンコを引出しから取り出し、玄関に向かった。 (腰の強い業者だな、しかし) そう思いながら、玄関の扉を開けた。 「はいはい、はん、こ……?」 「やっほー、久しぶり。お届け物です」 そこには元部長、竹井久が立っていた。 「部長、なに」 「私はもう部長じゃないわよ」 「……竹井先輩」 1か月近く会っていなかった先輩の登場に京太郎は事態が理解できないでいた。 「なんで俺の家……あーいや、元部長だから知ってるか。そりゃ」 「そういうこと。久しぶりね。元気してる?」 にやにやと、いつもの何かを企んでるような笑みを浮かべていた。 「いや、そうじゃなくて、なんで、俺の家に?」 「須賀君、暇でしょ?」 質問に質問でかぶせる久。思わず言葉を失う京太郎。 「ん? どうしたの? 暇じゃないの?」 「いや、あの質問の意図が……」 「そのままの意味よ? 暇なんでしょ?」 「まぁ、暇、ですけど」 染みついた下っ端根性からくるなにかなのか、反射的に答えてしまう京太郎。 それを聞いて満足そうに微笑むと久は言った。 「須賀君、デートしましょ?」 「……はっ?」 「暇なんでしょ、一緒にどこか遊びに行きましょ?」 「いや、でも」 あまりの内容に思考が追い付かず、あいまいな返事を返してしまう。 「ほらっ! さっさと着替えてきて! 5分以内ね!」 「はっ、はい!」 慌てて踵を返し、自分の部屋に戻ってジャージ姿から私服に着替え始める。 (っていうか何だこれ?) (何だこの状態?) (デートって、えっ?) 京太郎はそう思考しつつも久の言うとおりに身支度を整え、玄関に戻ったのはきっかり5分後だった。 「さーって、どこに行きましょうかねー」 「……」 楽しそうな久といまだに納得がいかない表情をしている京太郎が街中を連れ立って歩いていた。 京太郎は久の真意がつかみあぐねていた。 現在の部の状態を誰かから聞いたのだろう。それはわかる。 それを聞いて何かしらの目的をもって訪ねてきたのだろう。それもわかる。 だが、それとこのデートが結びつかない。問いただそうと京太郎は口を開いた。 「部ちょ……竹井先輩、いったい何を」 「あっ、須賀君! ゲーセン行きましょゲーセン!」 指差す方向にはこの辺りでは一番大きなゲームセンターがあった。 問い詰めようとした京太郎の言葉は遮られ、行き場を失った。 「須賀君、ゲーム得意?」 「あ、え、はい、まぁ、好きですけど」 「よし! じゃあ格ゲーやりましょ。最近はまってるのよねー」 「はまってるって……先輩、受験生じゃ」 「あーあー聞こえない。ほら、行くわよ!」 そういいながら久はゲームセンターに駆け出して行った。 何か腑に落ちないものを抱えつつも、京太郎は後を追った。 「……負けた」 ゲーセン内の隅にある休憩スペースで、口から魂が出てきそうな雰囲気を纏わせながら久はベンチに座っていた。 ゲーセンに着くなり最近盛り上がってる格闘ゲームを二人でやったがおおよそ9:1で京太郎が勝利を収めた。 「先輩。不利フレーム背負ってる状況で暴れすぎですって」 「あーその、私ってほら、ここぞって時で悪い待ちをしちゃうのよ。私それで」 「負けてますよ?」 「あぐっ」 「あとなんすか、リバサ投げとか。無敵ついてないですよあれ」 「いや、つい悪い待ちを」 「だから負けてますって」 「うぐっ」 完全にやり込められて言葉を失う久。 京太郎は久のこういう姿を見るのは初めてだったため、思わず笑みがこぼれた。 「ははは、さすがに格ゲーも麻雀のようにはいかないわね」 お手上げ、といった感じで久が笑う。京太郎は久の隣に座ってその言葉に頷いた。 「まぁ、格ゲーは悪い行動をすりゃ基本自分が不利になるだけですからね」 「いやー、難しいわねー」 久は軽く伸びをして立ち上がった。 「さて、ちょっと失礼するわねー」 どこへ、と聞きかけた京太郎は久が向かった方向――トイレがある――を見てあわてて口を閉じ、はい、と返事をした。 「やった! 見ろよほら! 大三元大三元!」 久が席を立ち少し経った後、そんな叫び声が聞こえた。 見れば中学生ぐらいの男子3人が麻雀ゲームの筐体に集まっていた。 「うおーすげー!」 「やるじゃん!」 「すげーだろすげーだろ!?」 アガった本人も友人もとても楽しそうにはしゃいでいた。 その笑顔は京太郎にはとても眩しく見えた。 「私もあんな頃があったわねー」 「あっ、ぶ……先輩、おかえりなさい」 ただいま、と返事して久はふたたび中学生達を見た。 「初めて役満あがった時とか興奮のあまり卓に足をぶつけちゃったぐらい」 「あ、俺もです。ネト麻ですけど……。深夜に叫んで親に怒られました」 「ふふ。みんな同じね。でも、だんだん、勝つことしか考えなくなってくるのよね」 当たり前の話だけど、そう結んで久は寂しげに笑った。 「最初は麻雀が打てるだけで楽しかったのにね」 京太郎はその言葉に返事を返せなかった。 最初のほうは三色や一通が上がれただけでうれしかった。 初めてメンチンをあがった時は何度も何度も待ちを確認して恐る恐るあがった。 役満を聴牌した時など、ひきつった顔をしてしまい、皆に笑われた。 負けても笑っていられた。勝てなくても笑っていられた。 少なくとも入部したころはそうであった。 いつから、そう思い始めていたのか。 思い返してみると、意外と最近なことが分かった。 (そっか、そうだったんだな) 長野県大会を優勝し、インターハイでも優秀な成績を残したメンバー。 表彰されインタビューを受けている5人を見て嫉妬の心がなかったと言えば嘘になる。 だが、京太郎はそれ以上に思った。 (自分もあそこで、あの横に並んで立ちたい) (舞台の上でで強豪たちと渡り合い、立ち向かっていく) (その一打で観客を魅了し、驚かせ、感動させる) (そんな存在になりたかった) (そして、仲間と、一緒に並んで立ちたい) (そう思ったんだった) (そこからだったんだな。勝ちたいと願い始めたのは) (強くなりたいと願い始めたのは) (皆がいて、俺にとって大好きで憧れの皆が居たから) (そう、思ったんだった) 「どうしたの、須賀君?」 ぼうっ考え込んでいた京太郎は久に声をかけられて我に返った。 気がつけば中学生たちも居なくなっていた。 「大丈夫です、すみません」 「ふーん……」 久はそれを聞いて何かを考えた後、いたずらを思いついた子供のように笑った。 「須賀君、あれ、やってみない?」 「えっ?」 久が指差す方向には先ほどまで中学生たちがプレイした麻雀ゲームの筐体があった。 全国のゲームセンターに設置されており、日本全国のプレイヤーと対戦できるそのゲームは なかなかの人気を誇っている。 麻雀の内容だけを見ればネット環境が整っていれば無料でできるネト麻とさほどさほど変わらないが、 ポイントをためてアバターを着飾らせたりチームを組んで対抗戦をしたりと多様な機能が揃っている。 京太郎も何度かプレイしており対応のカードも所持していた。 「考えてみればしばらく須賀君と打ってないしね。どれぐらい須賀君が上手くなったのか見てみたいわ」 「いや、でも」 今は麻雀から離れている、そう言って断ろうとしたが久に手を引かれて言葉が打ち切られる。 「いいからいいから。あれもネト麻みたいなものでしょ? だったら気楽なものじゃない。ねっ?」 そう言いながら京太郎の腕を掴み引っぱった。流されるように京太郎は立ち上がり、筐体に向けて歩き出した なぜか強く断れない自分に京太郎は首を傾げつつ筐体の椅子に座った。 「さっ、早く早く」 そう言いながら、久も隣に座る。 こういった筐体はに備え付けられた椅子は狭い。 詰めれば2人座れないことはないが、必然的にかなり近い距離で座ることになる。 少し身じろぎすれば肩が触れ合う距離。 京太郎は思いがけない事態に激しく動き出す心臓の音を感じていた。 (部長、やっぱいい匂いするなー……って、いやいや! なに考えてんだ!) 邪な考えを振り払いながら京太郎は筐体に100円を投入した。 そんな京太郎の心中を察しているのかしないのか、久は楽しそうに見ていた。 自分のカードを読み取らせ画面をタッチして対局メニューに進む。 10数秒ほど待つと程なくメンバーが揃い対局が始まった。 派手な演出とともに牌が配られる。2シャンテン、と小さく文字が表示されていた。 「さすがお金かけてるだけあって派手ねー。しかもシャンテン数まで出してくれるんだ」 「えぇ。というかこのシリーズ、演出がどんどん派手になってくんですよね。派手すぎて初めての人は大体驚きます」 そう言いながら手の中でポツリと浮いていた北を切り出す。 淡々と場が進み7順目。 『京太郎手牌』 456m34678s34p西西 ツモ5p ドラ9s 画面上ではリーチというアイコンが激しく点滅している。 特に悩みもせず京太郎はそのアイコンを押してリーチをかけた。 「……へぇ」 「え? 何かおかしかったですか?」 「いや、そういう手をリーチ出来る子だったのね、須賀君」 くすくすと笑いながら久は画面を指差す。 「てっきり、麻雀は三色だ、とか言いながら345の三色の手代わりを待つかと思ってたわ」 「ぶち……竹井先輩の中で俺はどういうイメージなんすか」 心外だ、と言いたげな表情をして画面を指差した。 「単純計算、手代わりの4枚とあがり牌の8枚じゃ確立が違いすぎます。確かに平和のみですけど、この麻雀赤がありますし」 そこまで言ったタイミングで画面が暗転し2索を引いてきて、手元のアガリボタンが激しく点滅した。 それを軽く叩きアガリを宣言する。 「平和手、特にこんな順子が被らない平和は」 画面の中で裏ドラがめくられる。表示された裏ドラ4萬だった。 「裏ドラの期待値が高いですからね」 メンピンツモ裏1で1,300-2,600のツモアガリ。なかなかの好スタートだった。 「はぁー、須賀君から期待値って言葉を聞くことになるとはねー」 「なんすかそれ。まぁ、和の受け売りですけど……」 そこまで言って軽く心がきしんだ。 その痛みを振り払うように画面に目を向ける。 ちょうど親番である東2局の配牌が配られたところだった。 『京太郎配牌』 12244689s45p西北北白 ドラ6p 少し手が止まった後、西を切り出す。すると隣でへぇ、久の呟きが聞こえた。 「染めに行かないのね。ぱっと見た目染め手の手配だけど?」 「一応、点数的にはリードしてますからね。確かに染めに走れば仕掛けられますけど」 場に北が打ち出される。それをスルーして話を続けた。 「北ポンしたところで形は苦しいですし、ドラの受け入れ切ってまで行くほど見込める点数が高いわけでもないですから」 だったら、といいながら画面に目をやる。3索をツモり、少し考え白を打つ。 「普通に平和なり何なり作ったほうがいいと思うんです」 これは染谷先輩の受け売りですが、と付け加えて画面を操作していく。 2順ほど端牌をツモ切り、赤5萬を引き当てた。 『京太郎配牌』 122344689s45p北北 ツモ【5】m ドラ6p 3秒間ほど考え、9索を切り出した。 「一通も見ないのね?」 「タコスにお前は一通という役を忘れろと言われましてね……」 次順で7萬を引き打2索として手配はこのように変わった。 『京太郎手牌』 【5】7m1234468s45p北北 ドラ6p 「あと一息ってところね」 「えぇ、愚形が残る可能性が高いですが……それでも」 次順、5索を引き打8索。 さらに2順ほど場に切れた字牌引きで空振るがついに聴牌となる牌を引き入れる。 『京太郎配牌』 【5】7m1234456s45p北北 ツモ3p ドラ6p 「残念。安めな上に愚形が残っちゃったわね」 「えぇ、でもこれは」 「即リーね」 「はい」 1索を場に打ち出してリーチ宣言をする。 「うん、よく捌ききったわね。偉い偉い」 まるで子供をあやすような声で京太郎を褒める久。若干むくれながらも、京太郎は口元をほころばせた。 その後、6萬を引きあがり、裏ドラも乗せて4,000オールをあがったのはそのすこし後であった。 「ほんと、大分練習したのね。かなり上手くなっていて驚いたわ」 ゲームセンターにほど近いファーストフード店で二人は向かい合って座っていた。 そんな久の言葉に京太郎はコーラをすすりながら気のない返事をする。 「そうですか?」 あのあと数回プレイしたが、結果すべて1~2位で終わることができた。 京太郎の段位が初段から2段に上がったタイミングでゲームセンターを出てこうして昼食をとっている。 「えぇ、前みたいに何でもかんでも押したり何でもかんでも下りたりってそんなこともなかったし」 久は手元のポテトを口にくわえて言葉をつづけた。 「手役を無理に追いかけることもなくて、素直に打っていたしね」 「そりゃ、まぁ、基本じゃないですか」 「その基本がちゃんとできていない人がいるのよ、意外と。きちんと自分の打牌に理由を持っている人なんてさらに少ないものよ」 それでも納得がいかなそうな京太郎は首をかしげた。 「でも、よかったわ。ほんと」 カップのふちを何気なく叩きながら久はどこか嬉しそうに言った。 「須賀君、麻雀のこと嫌いになったわけじゃなかったのね」 「えっ?」 その言葉に京太郎はぽかんと口を開けた。 「まこからいろいろ聞いたけど、須賀君が麻雀を嫌いになってしまったんじゃないかって、心配だったのよ?」 「……やっぱり染谷先輩から話を聞いてたんですね」 「えぇ、そうよ」 「じゃあ、今日俺を連れ出したのも……」 俺を引き留めに来たんですか、と続けようとしたところで久は言葉を遮った。 「それは違うわ。私は須賀君と話がしたかっただけ。ここの所会ってなかった後輩とね」 「……」 どこか訝しげな表情で京太郎は久を見る。 「あら? 信じてくれないの?」 「何か裏がなきゃ竹井先輩が俺をデートになんて誘ってくれるわけないですからね」 「ははーん、裏があると思って、本当のデートのお誘いじゃなくて拗ねてるのね?」 「違いますっ!」 (だめだ。やっぱりこの人には敵わない。どうしてもペースを乱されるし、なぜか言われたことに従っちゃうんだよなぁ) 心の中で京太郎はぼやいた。無論、実際に口に出すとさらにからかわれるので言わないが。 「ふふっ、でも話がしたかったっていうのは本当に本当よ」 佇まいを直し、笑みは浮かべたままだがどこか真剣な雰囲気で言った。 「ああいうことがあって、須賀君が麻雀を嫌いになってしまったらとても悲しいことだから、ね」 なんと返していいかわからず、京太郎は黙り込んだ。 「でも、さっき麻雀を打ってる姿を見て確信したわ。須賀君はまだ麻雀を嫌いになっていないって」 だって、と一拍おいて本当にうれしそうな笑みを浮かべていった。 「私に打牌の説明をするとき、裏目を引いちゃって悔しがっているとき、欲しいところを引いてきたとき」 ふふ、と久は小さく笑った。 「本当に、楽しそうだったわよ。須賀君」 (そう、だったのか?) (嫌いになった。いや、嫌いになったはずだ?) 京太郎は自問自答する。だが、霧がかかったように自分の本心が分からない。 「『何切る』な手になった時にいろいろ説明して切った後、想定通りに引いてこれた時とか、須賀君すごいドヤ顔してたわよ」 「ま、マジですか」 全く記憶のない衝撃の事実に京太郎は思わず顔が熱くなる。 そんな様子の京太郎を見つめて久は楽しそうに笑った後、さらに言葉を続けた。 「でもね、それ以上に嬉しかったのは」 「須賀君がみんなのことを嫌いになってないっていうこと」 「それが本当にね、本当に嬉しかった」 沈黙が二人の間に流れる。 京太郎はその言葉に対して言い返そうとした。 (嫌いだ。嫌いになったはずだ) だが、その言葉が出ない。言い返す言葉が見つからなかった。 その様子を見つめながら、久は言葉を続ける。 「須賀君が何かを説明するとき、誰々に教わったことって必ず付けていたの、気が付いた?」 「えっ?」 「ふふ、やっぱり無意識だったのね。その時、どこか誇らしげにしてたり、申し訳なさそうな顔、してたわよ」 「……そこまで、見てたんですか。俺が打ってるの見てるだけなのに妙に楽しそうだな、とは思いましたけど」 「それだけ表情がコロコロ変わってればね」 恥ずかしそうな、ばつが悪そうな顔をしながら京太郎は下を向いた。 「嫌いな人の名前をあんな風に言うはずないものね。ほんと、嬉しかったわ」 再び、沈黙。 久は京太郎の言葉を待っているようだ。 「でも……」 「うん?」 「それでもあいつらと麻雀打つのがつらいのは、事実です」 拳を握りしめる。あのときの無念さが京太郎の心に蘇ってきた。 「勝てなくて、どれだけ打っても勝てなくて」 「みんなも俺のために力を尽くしてくれて。それでも勝てなくて」 「差を、見せつけられてるみたいで、本当に、つらいんです」 絞り出すような京太郎の独白を久は黙って聞いていた。 黙りこくってうつむく京太郎を見て久は周りを見渡した。 「……混んできたみたいね。一旦出ましょ?」 「……はい」 京太郎は暗い顔のまま、久は何かを考え込むかのような顔で店を後にした。 店を出て久はどこかに向けて歩き出す。 京太郎は虚ろな表情で着いていく。 繁華街から離れて徐々に物静かになっていくが、2人とも何も言わずに歩き続けた。 しばらく歩いた後、久は手元の時計で時間を確認し、後ろを振り返った。 「……まだ少し時間あるし、ちょっと座りましょうか」 久が指し示すほうには公園があった。 「……何か予定でも、あるんですか?」 「いいからいいから」 暗い顔で尋ねる京太郎を押し切り久は公園に入って言った。 京太郎は少し立ち尽くしたのち、黙って後を追った。 「休みだっていうのにほとんど人がいないわねー。最近の小学生は外で遊ばないのかしら?」 久は公園に入るなりブランコに座って漕ぎだしながら言った。 京太郎は何も言わず隣のブランコに腰を掛けた。 「ねえ、須賀君。いくつか聞いてもいい?」 「……どうぞ?」 「麻雀って中国で生まれて日本に来て、それから世界的な競技になったけど、なんでそこまで世界的に広がったと思う?」 「なんでって、そりゃ、面白いから、とか、楽しいから、ですか?」 「ふふ、それが真理だと思うけどね」 久はブランコを小さく揺すった。きぃきぃと、金属のこすれる音が響いた。 「須賀君、貴方将棋やチェスはできる?」 「えっ? まぁ、駒の動かし方ぐらいは……」 いきなり質問の内容が変わり京太郎は動揺しながらも答えた。 「じゃあ、貴方今から今から羽生プロと将棋を指して勝てると思う?」 「何を……そんなの無理に決まってるじゃないですか」 「そうよね。私も将棋に関して駒の動かし方ぐらいだけど、8枚落ちでも絶対に勝てないわ」 久の質問の意図がつかめず京太郎は首をかしげた。 「でも、麻雀は違うわ。どんな強い人間でも初心者を負けることはある」 「……」 京太郎にとってはその言葉については納得しかねるものがあったが、口をつぐんだ。 「麻雀は運が絡むからね。そう、だからつまり」 ブランコを揺する手を止めて久は京太郎に向き直った。 「麻雀ってクソゲーなのよ」 「……えっ」 まさかの発言に京太郎は思わず声を漏らした。 「く、クソゲーって、そ、そんな」 「あら? 勝負の行方がある種運に左右されるなんてクソゲー以外の何物でもないじゃない?」 どこか楽しそうに久は言った。 「じゃあ、須賀君。さっきやった格闘ゲームなんだけど、私が振った攻撃が2分の1でガード不能になるって言ったらどう思う?」 「……クソですね」 「攻撃をガードされた時、2分の1で不利だけど2分の1で有利なら?」 「とってもクソですね」 「でしょ? まぁ、極端な例だけどね。将棋だってそうよ。最初にじゃんけんして負けたほうは飛車角落ちでやるとか、酷い話でしょ?」 「そりゃ、まぁ」 「でも、麻雀ではそれがまかり通っている。最初のスタート地点も違う。途中経過も違う」 「かといってカードゲームのように降りてゲームから離脱することもできない。クソゲーじゃない。これ?」 「いや、それを言っちゃうと……」 「でもね」 久はブランコから軽くジャンプして着地し、伸びをした。 そして笑みを浮かべながら京太郎に向かい合う。 「だから面白いのよね、麻雀て。クソゲーがつまらないとは限らないとはよく言ったものね」 楽しげに笑う久。京太郎は返事を返さず、そんな久を見つめた。 「麻雀って強い人が勝つとは限らない。そんな理不尽さがあるから楽しいと思うの」 「確率を超えた、計算を超えた何かがある。そこから生まれる何かがある」 そこまで言い切って、久は真剣みを増した表情で、続けた。 「その理不尽さ。それにはきっと誰にもかなわない。咲も、お姉さんの照さんも、天江衣も誰も彼も」 「……そうでしょうか? 正直、想像がつかないです」 咲が麻雀を打っていてツモが全く来なくて嘆いている、そんなシーンが想像できなくて京太郎は久に問いかけた。 「気持ちはわかるわ。彼女らのオカルトめいた『何か』はきっと人間がその理不尽に対抗するために生まれた『何か』なんだと思う」 「理不尽に、対抗する『何か』……」 「ある種の進化なのかしらね? だから通常では考えられないような手をあがる。勝ち続ける」 でもね、と一旦間を切ってどこか悲しそうに、どこか寂しそうに 「それでもきっと理不尽なそれに屈するときがある。もし、もし、強い人が必ず勝つ。そんなことがあれば」 ため息をついて、言った。 「それはもはや麻雀ではないわ」 「もちろん、技術や知識は必要よ。麻雀は確率のゲームでもあるから」 しばしの沈黙の後、久はそう言葉を続けた。 「だから強くなるためには勉強や訓練が必要なことも事実。だから」 久はブランコに座ったままの京太郎の前にしゃがみ込み、京太郎の顔を覗き込んだ。 「信じて戦い続ければ麻雀の理不尽さが味方してくれる時が、きっと来るわ」 「たとえ須賀君が対抗するための『何か』を持っていなかったとしても」 「『何か』をもっていなくても麻雀は勝てる。もたざるものでも、もつものには勝てる」 そう言って、久は京太郎の腕を優しく撫でた。 「私はそう信じているわ」 「……でも、それって、残酷な話じゃないですね」 俯いていた顔を上げ、久と目を合わせる。顔が近いが、なぜか照れはなかった。 「俺みたいにもってないやつは、もってるやつに1勝するまで、どれだけの敗北を差し出さなくちゃいけないんですか?」 「百か千か万か……俺は勝つためにそれだけ負け続けなきゃいけないんですか?」 「もってないやつってのは、それを受け入れなくちゃいけないんですか?」 「そんなの、俺には……耐えられない」 ブランコの鎖を強く握りしめる。がちゃり、と音が鳴った。 「……」 久は内心歯噛みした。久自身そうは思ってはいない。自分以上の化け物はウジャウジャいる。 そう思っていても、彼からすればもっている人間なのだろう。 心を悔しさに支配されつつも久はバッグから1枚の紙を取り出した。 「須賀君、ちょっと、これを見てもらえる?」 「……なんですか」 打ちひしがれた顔でその紙を取出し、広げた。 「牌譜……?」 そう、そこに書かれいたのは見覚えのない字で書かれた牌譜だった。 「これ、だれの牌譜ですか?」 「いいから、読んでみて」 意図がつかめないまま、言われるがままに目を通した。 「……酷いですね」 5分ほどその牌譜に目を通していた京太郎がポツリと言った。 「感想?」 「えぇ、ここ」 そう言いながら牌譜を指差した。 東1局南家 6順目 『???手牌』 123m22288s12278p ツモ9p ドラ2m 「聴牌しましたけど、打1筒でリーチしてません。個人的には即リーですけどまぁ、それはいいです。問題は次順ですよ」 『???手牌』 123m22288s22789p ツモ4p ドラ2m 「ここでなぜか2筒切りリーチしてます。だったらなんで6順目でリーチしないんですかね?」 「同じ3筒待ちなら6順目に2筒切りでリーチできるのに」 和に見せたら絶対に叱られますね、そう結んで牌譜を久に返した。 「ふふ、ありがとう。須賀君も言うようになったわね」 牌譜をしまいながら久は笑った。 「で、結局誰の牌譜なんですか?」 「これはね、これから会う人の2年前の牌譜よ」 そういいながら久は立ち上がった。京太郎の返事を聞かずに歩き始める。 「さっ、行きましょ?」 「へっ、行くって、会うって……」 その声には答えず久は先に進んでいく。状況が理解できないまま、京太郎は久の後を追った。 「先輩、いい加減にどこに行くか、誰に会うか教えてください」 公園を出て10分ほど歩いたところで痺れを切らした京太郎は久に尋ねる。 「もうそろそろよ……ほら、あそこ。もう待ってるわね」 久が指し示す所には古めかしい雀荘が立っていた。その前に一人の髪の長い女性が経っていた。 久はその女性に近づき声をかけた。 「お待たせ。今日はごめんなさいね、急に」 「何、ついでといえばついでだ。で、そっちの彼が?」 「えぇ、私の後輩の須賀京太郎君」 髪の長い女性が京太郎に向き直った。 京太郎はその女性に見覚えがあった。 (長野県大会決勝のあの舞台、咲と戦った) 「初めまして。須賀君。私は加治木ゆみ。よろしく」 (鶴賀学園の、団体戦大将!) 京太郎は、思わぬ出会いに言葉を失った。 「おじさーん、久しぶり!」 自己紹介もそこそこに、久に導かれる形で京太郎とゆみは雀荘内に入った。 店内は若干古めかしかったが落ち着いた内装であり、8卓ほどある卓のうち3卓がが埋まっていた。 「おぉ、久ちゃん、元気にしてたかい?」 店主と思われる初老の男性が笑みを浮かべながら久を出迎えた。 (相変わらず部長の人脈は謎だな) 店主と親しげに話す久を見て前々から思っていたことを再度認識した。 「1卓だね。そっちの卓を使ってね」 「ありがと、おじさん。さ、行きましょ」 そう言いながら、店主が指差した方向に歩き出す久。 ゆみと京太郎は顔を見合わせながらもその後に続き、卓に座った。 「……とりあえず、改めて挨拶させてもらう。私は加治木ゆみ。よろしく」 「どうも、須賀京太郎です。よろしくお願いします」 そう挨拶しながらも京太郎は目の前のゆみについて思考を及ばせる。 鶴賀の大将。咲や衣相手に苦戦しつつも一歩も譲らず喰らいついていたことは京太郎の記憶にも残っている。 特に咲に対してチャンカンの一撃を当てたとことは昨日のことのように思い出せる。 インターハイを通して、咲が放縦した数少ない機会であったからだ。 「しかし、何で加治木さんがここに?」 京太郎の質問を受けてゆみはチラリと久に視線を送った後京太郎に言った。 「何、以前の私と似たような悩みを抱えている後輩が居ると聞いてな。お節介かもしれないが少し話をさせてもらいにきた」 「同じ、悩みって……」 県大会決勝のあの立ち回りを見て自分と同じ人種だとは思えない。 そういう感情が顔に出ていたのか、ゆみは軽く笑った。 「牌譜は、見てくれたか?」 「はい、一応……」 「酷かっただろ? 意味の無いダマから謎の1順まわしてリーチ」 自分のことなのに、とても可笑しそうにゆみは笑う。 その様子に多少申し訳なさを感じつつも京太郎は頷いた。 「それがわかるだけ、2年前の私より君のほうが遥かに上手い。同じ立場なのに凄い違いだな」 「同じ、立場?」 「あぁ、私も麻雀を始めたのは高校生になってからだ。雀暦で言えば2年ちょっとしかない」 その言葉に絶句する。たった2年程度であの境地に辿り着いたというのが信じられなかった。 「まぁ、当時の部員は2人だけだったからな。指導者も居なければ教えてくれる先輩も居ない。いろいろ大変だったよ」 何かを思い出すかのように、遠い目をするゆみ。京太郎と久は何も言わずに言葉の続きを待った。 「その牌譜は私が当時の風越キャプテンと打ったときの牌譜だ。1年生のときに長野県下の麻雀部が集まる交流会があってな」 ため息をつく。苦い思い出なのだろうか、先ほどよりは多少口ぶりが重くなっていた。 「酷い負けっぷりだった。3日間ほどの交流会の中での出来事だったんだが、さすがは名門」 「キャプテン以外も一人一人が悪魔じみた強さだった」 そのタイミングで店主が3人にグラスに入った麦茶を持ってくる。 ゆみはそれを手に取り軽く口をつけると話を続けた。 「だが当時のキャプテンの強さは異常だった。何をしても聴牌できない、アガれない、トップが取れない」 「1局で箱を4つ被ったときは泣きたくなったよ」 京太郎の心がざわめく。似ていた。自分の心が折れた状況と。 「一時は麻雀が嫌になった。あんな化け物たちに勝てる気がしなかった。……辞めようとも、思った」 麦茶のグラスをサイドテーブルに置く。 グラスの中の氷がからん、と音を立てて鳴った。 「だが、後からその牌譜をもらってな。落ち着いて、ゆっくりと見直してみたんだが、まぁ、酷い」 「自分なりにはしっかり打てているつもりだったんだがな」 一呼吸を置いて、京太郎のほうを見た。 思わずどきりとして京太郎は体をすくめた。 「自分には、まだできることが残っている。まだ足りないところが沢山あるんだと」 まっすぐな瞳だった。 凛、という言葉が非常に似合う。 京太郎はそんなことを思った。 「それからは無我夢中だったよ」 そこでゆみは若干自嘲気味に笑った。 「お宅の宮永咲やうちのモモみたいなオカルトめいた『何か』は持ち合わせていないしな」 卓に置かれた牌を1つ取り、手の中でもてあそびながら言葉を続けた 「自分に足りないものは何か。考えて模索して、試行錯誤してそれでも負けてもう一度考えて」 「戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って」 「気が付いたら2年経っていた。まったく、高校生活というのは短すぎる」 はは、と軽く笑ってゆみはふたたび麦茶に口をつけた。 そこまでゆみの話を黙って聞いていた京太郎は初めて口を開いた。 「でも……」 「うん?」 「でも、そこまで足掻いても、咲や天江衣には勝てなかったですよね」 押し殺すような声。思わぬ発言に流石の久もぎょっと口を挟もうとするが、ゆみはそれを手で制した。 「ふふ、事実とは言え君はなかなかきついことを言うんだな」 ゆみが苦笑しながら京太郎に返事を返す。京太郎は頭を下げつつも、発言を取り消すことはなった。 「……すみません。でも俺思うんです。『何か』をもっている連中には何をしても勝てないんじゃないかって」 再び、京太郎の中に暗い感情が戻ってくる。あの苦しみ、あの悔しさが京太郎を苦しめる。 「竹井先輩は信じて進めばきっと勝てる日が来るって、言ってくれました。でも……でも!」 歯がきしみ、握りしめた拳からは血が出そうだった。 「いつ来るかわからないそのために、どれだけ負けて、どれだけ耐えればいいのか……俺には、そんなの無理です」 京太郎の絞り出すような独白をゆみは真剣な顔で、久はどこか辛そうに聞いていた。 「加治木さんは……耐えられるんですか? 」 「校3年間を費やしても結局持ってる連中には敵わなかった。嫌にならないんですか?」 京太郎はゆみの顔をまっすぐ見て訪ねる。その縋り付いたような視線に何かを感じ、ゆみは答えた。 「耐えられないと言ったらうそになる。やはりあの日は悔しさで眠れなかった」 やっぱり、そうなんですね。そう言おうとした京太郎の言葉にゆみの言葉が覆いかぶさった 「だが」 「私はだからと言って歩みを止めるつもりはない」 「高校での挑戦は終わってしまったが次は大学というステージでもう一度戦い続ける」 「な、何で」 よろり、と京太郎の体がよろめいた。 ゆみのその口ぶりに一切の嘘は感じられず、むしろ強い意志が感じられた。 「なんで、そんな」 もはや、後半は言葉になっていなかった。 「簡単な理由だ。須賀君流に言うなら『何か』を持っている連中。彼らは確かに強い。だが」 「進まねば、勝てない。闘わねば、勝てない。挑まねば、勝てない。」 「今の私がもう一度天江衣クラスの人間と打っても、勝つのは難しいかもしれない。それでも」 「挑まなければ、負けたままなんだ。私は、勝ちたい。『何か』を持っている連中に勝ちたい」 「私は私が望んだ勝利を手に入れたい。その勝利のために百や二百、千や万の敗北が必要ならくれてやろうと思う」 「この先、無念さに押しつぶされそうになるかもしれない」 「悔しさに泣いてしまうこともあるかもしれない。絶望のあまりに歩みを止めそうになるかもしれない」 「だが、一度自分が選んだ道、進んでみようと思った道だ。『何か』が無くとも戦って戦って、勝ってみせる」 「そのために、もっともっと足掻けるだけ足掻いて戦い抜こうと思う」 「それだけだ」 京太郎は言葉を失っていた。 目の前にいる女性が自分と同じ人間なのか、そうとまで思った。 余りにも凛としたその姿に京太郎の心はかき乱される。 ――挑まねば、勝てない―― なぜか、その一言が心に突き刺さった。 「ところで須賀君」 「は、はい」 唐突に話を振られ、京太郎はびくりとしながらも返事を返した。 「君は今、『何か』を持っていないのかもしれない。だが、それが未来永劫そうなのだと誰が決めたんだ?」 「……えっ?」 「もしかしたら、それは厳しい修練の先にあるのかもしれない。敗北に塗れ、辛酸を舐め尽くした上で手に入るものなのかもしれない」 「い、いや、それは」 それは、考えてもみなかった発想だった。 そういった連中は生まれた時から、気が付けばもっている類のもの。 一種の才能めいたものなのだと思っていた。 「どちらにせよそれは歩み続けなければ、前に進もうとする意志がなければわからないことだけどな」 「……」 京太郎は、それに対して反論できなかった。 「っと、すまない。若干責めるような言い方になってしまったな」 呆然とした様子の京太郎を見て慌てて小さく頭を下げるゆみ 「私の言ったことが正しいことなどというつもりは全くない。『何か』については完全に推測だしな」 京太郎は小さくいえ、と返すのが精いっぱいだった。 すると、ここまで黙って二人のやり取りを眺めていた久が口を開いた。 「そうね、須賀君。私は決して部に戻るように説得するために加治木さんを呼んだわけじゃないの」 どこか悲しそうな顔で久は顔を伏せながら言った。 「ただ、須賀君。あなたはこの先のことをどうするかきっと悩んでいると思ったから、貴方に近い人の話をしてもらおうと思ってね……」 (ただ、強烈過ぎたかもしれないわね。正直ここまでの人だとは思わなかったわ……) 久は若干後悔しつつも無理矢理笑みを浮かべて京太郎に向き直った。 「こう言い方はなんだけど……所詮は高校の部活よ」 「そこまでの苦しみを味わう必要はないと思う。嫌だからと言って辞めたとして、責めるつもりはないわ」 辞める、という言葉にびくりと体を震わせる京太郎。 「ただ麻雀を続けたいというのであれば、いくらでもやる環境はあるわ」 「なんだったらこの雀荘のアルバイトとしておじさんに紹介してあげる」 客と談笑する店主をちらりと見ながら久は話を続けた。 「もしくは、麻雀は趣味レベルに留めておいて、もっと打ち込める何かを見つけるっていうのもいいと思う」 「まだ1年生だもの、取り戻しは効くわ」 久は3つの選択肢を示した。 麻雀部に戻るか 麻雀部から離れ別の環境で麻雀を打つか 麻雀とは別の、打ち込める何かを探すか 京太郎の頭の中でその3つの選択肢がぐるぐるとぐるぐると回り続ける。 もはや自分でもいったい何を望んでいるのか、わからなくなってきていた。 ふさぎ込んだ京太郎を見て久は苦笑する。 「ごめんなさい、余計に惑わせちゃったわね。よし、じゃあ、せっかくだから打ちましょうか!」 明るい声で二人にそう宣言する久。 「私は構わないが……」 ゆみはその言葉を受けてちらりと京太郎を見る。 「いや、俺、麻雀は」 「1回だけ! 1回だけだから、ね?」 「でも……」 「ほら、私と加治木さんより順位が上になったらご褒美あげるから!」 「……ご褒美?」 「ふふっ」 途端に悪戯を思いついたような、とても似合う顔をして久は京太郎に顔を近づけて小さく耳打ちした。 「パンツ、見せてあげよっか?」 「!?!?!?!?!?!?」 基本京太郎は欲望に忠実な人間である。 先ほどまでの悩んでいた気持ちはまだ残っていたが煩悩というものが京太郎の中で鎌首をもたげてくる。 慌てた姿の京太郎を見て久は満足げに頷いた。 「よし、須賀君もやる気になったようだし、決まりね。おじさんに人を貸してもらえるか頼んでくるわ」 そう言いながら久は席を立ち、店主に話をしに行った。 「……一体何を言われたんだ?」 店主と何やら話している久を見ながらゆみは訝しげに尋ねた。 「い、いや、大したことじゃないですよ、は、はは」 空笑いをしながら動揺丸見えな姿で京太郎は言った。 ゆみはそれを訝しげに見つつも、話題を変えた。 「しかし、いい先輩を持ったな、須賀君」 「……えっ?」 いきなりの発言に京太郎はぽかんと口を開ける。 「先ほどはついでで来た、と言ったが実は違う。君の先輩に頼みこまれてきたんだ」 何が楽しいのか、笑みを浮かべながらゆみは言った。 「昨日いきなり電話がかかってきてな。私の後輩を助けてほしい。私の言葉では、届かないかもしれない、そう言いながら」 京太郎は黙って言葉の続きを持った。 「同じ長野県内とは言え、ここまではかなり距離があるし、いきなりだったからな。返事をしあぐねていたんだが……」 「何度も、何度も頼んできてな。ある種人を食ったようなところもある竹井があれほど必死になるとは正直想像もできなかった」 京太郎も想像ができなかった。 京太郎の中で久はいつも余裕があり、自分のペースに巻き込んでく。そんな人間だと思っていた。 「まぁ、もともと新生活に向けた下見なんかもあったしな。無理矢理予定をつけてやってきたというわけだ」 そこまで言い切ってゆみは笑いながら、どこか羨ましそうな顔をした。 「いい先輩を持ったな、須賀君。私には先輩がいなかったから、君が羨ましい」 京太郎はその言葉に返事ができなかった。 「お待たせー。メンバーの一人を貸してもらえたわー」 「よ、よろしくお願いします」 恐らく新人なのだろう、エプロンをしてどこか初々しい感じのある女性店員が久の後ろに続いた。 女性店員は全員の顔を眺めた後に、よろしくお願いします、と頭を下げた後、言った。 「全国レベルの人と比べちゃうと私の腕じゃ物足りないかもしれませんが……今日も3連続ラス引いた後ですし……」 「いいのいいの! 今日はうちの1年生も入ってるし、それに」 そこまで言って久は京太郎に向き直った。まるで、京太郎にも同意を求めるように。 「理不尽な何かが、味方してくれるかもしれないわよ」 そう、言った。 (『何か』を持っていなくても、理不尽が味方する……本当に) (本当にそんなこと、あるのか) 思い悩む京太郎を尻目に、起親決めのサイコロが振られた。 だが、京太郎はこの対局で『理不尽なそれ』を経験することになる。実際にあることだと、痛感することになる。 このタイミング、このたった1回の対局でそれが出たのは偶然か、それとも 神が京太郎を麻雀に引き留めようとしたのか。 店員 25000(親) 久 25000 京太郎 25000 ゆみ 25000 『京太郎配牌』 129m2466s68p東南南白 (萎える配牌だな……) 京太郎は内心ため息をつきながら自分の手をいかに進めるかを考え始める。 だが、しばらく考えていても親の第1打が切られず、ふと店員の顔を見た。 「あ、えーっと、うー? え? え?」 手恰好が難しいのか酷く落ち着かない様子で悩んでいた。 何度も何度も手の中を確認し、じっと見つめた後、震える手で9萬を切り出して牌を横に向けた。 「リーチ……」 震える声で宣言する。 (ダブリーだったのか。天和チャンスだったのかな?) 自分の手を見て即ベタ降りを決定する。とりあえず9萬を切り出し、そのあとは南の対子を落とそう。 そう、京太郎が思っていた時だった。 「ろ、ロンです!」 裏返った声で店員が発声する。驚いた顔で久は自分が捨てた北を見た。 「い、いかさまじゃ、ないです、からね?」 そう言いながら、店員はその手を、倒した。 『店員手牌』 111m333888s444p北 「四暗刻単騎……や、役満です!」 店員はそう発生したまま思わず飛び上がり、店長に向かって駆け寄っていった。 ――店長、役満、役満あがりました! 四暗刻あがりました!―― ――おぉ、そうか。やったねぇ―― ――はい! 麻雀初めて4年間、やっと役満があがれました! 麻雀やっててよかった―― そんな嬉しそうな声が背後から聞こえてくる。 それとは対照的に3人の間には沈黙が流れていた。 京太郎はぽかんと、ゆみは何か気まずそうに、そして久は動きが固まったままだった。 「あー、その、なんだ」 沈黙に耐えかねたのか、久の様子にいたたまれなくなったのか、ゆみが口を開く。 だが、先ほど京太郎と話してきたような流麗なしゃべり方とはかけ離れた、はっきりしないものだった。 「その、災難だったな」 京太郎も呆然としていた。ダブリーで四暗刻というのも驚いたが久が一発で振り込んだのにも驚きだった。 「あ、あの、竹井先輩」 京太郎も思わず心配そうに久に話しかける。 しばしの間呆然としていた久ははっ、と意識を取り戻し、無理矢理口に笑みを作って京太郎に向き直った。 「ど、どうだったかしら、須賀君」 「へっ?」 「り、理不尽さ、見れたでしょ。ほら、ね、私の言った通りでしょ?」 本人は余裕を持っているつもりだが、何やら震えている。取り繕ったような笑みを浮かべているが、とてもぎこちない。 最初は店とグルなのかと思った。だが、どう見ても目の前のいっぱいいっぱいな久の姿にとてもそれは感じられない。 いつもは余裕たっぷりで京太郎のことをからかう部長の姿に何やらおかしくなってきて京太郎は思わず口元を抑えて。 「ぷっ、くくくくく」 何故だか、笑いが込み上げてきて、思わず噴き出した。 「ちょ、何で笑うのよ。もう……はぁ、しかし、親役打ったのなんて、いつ振りかしら」 ぐったりと椅子にもたれかかるようにのけぞる久。 「ふむ、だったら二重の意味で貴重なものが見れなたな。これは」 「ぷ、くく。何とか余裕持って言おうとしたみたいでしたけど、いっぱいいっぱいすぎますよ、部長」 「ちょ、やめてよ、もう」 京太郎の言葉を訂正する余裕もないようで慌てる久。 久しぶりに笑った気がする。京太郎はそんなことを思った。 「はー、これは久しぶりに来たわねー。自分で言っておいてなんだけど、どうしようもないときってホント酷いわね」 「あるんですね、理不尽な何かって。役満打ち込んだところなんて初めて見ました」 「まさかこんな形で証明することになるとはね……。私は加治木さんと打ってもらうことで何か掴んで貰えればとおもったんだけど」 「私と須賀君は配牌取っただけで終わってしまったぞ」 ゆみが苦笑する。 「ほんとね」 それに対して久も苦笑で返す。 2人を見つつ、笑みを沈ませながら京太郎は言った。 「でも、これって実力って言えるんですか? こんな感じで理不尽を味方につけて勝っても……」 「それは、本当の勝利と呼べるんでしょうか?」 「勝利よ。間違いなく」 久は京太郎の問いに即答する。 「……えっ?」 「運だけで買ったとしても、それは紛れもなく勝利よ」 「でも、それって……」 「いいじゃない。『何か』を持ってる子たちってのは得体のしれない何かで勝ち続けてるんだから」 久は京太郎の眼を見る。まっすぐな目だった。 「貴方が理不尽を味方につけて勝ったとしてもケチを付けられる謂れも自分の実力じゃないなんて遜る必要もないわ」 「……でも」 それでも、納得がいかない、そんな様子の京太郎に久は続ける。 「だったら、その勝利を足掛かりに自分の納得できる勝利を目指してもう一度戦えばいいじゃない」 そう言いながら、ちらりとゆみを見る。 「そう、加治木さんのいう、自分が望んだ勝利に向けてね」 「一度も勝てない相手に挑むのと一度は勝った相手に挑むのじゃ、大違いじゃない」 にこり、と笑った。先ほどまでのぎこちなさはない。 「それに、1度の勝利が、何かを生み出すこともあるかもしれないわよ?」 そういって、京太郎の肩を優しく撫でた。 「さて、私は加治木さんを駅に送っていくからここで別れましょ?」 その後、店を出た3人はしばし歩いて駅への分かれ道で久がそう言った。 「いや、俺も行きますよ」 「須賀君の家は反対方向じゃない。大丈夫よ、まだ明るいし」 くすくすと笑いながら久は笑った。 渋々納得した京太郎はゆみに向き直り頭を下げた。 「今日は、ありがとうございました。いろいろ、本当に……」 「いや、こちらも初対面だというのに偉そうですまなかったな」 そういうとゆみは京太郎の肩をポンとたたいた。 「君がどういう結論を下すかはわからない。だが、後悔のない決断をすることを祈っているよ」 「後悔の、ない」 その言葉を反芻する京太郎。こくりと頷いてゆみは踵を返した。 「あぁ。それじゃあ、また機会があったらな」 「須賀君、さんざん貴方をいいように使った私が言っても白々しいかもしれないけど……貴方がしたいようにしてね」 「自分のために、したいことをして頂戴。……それじゃあね」 そう言い残して、久も踵を返して駅へと歩いていった。 京太郎はしばらく二人の姿を見送っていたが、やがて家に向けて歩き出した。 「今夜は、相当苦しむことになるぞ。彼は」 「えっ?」 駅へ続く道でゆみは唐突にそう切り出した。 「ただ、麻雀が好きなだけというのであれば麻雀部をやめるという結論に達するだろうがな」 「雀荘のアルバイトを喜んでするだろう。ただ……」 「……そうね。悲しいことにね」 ゆみの言いたいことがなんとなくわかった久はそれに頷いた。 「惜しむべきは清澄の麻雀部に彼と同じレベルで話をできる人間がいなかったことだな」 「でなければ彼はあそこまで悩むことはなかっただろう」 「そうね、結局彼はずっと心の底でずっと孤独感やわだかまりを抱えていたんでしょうね」 「多分な。無論、竹井たちが彼を除け者にしていたとか無視したことはないだろう」 「仲間として扱っていただろう。彼もそれはわかっているはずだ」 ただ、と繋げてゆみは何か悲しそうに言った。 「根っこのところで、どうしても割り切れないものっていうのはあるだろう。……仕方がないことだが、悲しい話だな」 それを聞いて、久は複雑そうな顔をして、ため息をついた後苦笑した。 「……あーあ、何か悔しいな」 「? どうした」 久の真意が読めないゆみが訪ねる。 「だって、初めて、今日初めて会ったのに加治木さんはもう須賀君の苦しみを分かっている」 「彼に言葉をかけられる。それに引き替え」 少し早足になり、久はゆみより少し前を歩きだす。まるで顔を見られたくないかのように。 「私はだめだった。私の言葉はほとんど届かなかった」 「竹井、お前……」 「わかってる。しなくちゃいけないことは須賀君の話を聞いて、少しでも手助けしてあげること」 「それはわかってる。烏滸がましいことだってのもわかってるんだけど」 立ち止まって、空を見上げる久。ゆみも立ち止まって言葉の続きを待った。 そして、久の口から漏れ出した言葉には悲しさと、寂しさが込められていた 「それでも、それでも先輩として、仲間として……私が彼を救ってあげたかった」 あれから帰宅し、夕食を取りながらも、風呂に入りながらも京太郎はぼうっと考えていた。 あまりにも意識が遠くに行っているため食卓で父と母から心配をされた。 それに対してなんでもない、と答えつつも京太郎はまたぼうっと考えだした。 両親は何か腑に落ちないものを感じつつも、京太郎の様子を見守った 京太郎は枕元の時計を見た。22時を過ぎている。 一日出歩いていた京太郎の両親は疲れからかもうすでに休んでおり、家の中は沈黙を保たれている。 布団に寝っころがりながら天井を見上げる。京太郎の意識は思考の海に沈んでいく。 深く、深く (どうするか? 今さらだろ、辞めるって決めたんだ) (俺には加治木先輩みたいに挑み続けるなんて無理だ。無理に決まってる) (竹井先輩のようにたった1回の勝利を目指して負け続けるなんて嫌だ) (俺はそんな強い人間じゃない) (でもやっぱり麻雀は好きだし、竹井先輩の言う雀荘でアルバイトをするっていうのもいいかもな) (それか、いっそのこともうやめちゃって他の何か……何か……) 何かをしよう、と考えるも、その何かが思いつかず京太郎は苛立つ。 (……麻雀以外の何を始めるっていうんだ。やっぱり雀荘のアルバイトかな) (あの店、雰囲気よさそうだし、店長さんも優しそうな人だったし、あの四暗刻のお姉さん結構かわいかったし) (そうしよう。それがいい) 壁の写真が目に入る。 『京太郎、タコス! 力が出ないじぇー』 『おっ、その切り出しはなかなかいいじぇ! よくやったじぇ、京太郎』 (そうと決まれば退部届、書かないとな) 枕元の教本が目に入る。 『須賀君。結果論で語ってはいけません、最善手を打ったのですから間違っていません』 『よくちゃんとオリきれましたね。無理に突っ張るかと思って心配しちゃいました。今の局には100点満点あげます』 (退部届か、どう書けばいいのかな) 隅に置かれた麻雀牌が目に入る。 『そこから鳴いて行くのは感心せんな。愚形が残る上に面子が足らんぞ? 仕掛けるならここか、ここだけじゃ』 『おぉ、その難しい待ちをよく即座に判断できた。よくやったぞ、京太郎』 何かを強く訴える思考に蓋をし、頭の中で蘇る声に耳を塞いで京太郎は立ち上がる。 勉強机にあるレポート用紙と筆記具を手に取ろうとして、それが目に入る。 「……咲」 ぽつりと呟く。 そこには咲がコメントを付けた牌譜がある。 それを無視して、レポート用紙に手を伸ばそうとする。 (俺はもう麻雀部をやめるんだ。だから牌譜を見る必要はもう、ない) 勉強机の上の本棚に置かれたレポート用紙を見つける。 (俺は、退部届を) そして、手を伸ばし、 (書かなくちゃいけない……ん、だ) ――牌譜を、手に取った。 牌譜は咲の丸っこい字で書かれており、それにプラスして咲のコメントがついていた。 ところどころ妙なイラストも描かれており思わず小さく笑みが漏れる。 『この5索切りはだめ! まずは8筒をきらなくちゃ! 最終形を考えていこうね』 『この6筒切りはすごいよ京ちゃん! 一番受け入れ多いところだよ!』 『京ちゃんよく見て! ドラ表示牌で1枚消えてるから、この中はラス牌だよ! 鳴かなくちゃ!」 『やったね京ちゃん! きれいな三色!』 『難しい待ちだよねー、これ。京ちゃんすぐにわかった?』 「……なんだよあいつ。後半はもはやアドバイスじゃねーじゃん」 牌譜を強く握りしめる。ぐしゃりと、音を立てて紙に皺が寄った。 その時、折れた拍子にちょうど見ていたページの裏側にも何かが書かれていることに気が付いた。 紙を裏返す。そこには4人分の筆跡での落書きがあった。 『大会目指して頑張ろうね、京ちゃん。 一緒に勝とう!』 『咲ちゃん甘いじぇ! 勝とうじゃなくて、勝つんだじぇ! 目指せ全国!』 『ゆーきもまだまだ甘いですね。目指すは全国優勝です。もちろん男子も女子もです』 『うむ。目標は高いほうがいいからな。清澄高校麻雀部一同、頑張っていこう』 「何で……」 牌譜が手からこぼれた。ばさり、と床に散らばる。 それを拾おうとせずに京太郎は立ち尽くした。 「何で……」 『でもね、それ以上に嬉しかったのは』 久に言われた言葉が蘇る。 「何で……!」 『須賀君がみんなのことを嫌いになってないっていうこと』 「何でだよっ!」 『それが本当にね、本当に嬉しかった』 「何で、俺を仲間として扱ってくれるんだよ……」 京太郎は思った。 無視されたほうがよかった。 見下されたほうがよかった。 見捨てられたほうがよかった。 弱いとなじられたほうがよかった。 居ないものとして扱われたほうがよかった。 ただの雑用係と思ってくれたほうがよかった。 体のいい便利屋として扱ってくれたほうがよかった。 だが、彼女らはそうはしなかった。 口では何と言おうとも、彼を対等の仲間として扱った。 どれだけ弱さを晒しても、どれだけ未熟さを露呈しても根気強く指導をした。 たとえ実力に天と地ほどの差があろうとも、彼女らは京太郎を見捨てなかった。 「くそっ、くそっ!」 京太郎は声を押し殺しながら床に膝をつく。 行き場のない感情が心の中を巡り、叫びだしたい気持ちだった。 牌譜に涙が零れる。一粒零れた後は止めどもなく零れ落ちていく。 「見捨てろよ、俺みたいに弱いやつ」 (でも) 「邪魔なだけだろ、ウザったいだけだろ」 (でも) 「大体おかしいだろ、女子の中で男子一人って。追い出せばいいじゃないか」 (そんな奴らだから) 「何で、あいつらは、俺なんかに……!」 (そんな奴らだから、俺も好きになった) 「弱いって笑えばいいじゃないか!」 (麻雀部の仲間が好きだった) 「弱いからって見捨ててしまえばいいじゃないか!」 (皆化け物じみて強いくせに、俺を仲間として扱ってくれた) 「なんで、なんで!」 (だから周りからなんて言われようと) 「なんで!」 (大会前になって打つ機会が減っても) 「なんでなんだよ……」 (皆が好きだったから、ここまで来れたんだった) そこまでの結論にたどり着いた後、京太郎は押し殺したように泣いた。 麻雀が好きだから、捨てられない。 麻雀部の仲間も大切だから、捨てられない。 麻雀部に戻れば、また負け続け苦しみを味わうことになる。 麻雀をする以上、やはり勝ちたい。 そうすると、ゆみの言うようにただ一つの勝利を目指して夥しい敗北を積み上げる必要がある。 それは平易な道ではなく、苦難の、試練の道。 それでも 「くそっ」 それでも京太郎は 「くそっ……」 その両方を、捨てることはできない。そう自覚した。 何が悲しいかはわからない。何が悔しいかはわからない。何故涙が出るのかはわからない。 「くそぉ……」 それでも、京太郎は部屋で一人、泣き続けた。 休日が終わりの月曜日の朝、麻雀部部室には麻雀を打つ4人の姿があった。 だが、雰囲気は心なしか重い。特に咲はひどく憔悴した顔をしていた。 その様子に和は心配そうに声をかける。 「咲さん……本当に大丈夫なんですか」 「ありがとう、和ちゃん。私は、大丈夫だから」 力のない笑みを浮かべながら咲はツモに手を伸ばす。 『咲手牌』 1112444m4567s中中 ツモ中 ドラ2m 手ごたえを感じる中引き。だが、咲の心は全くと言っていいほど弾まなかった。 ――お前らと打っていても―― その言葉が蘇ってきて、咲の心がずきりと痛んだ。 何とか点箱に手を伸ばし7索を切り出してリーチを宣言した。 その順は全員現物を切り、咲は一発目の牌をツモる。 『咲手牌』 1112444m456s中中中 ツモ4m 「……カン」 力のない発声だったが、宣言をする。 新ドラ中。だが、それでも咲の心は弾まない。 そして嶺上牌で2萬を引いてくる。 『咲手牌』 1112m456s中中中 暗カン4444 ツモ2m ドラ2m、中 裏1p、8s 「……ツモ。リーチ、ツモ、中、嶺上、ドラ4。4,000-8,000です」 「うげっ、親っ被りだじぇ」 優希が悲鳴を上げたところでまこが咲の上がり形を見た。 そして何やら難しい顔をして、咲に告げた。 「咲……残念じゃが、それはチョンボじゃ」 「えっ?」 咲のあっけにとられた声を聴きつつ、和もそれに続いた。 「咲さん、よく見てください。その形、2444の聴牌形にも、取れますよね?」 「あっ……」 麻雀の基本である、待ちの変わるカンはできないというルール。 確かに見落としやすい形ではあるが、咲がこのようなミスをするということは初めてであった。 「ご、ごめんなさい」 チョンボ料の満ガンの支払いをする咲を見つつ、まこは内心歯噛みしていた。 (やはりこうなったか) ミスはそれより、咲の全く楽しくなさそうな顔が気になった。 調子を崩すどころか、このままでは咲も麻雀部を離れてしまうのではないか。 咲に渡された2000点を点箱にしまい、そんな不安を必死に抑え込んだ。 「っと、親のやり直しかー」 重苦しい空気の中、優希が牌を落とそうとした、その時だった。 きぃという音を立てて、麻雀部の扉が、開いた。 「京……ちゃん」 一斉に開いた扉に視線をやり、真っ先に口を開いたのは咲であった。 皆が京太郎のほうを見ていた。 4人それぞれが、京太郎に対して言いたいことがあった。 謝りたいことがあった。聞いてほしいことがあった。 だが、誰も口を開けなかった。何かを言おうとしていたのに、言葉が出なかった。 しばらく無言の時が流れる。やがて、京太郎は歩き出し、咲の前に立った。 「咲」 「な、なぁに、京ちゃん?」 どこか、怯えが混じった混じった表情で咲は返事をする。 すると、京太郎は深く、とても深く頭を下げた。 「まず、お前に謝りたい。この前は言い過ぎた。別にお前が悪いわけでもないのに、責めるような言い方をしちまった」 頭を下げながら、押し殺したような声だった。 「本当に、すまなかった。ごめん」 「きょ、京ちゃん、やめて。私が無神経だったの。だから、ね、頭を上げて」 突然の言葉に慌てながらも京太郎に駆け寄り、肩を撫でた。 「……本当に、ごめんな、咲。許してほしい」 「いいの、京ちゃん。本当に、いいから」 涙を流しながら京太郎の言葉にこたえる咲。それを聞いて、ようやく頭を上げる。 そして、今度は全員に向き直ると、大きく息を吸って、何かを決意するように言った。 「この前は、すみませんでした。迷惑かけて、すみませんでした」 全員が、黙り込み京太郎の言葉の続きを待った。 「俺……弱いから、ずっと負け続けて嫌になって、麻雀も何もかも嫌になって、この部活やめようと思っていました」 重い空気が流れる。京太郎のむき出しの感情が込められた言葉に口をはさむことはできなかった。 「でも、でも……」 京太郎の眼尻に涙があふれる。それを必死に堪えようとする。 「やっぱり、俺、麻雀が好きだ。なにより」 だが、堪えられずに、ぽろりと涙がこぼれた。 「この部の、みんなが好きだ。引退した部長も、染谷先輩も、咲も優希も和も。皆のことが、大好きなんだ」 その言葉を聞いて、和が目を潤ませながら口元に手を当てて漏れそうになる声を必死で堪えていた。 「これからも頑張ります。弱い俺だけど、必死で強くなるように努力します」 「負け続けてまた逃げ出したくなるかもしれません。それでも前に進もうと足掻いて見せます」 「みんなに認めてもらえるように……頑張ります、だから、だから」 そこが限界だった。次々と零れてくる涙を隠すように京太郎はふたたび大きく頭を下げた。 「お願いします! 俺をここにいさせてください! お願いします!」 「散々迷惑かけて都合がいいってのはわかってます! でも、でも、俺……」 「俺は、皆と一緒に、麻雀がしたい……」 それ以上言葉にならなかった。そして何より、それを遮るようにして和が叫んだ。 「やめてください! 須賀君が悪かったとか迷惑をかけたとか、そんなことありません! 私たちが」 和は溢れてくる涙を拭いながら、必死に言葉を続けた。 「もっと貴方のことをわかろうと努力すべきだったんです!」 それだけ言って和は顔に手を当てて泣き出した。 その姿を見て優希は真っ赤な顔で、感情を爆発させた。 「何が居させてください、だ! お前はもともと麻雀部員だじぇ?」 「なんで、そんな頭を下げる必要があるんだじぇ! いさせてください、とか、そんな、そんな……!」 優希はそれ以上言わず、そういって京太郎にすがりついて泣き出した。 咲もボロボロと滝のように涙を流していた。泣きすぎていて、もはや言葉も出ないようだ。 「全く、優希の言う通りじゃ。麻雀部員の京太郎がなぜここにいることを願い出る必要がある?」 まこがそういいながら京太郎の頭を撫でた。 されるがままにしている京太郎は震えながらも言った。 「だって、俺、辞めるって、もういやだって……」 「ん? わしが聞いているのは京太郎は1週間休むっていう話だけじゃぞ?」 まこは何かとぼけたような口調で続けた。 「それに……和の言う通りじゃ。わし達はもっとお互い分かり合おうとするべきじゃった」 まこは眼鏡を取り、軽く涙をぬぐった後、再び眼鏡をかけて、言った。 「わしもまだまだ未熟な部長。京太郎にまたつらい思いをさせてしまうかもしれん。だが、わしも頑張る。だから」 すうと息を吸い、佇まいを直して京太郎に向き直った。 「もう一度、ついてきてくれるか、京太郎?」 それを聞いて、言葉にならない京太郎は涙声で、震えきった声で、はい、と言った。 麻雀部部室の扉の外。扉にもたれかかる形で久は中の会話を聞いていた。 皆が皆叫んでいるから会話は丸聞こえであった。 「よかったの、かしらね。これで」 (結局須賀君はある意味辛い道を選んだ) (これが彼にとって幸せなのかどうか) (彼が選んだ、それを免罪符にして、納得してしまっていいのかしら) 目じりに浮かんだ涙をぬぐいながら久は扉から離れた。 (あぁ、それでも) (やっぱり、須賀君が戻ってきてくれたことがうれしい) そう思いながら久は笑顔を浮かべた。 「酷い女ね、我ながら」 歩きながら軽く伸びをしてポケットから携帯電話を取り出した。 「さーて、加治木さんにお礼の電話を入れないとねー」 どこか楽しそうに久はその場を去っていった。 「あぁ、もう、目が腫れちゃったじぇ」 手鏡で自分の顔を見ながら優希がため息をつく あれからしばし、しばらく泣き続けていた1年生4人はようやく落ち着きを取り戻した。 とは言え、咲はあまりにも泣きすぎて顔が無残なことになっているため和とともにトイレに向かっていった。 「ははは、すまん」 こちらも目が真っ赤になっている京太郎が苦笑を浮かべた。 「全く、犬如きに泣かされるとは一生の不覚!」 「なーにが犬如きだこのタコス娘」 軽口をたたき合う。そういった後、二人で見つめ合った後笑いあった。 こうやって、憎まれ口をたたくのも久しぶりな気がした。 「さて、京太郎も戻ってきたことだし、また部活がんばるじぇ!」 「おう! そうだ、聞きたいことがあったんだが……間四ケンって――」 「読み筋の話か? 間四ケンとかよりまだ裏筋とかのほうが信憑性あるじぇ。というか読みっていう行為自体が――」 麻雀の話をし始める京太郎と優希。 その姿を見てまこは笑いながら決意した。 (もう二度と、こんなことは起こさせん。誰もが負い目を感ずに済むよう。……理想論、無謀な話かもしれんが) (それでもやってみせよう) 後に、京太郎は思った。 この時初めて麻雀打ちとしての自分が生まれたのだと。 それから一か月、再び京太郎は濃密な時間を過ごした。 新人戦に向け、ただひたすら麻雀を打ち続けた。 「京ちゃん、そこの急所は仕掛けたほうがいいと思うよ。ほら、ここ、ね?」 また、へこたれそうになった時もあった。 「須賀君、無駄な危険牌を引っ張りすぎです。聴牌効率が変わらないなら安牌を抱えるのも一つのテクニックです」 負けが込み、何かを呪いたくなる時もあった。 「京太郎、そこは食い延ばしに行くべきだじぇ……そう、そこだな。とっさに反応できるように頑張るんだじぇ」 それでも、それに耐え、歯を食いしばって京太郎は走り続けた。 「染め手に行くときは匂い消しなぞ考えんでええ。3枚切れの字牌でも抱え込んで染め牌以外はさっさと叩き切るんじゃ」 歯を食いしばり、耐えに耐え、泣き出しそうになりながらも必死に走り続け 「……よし、行くか!」 そして、新人戦の日を迎えた。
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京太郎「和に中出しできたらすごく気持ちいいと思う」 和「絶対に嫌です」 バキッ 京太郎「だよなー」 ポイッ 須賀くんが小枝を半分に折って焚き火の中に投げ入れます 炎を見つめていると安心するというのは人間の本能だと聞いたことがあります でも電灯の光の下で暖かい布団に包まれる方が少なくとも私は安心します ザザーン ザザーン 会話が途切れると聞こえるのは波の音だけ 他の皆さんは 特に咲さんは無事なのでしょうか 心配です 京太郎「和に中出しできたらものすごく気持ちいいと思う」 和「絶対に嫌です」 そして私の貞操は大丈夫なのでしょうか この絵に描いたようなわかりやすい無人島に打ち上げられてから一週間 須賀くんに会わなければ私はどうなっていたかわかりません 一日中海岸を歩いてボロボロになっていた私が見つけたのは手作りのハンモックに揺られながら ヤシの実に植物の茎をストロー代わりに挿してココナッツミルクを味わっている須賀くんでした 京太郎「和に中出しできたらすごく気持ちいいと思う」 和「それよりも他の人には会いませんでしたか?どうなったかは……」 京太郎「……」フルフル 確かにあの夜の海に投げ出されては仕方ないことでしょう ですが必死に浮かんでいただけの私がこの島に辿り着いたということは 他の皆さんも無事である可能性は充分にあると思います 京太郎「和に中出しできたらすごく気持ちいいと思う」 和「絶対に嫌です」 あの巨大な雑用カバンと共に流れ着いたという須賀くんは どこでサバイバルを習ったのかこの何も無い島において生活の基盤を作り上げていきました 蒸発する海水をビニールで受け止め真水と塩に分けて溜めたり 木に上ってヤシの実を集めたりSOSの旗を掲げたり 何十年か前に打ち捨てられたであろうポツンとあった半壊の漁具小屋から ――もはや屋根は無く壁もボロボロでしたが――投網の残骸を見つけてハンモックを作ったり タコや魚を捕まえて焼いたり煮たり飽きないように塩を振って食べたり 今は魚醤を造ろうとしているみたいですが中々うまくいかないようです 京太郎「和に中出しできたらすごく気持ちいいと思う」 私より遥かにこの状況に適応しているように見えたのですが 最近急に何故か言動がおかしくなって同じ言葉しか発しなくなってしまいました 和「絶対に嫌です」 頭がちょっとおかしくなってしまったのかもしれません 女の私には理解出来ませんが男の人は性欲が溜まってストレスになるという話を聞いたことがあります ……私のせいなのでしょうか 須賀くんは決して暴力的に襲い掛かって来たりすることは無いのですが その、学校でチラチラ私の胸を見ていたようないやらしい目線ではなく この島に来てからは、時々背筋が寒くなるような……形容しがたい視線を感じることがあるのです しかも、日に日に強く 京太郎「和に中出しできたらすごく気持ちいいと思う」 和「……」 須賀くんが暴走する前に手を打った方がいいのかもしれません このままではいずれとんでもないことになる気がします 和「わかりました」 京太郎「和に…………えっ!?あ、あれ、和?」 須賀くんの目がしばらくぶりに光を取り戻しました 和「久しぶりに定型でない会話が出来ましたね」 京太郎「あ、う、うん。オレなんか変なこと言ってた?」 和「はい『和に中出しできたらすごく気持ちいいと思う』と延々と繰り返していましたよ」 京太郎「え?そそそそんなウソいやマジでそんな!?」 和「……」 京太郎「そうなのか……ゴメン気にしないで忘れてクダサイオネガイシマス」 そうしてまた少しづつ須賀くんの正気が弱まっていきます 実はこの会話は初めてではありません 確かもう4度目くらいでしょうか……いずれすぐに須賀くんはおかしい方に戻ってしまいます 最初は非常にいいづらくお互い赤面しながらでしたが慣れとは恐ろしいものです ですがこの堂々巡りを終わらせなければ限界が来てしまうのでしょう 和「中出しは絶対に嫌ですが……その、手で、なら」 京太郎「!!!???」 和「須賀くんも自分がちょっとおかしくなってる自覚があるでしょう」 京太郎「うう……まあなんとなく」 和「須賀くんが正気を保つために必要なんです。医療行為的な何かだと思って」 京太郎「いやでも年頃の男の子だし、やっぱり恥ずかしいというか」 和「……私だって年頃の女の娘なんですが」 和「早くその、アレを出してください。須賀くんという猛獣から私の身を守るためでもあるんですから」 京太郎「非道い言い様だな……」ヌギヌギ ビンッ 和「!?」 バネ仕掛けのように飛び出して来たソレは想像していたよりも遥かにグロテスクなモノでした 京太郎「……和?」 和「ああ、いえ、その、すいません。初めて見たものですから……」 ボコボコと太い血管の浮き出た肉の棒が天を衝く様にそびえ立っています 深くくびれている上の方が亀頭……でしょうか 先端の小さな穴からはトロトロと透明な液体が流れ出ています これは本当に人体の一部なのでしょうか?こんなに醜くて大きいものが…… 何か巨大な生物の幼虫だと言われたほうがまだ納得が行く気がします 和「……こんなに大きいのをいつもどこに隠してるんですか?」 京太郎「いや、いつもは縮んでて小さいんだって。親指くらい」 和「そんなに大きさが変わるんですね……えっと、じゃあ、教えてください。取り敢えず握って擦ればいいんですか?」 京太郎「あ、ああ。頼む」 和「んっ……」ギュッ 京太郎「うっ」 和「熱い……です……」 京太郎(ヤバイ。和がチ○ポ握ってるヤバイ。和の柔らかい手がオレの○ンポ握ってる!) 京太郎「ああ、そのまま上下に擦る感じで、最初はゆっくり……」 和「これぐらい……ですか?」 シュッ シュッ 京太郎「ああ、良い、そんな感じで」 和「この先から出てるのは精液……ですか?」 京太郎(ほっぺた紅くした和が○ンポ握って上目遣いに尋ねてくる。やばい) 京太郎「いや、それはカウパーって、いって、精液の前に出てくるんだ。ううっ。それも手に絡めてそのまま……」 和「はい……」 京太郎(あの和の可愛い顔のすぐそばにオレのチン○が……これが現実?現実か?) シュッシュッ シュニッ ニチャニチャ シュッ 京太郎「くっっ!ううっ!」 和「あ、すいません、痛かったですか?」 京太郎「いや、和の手、指細くて柔らかくて、滅茶苦茶気持ちいいよ。気にしないで……少しスピード上げてくれ」 和「は、はい」 シュッシュッシュッニチャ ニチュッシュッシュッニチョッ 和「んっ……んっ……」 京太郎「うっうっうっあっやばい、出る、出る、出る!」 和「え、あ、あの、射精ですか、どうすれば」オロオロ 京太郎「うっうっうぐうぅうぅぁああーっ!」 ドクドクドクドグドグ ドビュッドビュッ ドビュッ 和「あっ!きゃあっ」 ドグッドグッドグッ ドグッ 京太郎「ふぁああ、ああ、ああぁ」ガクガク 和「~~~っ!」 ビュビュビュ ドビュルッ 京太郎「はぁ、はぁ、はぁ……はぁぁ~~~」グッタリ 和「んぷ……お、終わり……ですか?」 須賀くんのアレが一回り膨らんだかと思った瞬間物凄い勢いでポンプみたいに 何回に分けてネバネバした白いモノが大量に吐き出されて来ました……凄い、です 射精し終わった須賀くんは、全力疾走したあと見たいに肩で息をしています これが、男の人の……射精…… 京太郎「……はぁ」 和「……」ベッタリ 京太郎「ふぅ……ごめん。メチャメチャぶっかけちゃったな」 和「い……いえ」 なんでしょう。髪とか顔とか服とかに須賀くんの精液がべったり張り付いていますが 不思議と怒りは湧き上がって来ませんでした 和「海で、洗い流して来ます」 京太郎「あ、水使わないでいいのか?」 和「真水はやっぱり貴重ですから」 京太郎「そか」 なんとなく目を合わせづらくて、私はカンテラを持って少し離れた岸辺に歩いて行きました バシャバシャ 若干頭が冷えて冷静になってくると 気持ち悪さがふつふつと湧き上がって来ました バシャバシャバシャ 当然のことながら精液も唾液や血液と同じ体液なのです 私は特に潔癖症という訳ではありませんが 他人の体液をかけられていい気分になる人はいないでしょう 顔を洗い、髪を洗い、替えのTシャツに着替えて上着を洗っていきます 驚くべきことに須賀くんの精液はいまだ布地に染み込まずにブルブルと服にへばりついて揺れています 生理的な嫌悪感からか背筋に震えが走りました こんな、温かくて、ヌルヌルで、青臭くて………… 和「…………」 和「…………」 和「…………」キョロキョロ 和「…………」 ペロッ 和「―――――!」ゾクゾクッ 京太郎「お帰り。遅かったな」 和「――っ!///」 京太郎「あっ……ああ、ごめんなんでもない」 京太郎(しまった。トイレか) かけられた言葉に先ほどの自身の行為を思い出して瞬間的に赤面してしまいました とっさに返事を返せませんでしたが私の様子を見て須賀くんがいい方に勘違いしてくれたようです 京太郎「あー。じゃ、そろそろ寝るか」 和「そうですね」 京太郎「今日なんか、一回寝たら起きれそうにないからオレが起こすまで寝ててくれ」 和「わかりました」 いつもは火を絶やさないように夜は交代で番をしながら交互に就寝しています 大体3,4時間間隔で交代しているのですが この日は朝が来るまで起こされることはありませんでした 香ばしく焼けた魚に黒い液体を適量垂らします もう二人共その匂いに顔がほころぶのを止められません ハフッハフッ ハムッ 京太郎「う、う、旨い。やっぱり日本人は醤油だよなぁ」モグモグ 和「ええ。美味しいです。本当に」モグモグ 美味しさと懐かしさで自然と涙が出てきます 少しニョクマムのような風味があるでしょうか しかしその味の大部分は慣れ親しんだ懐かしいあの『醤油』です この島に流れ着いてから99日 ついにご主人様が魚醤の開発に成功したのです 京太郎「ふーっ食った食った。いつになく食った。和も食ったか?特に和はいっぱい食べないと」 和「ありがとうございます。お腹いっぱいいただきました」ニコニコ 京太郎「うむ。ならよかった……しかし欲を言えばそろそろ白いご飯が食べたいよなあ」 和「それは……やっぱり助けが来ないことには」 京太郎「どこなんだろう本当に……水平線に船が見えたのも1回だけだしなぁ」 和「……」 京太郎「やっぱりもう……」 和「元気を出してください。和は――」 ボ~~~~~~~~ッ 京太郎「!」ガバッ 和「?」 京太郎「船、だ!和、煙を上げろ!オレは櫓で旗を振ってくる!」 和「はい!」 オーイココダー タスケテクレー ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 透華「オ~~ホッホッホ↑御覧なさい。この龍門渕グループに見つけられない場所など、この地球上には存在しませんわ!」 衣「ノノカだ!ノノカだ~!」 咲「京ちゃん……和ちゃん……よかったぁぁ」 優希「この優希ちゃんがグーグルアースで探したかいがあったというものだ!」 まこ「いや、それ意味ないじゃろ」 久「おかえりなさい。ふたりとも。よく無事だったわね」 京太郎「いやあ大変でした本当に……本当に!話せばもう色々と有り過ぎて長くなるんですがたまたま雑用の荷物とかと一緒に流されたおかげで……」 久「私が須賀くんを雑用にしたのが功を奏したのね」 京太郎「いや、それは」 優希「おお!エトペンも一緒だったか!和ちゃんはエトペンに助けてもらったんだな!」 和「え?あ……」 咲「そうなんだ、なんで服の下に入れてるの?」 和「あの、すみません。これはエトペンではないんです……///」 京太郎「あー……うん///」 優希「じょ?」 咲「へ?」 久「あら…」 「「「「「「「えええええええええ!!!!?????」」」」」」」」 カン オヤスミ 88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/30(木) 04 33 59.88 :Ic+Etlx40 ちょっと重要な部分が書かれてないと思うんです (※書き手が変わります) 10日目 京太郎「うっく」 和「んっ」 ビュルビュルビュル ドビュッ 跳ね回ろうとする赤黒い竿を右手で扱きながら 左手で次々と放たれる精液をベチャビチャと受け止めていきます 京太郎「ふぅぅ。サンキュー和」 和「いえ…では」 慣れというのは恐ろしいものです 朝起きたあと、お昼寝前、夜寝る前 1日3回須賀くんのオ……オチンチンを射精させるのが私の日課になっていました ザザーン ザザーン 和「…………」キョロキョロ そして、新しい秘密の習慣も出来てしまいました 改めて須賀くんの精液がベットリと張り付いた左腕を眺めます 初日に見た須賀くんの精液はもっと黄ばみがかっていたような気がしましたが 今現在私の手を手袋のように手首まで覆っている精液は半熟卵の白身のように真っ白でした 右の人差し指で一掬い 風に揺られてプルプルと震えるそれを睨みつけます ドロドロで、液というより半分固体近いような感じです ちょっと前まで須賀くんはうわ言のように『和に中出しできたら…』と言っていましたが、どうかしています こんなのを中に出されたら、絶対に妊娠するに決まってます でも…… ああどうしてなんでしょう この悪臭を嗅いでいるとなぜか頬が熱くなって 胸がドキドキして…… 和「……はむ」 口に含んだ瞬間、背中を辺りをゾクゾクと弱い電流が走り抜けます ピリピリと舌を刺すような苦味 鼻に抜ける何かの植物のような青臭さ 舌で転がされて唾液と混ぜられてもなお 喉に絡みついてくるしつこさ 全てが不快です なのに、なのに、 和「ん……はむ……ぺちょ……ぺろ……ずずっ……ゴクン……はぁむ…」 私も須賀くんと同じように、おかしくなってしまったんでしょうか こんなイケナイことをしている姿を もし父や母に見られたらさぞ幻滅されてしまうでしょう ましてや部のみんなや咲さんに見られたら…… 突然、ボッと顔から火が出るくらい恥ずかしくなってしまいました 和「……はも……ぺろぺろ……じゅるっ……んぐ、ゴクン…はぁぁ……♪」 精液に対する嫌悪感も 今感じている羞恥心も なぜかこの行為を止めるためのブレーキにはなってくれません おへその辺りがズンッと重くなり カッと熱く燃えるような ここに来て初めて知った感覚に捕らわれています もはや指で掬うこともなく 左腕にへばりつくゲル状の精液を直接舌で舐め取り ズルズルと下品な音を立てて啜り込んでいました はたと気が付いた時には左腕からドロドロの精液は完全に消え失せており 代わりに肘までが私自分の零した唾液で濡れ光っていました ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 京太郎「…………」ゴクッ 和「戻りましたよ」 京太郎「あ、ああ……お帰り」 和「?」 少しだけ須賀くんの様子がおかしいような気がしますが 私は須賀くんがいじくり回している物体に強く興味を惹かれていました 和「今度は何を作っているんですか?」 実際、須賀くんが何かを作る度に 原始人のような生活に文明の空気が入り込んで来るのは楽しみでした 一見役に立たない材料から、私の想像もつかない方法で とても便利なものを色々生み出してくれるのです もう大分昔に見た教育TVの図工のお兄さんの番組を思い起こさせます 特にハンドソープの容器をポンプに改造してアレしてコレして 頭からシャワーを浴びれた時の感動は忘れられません 京太郎「うん。今、マジで和が来た瞬間、まさにたった今完成したんだ!」 両側に穴の空いた筒状の物体 まさかこれは…… 慌てて覗くと逆さまの景色でしたが水平線までがくっきり見えます 京太郎「イエス。望遠鏡です」 和「まさか!どこにレンズがあったんですか?」 京太郎「死んでたデジカメから外したんだ」 和「なるほど……でも確か、レンズは2枚必要なのでは?」 京太郎「変倍出来るタイプなら最初から2枚内蔵してる」 和「はああ。なるほど。うん、そうなりますね。確かに」 よく考えれば構造上そうなっているのは当たり前ですが 京太郎「前と後ろのツマミで多少は変倍出来るぞ。焦点は自分で調節して合わさないといけないけどな」 京太郎「じゃあオレは釣りして木とか集めてくるから、壊さないように使ってくれ」 やっぱり須賀くんの様子がおかしいです 何でしょうこの違和感は……まるで何かを隠しているような―――! 和「待って下さい」 京太郎「な、ナニカナ?」 非常によく出来た望遠鏡です よく見えます 例えばあの私が隠れていた遠くの岩の陰でも、おそらく木に登れば簡単に―――― 和「ミ、み、見、みあ、見たんですね!?」 京太郎「ささささあ!?ごめん何のことだか全くわからないぞ!?」 京太郎「出来たのさっきだし!今だし!」 和「何も見てないなら望遠鏡完成のタイミングに拘る意味がありません」 京太郎「うぐっ」 須賀くんが言葉を詰まらせます もう自白しているも同然です あああ!死にたいです ウソです。死にたくないです 必ず生きて帰って咲さんに会うんです となると、このことを闇に葬るためには須賀くんに死んでもらうしかないのでしょうか 寝静まった後に包丁代わりに使っている鋼糸で首を締めて…… 瞬間的に私の脳裏に須賀くんの殺害方法と死体の処理方法がそれぞれ4通りほど浮かんできますが その後の事を考えると断念せざるを得ません ここの生活で私が一人で出来ることはほとんどありません 日付を記録したり日記をつけたり服を繕ったり 須賀くんが捕ってきた魚の下処理をするぐらいです 少なくともこの島においては、私は須賀くんなしでは生きていけないのです 次善の策としては口止めでしょうか しかし秘密にするもばらされるも須賀くん次第 帰った後も弱みを握られている恐怖に怯え続けなければならないでしょう ここは多少強引にでも正当化するしかありません 和「違うんです」 京太郎「え?」 和「須賀くんはスケベなので、誤解して、私がいやらしい意味で毎回アレを食べていると思い込んでいるのでしょうが」 京太郎(毎回なんだ……) 和「ここの生活環境ではどうしても動物性タンパク質が不足しがちです」 京太郎(もしかして今までのも全部!?)ドキドキ 和「それを補うために仕方なくアレを摂取しているのです」 京太郎(じゃあ和のとんでもない身体の何%かは既にオレの精液で出来てるのか……)ゴクリ 和「嫌々、生きるためにやらなければならないのです。いわば緊急避難です。わかりましたか?」 京太郎(なら和の身体はオレにも多少所有権があるのでは……例えば乳首の先っぽくらいは……)ハァハァ 和「 わ、か、り、ま、し、た、か、? 」 京太郎「アッハイ すいません。わかりました」 和「よろしい」 うん。これできっと大丈夫でしょう かなり強引な弁だったのは否めませんが日本は建前社会です 『そういうことにしておく』ことが社会をうまく回す上で大切なことなのです ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 京太郎「ごちそうさま」 和「ご馳走様でした」 今日のお昼ごはんはお魚と卵とサラダでした 骨の多い魚や捌きにくい小さいお魚でも 燻製にすれば美味しく食べられるのは素晴らしいことです 欲を言えばたまにはあのお肉が食べたいのですが ウミガメや鳥はたまにしか捕まえられないそうなので仕方ありません 生きてるだけで感謝です 京太郎「えっと、じゃあ、和、またお願いします」ボロン 和「はい」サワサワ ニギニギ 今朝の事があったので 内心非常にやりにくいのですが 努めて事務的に作業に入ります ザザーン ザザーン シュッ シュッ シュッ 食後の気怠い時間が波の音とオチンチンを扱く音と共に流れていきます 須賀くんは相変わらずすごく気持ちよさそうです 京太郎(ああー。最高。和、上手くなったなあ) 京太郎(あの和に、オレ好みのチンポの扱き方を教えこんじゃったんだよなあ)フヒヒ 須賀くんが何やら邪な視線で作業の様子を見ています まあいつものことですが 最初に比べると大分慣れたもので 須賀くんの様子を観察するだけで的確な速さやポイントをついて 気持よくすることが出来るようになりました 京太郎「うっ、くっ、なあ、和」 和「なんですか?」 須賀くんが声を上げますが、まだ射精するタイミングではありません 何を言うつもりなのでしょう 京太郎「タンパク質のために、仕方なく食べてるんだよな?」 和「……はい」 アレを思い出して、顔が赤くなるのがわかります 正直その話題はもう蒸し返して欲しくなかったのですが 京太郎「じゃあその、うっ、別に隠れてじゃなくて、ここで直に食べてもいいんじゃないか?」 和「!?―――――そう、なりますかね」 やられました いつか要求される可能性は考慮していましたが あの行為を正当化したことで逆に須賀くんに口実を与えてしまったようです。お口だけに 和「わかりました。少し、脚を開いて下さい」 京太郎「? あ、ああ」 体制を変えて、寝そべる須賀くんの股の間に入り込み うずくまるようにオチンチンへ顔を近づけていきます しかし、近くで改めて見ると 今更ながら男性器のその醜悪なデザインに驚きます 慣れ親しんで最初の頃より嫌悪感が大分薄れたとはいえ これを口の中にいれるのは…… ……ドキドキしてしまいます 京太郎(あ、あれ?食べるところを近くで見せてもらうと思っただけなのに) 和「スー……ハー……スー……ハー…んっ……本当に…いやらしい臭いです」 京太郎(もしかしてフェラしようとしてくれてる!?) 和「こんな……指も届かないくらい太いのに……咥えられなかったら、舐めるだけで我慢して下さいね」 京太郎(……誤解だけど黙っとこう) 和「んっ……」チュ ああっ、ごめんなさい咲さん 咲さんのために取っておいたファーストキスなのに 私の初めての唇は……須賀くんのオチンチンに盗られてしまいました 和「ん…チュッ…チュチュッ……チュッ……チュムッチュッ」 京太郎「うっはぁ、ああぁぁ」 京太郎(和の唇、プニプニッって。やばい、和がチンポにキスしてる、このヴィジュアルだけで逝きそうだ) 和「チュッチュッ……チュッ……ンムチュ…」 京太郎(耐えろ、耐えろオレ!ここで終わったら勿体無いにも程があるっぅ!) 何でしょうか 嫌なはずなのに 気持ち悪いはずなのに 唇が触れる度に、胸の奥に愛しいような気持ちがあるような気さえしてきます 京太郎「くぁう……ぐっ……」 薄目を開けて視界を埋め尽くすオチンチンを見ると 口の中に唾液が溢れて来てしまいます 和「な、舐めますよ……ぇー」ドキドキ 京太郎(和の、ピンクの、柔らかそうな舌っ) ペロッ 京太郎「くっはぁっ」ビクビク ペロ ペロ ペロ レロペロ 和「へはぁ……ろうれすか?」 京太郎「ああ、凄く良いよ。玉の付け根から、先端の方まで一気に舐めあげてくれるともっと……」 和「ペロ……レロォ……レロォ……ほんなかんじ、れふか?」 京太郎「っ!そうっ!」 京太郎(ああ~~和の舌、あったかくて柔らかい。やばい。もう死んでもいい) 京太郎「あと、カリのくびれてる溝に、舌を這わすみたいにっうはぁ……」 和「んっ……チュ……ちゅうもんが、おおいれふね……」 京太郎「そっ……そう、か?うくっ」ビクビク 京太郎(馬鹿野郎、和お前、どんだけ自分が可愛いかわかってないのかよ!) 京太郎(こんな可愛い和をオレの言いなりにしてチンポの舐め方覚えさせられるのに、口出ししないわけないだろ!!) ああ、また須賀くんが邪な目てみてます どうせよからぬ事を考えてるんですね なんだかいい気になってて若干見下されてるような気がしますが なのにそれがドキドキして……この体勢のせいでしょうか でも、もう逝きそうなのはわかってるんですよ 何回このオチンチンを射精させたと思ってるんですか ペロペロレロレロと教えられた通りに舌を這わせながら 溢れてきたカウパーを舐めとって オチンチンの向こうで悶える様子を観察していると 須賀くんを快感の操り人形にしている優越感が湧いてきました 京太郎「あっあっあっ、和、出そう、だっ」ガクガク ほぉら 全部お見通しなんですからね 京太郎「和!飲んっでっ」 和「ペロペロレロペロ……んむぅ?」 はっそうでした オチンチンの先を咥えて直接食べないと そのために、わざわざこんな気持ち悪い肉の棒を あ、あれ? これがさっきと同じオチンチンなんでしょうか? ウソです。そんな。ああ。あり得ません。 こんなに愛しくて こんなにかわいくて こんなにおいしそうに見えるなんて…… 和「はむぉお……♪」 ああ、本当に、アゴが外れそうです 京太郎「ぐうっ!!!!!」 え、ちょっと須賀くん、どうして頭、抑えられて ドグドグッ!ドグドグドグドグッ! 京太郎「ぐっ かっはっ あっがぁっ」グイグイ 和「――――――っ!」バタバタ 無理矢理、奥までっ 喉、全部塞がれてます 息できな ドクッドクッドクッドクッドクンッ 京太郎(おっ おっ あっ くっはぁ)グイグイグイ 和「げほぁっ ぐっ ムグウゥ~~~」ゴキュ ゴキュ 髪ごと頭、掴まれて これ、飲みきらないと、死んじゃいます 須賀くんの、あの長い長い射精を全部? 無――理―― 13日目 京太郎「うう……和、頼む」 和「またですか?もう。……いいですよ」カチャカチャ 少し前に初めてお口での射精をさせられて以来 表向き均衡を保っていた二人の力関係が崩れてしまったような気がします 1日3回の取り決めがなし崩し的に無くなり 今や京太郎くんの勃起に合わせてご奉仕をさせられる毎日です ビンッ 和「あっ……全く、なんで朝から何度も何度も射精してるのに、こんなに元気なんですか?」スリスリ 京太郎「強いていうなら和のせい、かな?」ギンギン 和「意味がわかりません……スー……ハー……はぁあ、こんなに蒸れて……んむぅ…ちゅ……ぺろ」 何が原因かはわかりませんが 事あるごとに急に強気に出るようになってきて そんな京太郎くんに私は強く出れなくなってしまったのです いえ、私が強く出れない原因は明白です 元々衣食住の全てを須賀くんに依存しているのですから 私を見捨てる事を匂わせて脅せば主導権は完全に京太郎くんにあるのです 和「はぁ…ん……じゅるじゅる……じゅれろっ……んぽっんぽっ」 そして今まで決して使わなかったその脅しをついに使われてしまいました 京太郎「和、その…」 和「ぽぁ……わかってます、おっぱい。ですね?」ブルン フニュ ムニ ムニ 京太郎「はああぁぁ~~もう死んでもいい」 グニュグニュ ムニムニ 和「ふふふ、それ何回目ですか?んっ、んっ、言葉通りなら、もう10回は死んでますよ?んっ」 京太郎「くぅっ はぁぁ~~」 胸の間からピョコピョコと顔を出す亀頭に吸い付くと 京太郎くんは情けない声を出して仰け反って悶えます お口で奉仕する時にさり気なく胸を押し付けているのがバレた時 あまりの恥ずかしさに逃げ出そうとする私に 京太郎くんはおっぱいを使って奉仕するように脅して来ました ……脅して、くれました ムニムニ ムニュリ チュピチュパ チュポジュポ 京太郎「はぁーっはぁ、和のおっぱい、凶悪過ぎっ、もう、射精るぅっ!!」ガッ ドグドグンドグン! ドグリドグリ ドビュリ 和「んぐぅっ!」 ツインテールの房を掴んで、無理やり喉の奥までオチンチンで突き込んできます 初めての時は失神までしてしまったイラマチオも 今では咽頭で感じて食道に直接精液を流し込まれる感覚まで 快感として感じられるようになりました ドクッドクッドクッドクッドクン 京太郎「はぁ、はぁあ~~、ふぉぉ~~っ、っく」 和「んん~~~」ゴッゴッ ゴクッ もしかしたら……いえ、京太郎くんは薄々気付いているのでしょうか 私が、 いつの間にか、 もうオチンチンから離れられないほど大好きになっているということに ドビュ ドビュ ドビドビゥ 和「~~~~~~♪」ゴク ゴクゴク ゴキュッ 今現在は京太郎くんが私の身体を目当てに脅迫している関係です いわば私の身体を使った奉仕と、衣・食・住のギブ&テイクなのです もし、京太郎くんが2,3日でも我慢して オチンチンへのご奉仕をさせてくれなかったら 私はおそらく自分から……。 そう、私の方からおねだりをしてしまえばその瞬間私の価値は0になり 残っているものは何もありません 京太郎くんに嫌われないように気に入られることだけが 生きる術に 目的になってしまうでしょう まるで犬か猫のように ご主人様に尻尾を振って甘えて 気持よくなってもらうためなら喜んでどんな命令にも従う 京太郎くんの……ペットに、なってしまうのかも知れませんね …………♪ カン 250:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/30(木) 17 02 16.24 :INi2X55n0 第三部はよ 19日目 和の荒い鼻息とペチャペチャという唾液の音が パチパチと焚き火の燃える音に混じって辺りに響く オレは目の前で一心不乱にチン○にしゃぶりついている和を眺めながら 今だ耳に残る和の雌犬宣言を反芻していた 『京太郎くんのペットになりますから、何でもしますから、お願いします。捨てないで下さいご主人様ぁ』 言い訳をさせてもらうと、別にそんなつもりは全く無かった 一昨日、内陸部の探索中にうっかり涸れ井戸跡に落ちてしまい 幸い怪我は無かったものの、なんとか登り切ってキャンプに帰るまでには丸2日が経過していた 干物や燻製もたっぷり作ってあったし、いざとなったら自分で魚でも釣るだろうと 和の方の心配はあまりしていなかったのだが オレの姿を見るなり首筋にかじりついて離さない和をなんとか落ち着かせて 泣き止ませるまで何度上記の言葉を聞いただろうか 和「ふふ、ご主人様、いつもよりおっきい、です。2日も我慢して、興奮してるんですか?」 京太郎「ああ。ってゆーか、和の裸が、綺麗すぎて」 カラカラに乾いた喉から上擦った声で返事を返す 興奮しない訳が無い シャワーの時にこっそり遠くから覗き見ることしか出来なかった和の肌が 一番見たいところも含め一糸まとわず産まれたままの姿で目の前にあるのだ 和「ふふふ、ありがとうございます。んっ……タマタマもこんなにズッシリ膨らませて……ぺろぺろ」 一体どうして急にこんな調子になってしまったのか 全く見当がつかない……くもないけど、いや、まさかそんなバカなエロマンガみたいな しかし、和がちょっとおかしくなってしまっているのは事実なわけで…… オレがこの状況に打開策を見いだせないでいると 股間から顔を離した和が正座してオレの顔を覗きこんでいた 和「教えて下さい。ご主人様が気持よくなれること。和はご主人様のためならなんでも致します」 和も期待と興奮からか全身をほんのり紅く染めている これは……そういうことなのか? 京太郎「なん……でも……?」 和「はい。なんでも」ニッコリ 頭がクラクラする あの和が。 同級生で、いや学校の男子でオカズにしたことのない奴はいないであろう あの、和が。 ちょっと胸を見ていただけでキッと睨み返してくる はずの、和が 濡れた瞳で瞬きもせず 大きな胸を、くびれた腰を、ふくよかなお尻を 隠そうともせずに じっとオレの目を見て薄く微笑んで命令を待っている 京太郎「…………」ゴクリ オレの頭の中で天使と悪魔が激しく戦い始めた オレの残りの人生で、あるのか? こんな千載、いや万載一遇のチャンスが。マン○だけに ロード・オブ・ザ・リングもかくやというスケールの大軍VS大軍 血で血を洗う天使と悪魔の聖魔対戦が 約5秒ほどでオレの脳内で集結したあと オレの口から出てきた答えは――― 京太郎「正気に戻ってくれ」 最後に生き残っていたのは天使と、わずか一握りの理性だった だが和の嬉しそうな微笑みは消えない 和「ふふふ、何を言ってるんですか?和は正気ですよ?」 和「いえ、正気に戻して頂いたんです。勘違いして、男の人の性欲を汚らしいものだと毛嫌いしていた私を」 和「女の身体は、オチンチンにご奉仕して気持よくなってもらうために存在するという事実を教えて下さいました」 和「この、ご主人様の逞しいオチンチンで」ポッ ダメだ、ダメだ、ダメだ、 そんな据え膳持って来られたら、 理性が本能をほんの一瞬上回るのは、たった一度きりの奇跡だったのだ 京太郎「そう、か、じゃあ――」 声が、身体が震えまくってるのが自分でもわかる 京太郎「和に中出しできたらすごく気持ちいいと思う」 早鐘のように鼓動を打つ心臓をうるさく思いながら もう後戻り出来ない、人生の分岐点を通過したような感覚を覚えていた 和「はい。承知いたしましたご主人様」チュッ チュッ 和の顔が視界いっぱいに拡がる 二度、三度、プルプルとした柔らかさを伝えるように唇をついばんだ後 初めての熱が離れていく あ、オレ、ファーストキスだ 和「ご命令を。ご主人様。ご主人様の好きなように和の身体を貪って、中に出して下さい」 少し恥ずかしそうに、だがはっきりと上目遣いで和が告げると ブチブチと頭のどこかで線が切れる音が聞こえた やってやる もういい やってやる 京太郎「い、犬らしく四つん這いになって……尻をこっちに向けてみろ」 和「はぁいっ///」プリン 京太郎「お、おおお……」 今まで胸ばっかり注目していたが、はちきれそうな程むっちり実の詰まった白桃のような お尻は、見るだけで反射的にしがみついて腰を振りたくなるような魅力にあふれていた いや、出来る。好きにしていいのだ もうこの尻もオレのモノなんだ 京太郎「フーッフーッ」 鼻息荒く、誘われるように両手を伸ばしスベスベの肌の感触を楽しんで行く 和「……んっ……んんぅぅ……」ピクッ 掌で撫で回すだけで和から甘い鼻声が漏れる とろけるような吸い付くような感触がたまらない 指を埋めて肉を掴み開き小さな蕾のような尻の穴をガン見してやる 京太郎「……」ドキドキ 和「はぁ、あうぅ……ご主人様、そこはぁ……」 流石にここを見られるのは恥ずかしいのか、和から弱々しい抗議の声が上がる だが、狂ったご主人様と化したオレはペットの反抗を1ミリも許す気はない パチン 軽く尻を叩く。叩かれた弾力のある尻肉はプリンのように揺れていた 和「きゃっ!ご、ご主人様何を」 バチン 少し強めに叩く 和「い、痛っいで……」 バヂン! さらに力を込めて。白い尻に赤い手形の華が咲く 和「ひぃっ!し、失礼しました……どうぞ、お好きにご鑑賞下さぃ…」 京太郎「よし」 メス犬がやっと理解してくれたようでご主人様は嬉しい 気分を良くしたオレは若干赤く腫れ上がった尻肉をグニグニとこね回すように 揉みまくってやる 和「はぁ……ああぅ……はぁん……」 ポタ と、触れてないはずのピッタリ閉じた和のアソコから透明な液体が一筋零れてきた 京太郎(こ、ここが和の……誰も見たことがない、和の……)ゴクリ 生唾を飲み込み、親指で左右から開いてやる クチュリ と粘着質な水音を立てて姿を表したそこは髪の色と同じような美しい桜色だった AVやネットのエロ動画見たものとは全く違うソレは美しささえ感じさせた 京太郎「和、綺麗だ」 和「はぁあ……ありがとうございます……」 自分でもじっくり見たことなんてないのだろう 大事な部分を広げられて観察される恥ずかしさに和の顔は真っ赤になっていた 和「ひぅっ」 ぬるっと人差し指を挿れてみる ヌルヌルザラザラした熱いぬかるみが指を締め付けてくる この中に○ンポを挿れたらどんなに気持ちいいんだろうか 次いで、中指も合わせて2本。流石にキツイ 和「ふ……くぅ……ん、はぁ……」 苦しさだけでは無い、快感の入り混じった声を和が漏らす 痛いほどに勃起したオレのチ○ポが、早くこの穴に入らせろと不平を訴えてくる 正直、もう限界だ チュポッ 和「あぁうん!……はぁ……はぁ……」 散々下半身を弄くり回された和は、それでも健気にご主人さまの命令―― ――四つん這いになって尻を向ける体勢――を崩さないように震える両手を踏ん張っていた よし……犯す! その健気さに意味不明な怒りが湧き上がってくる どうしても、その肘を折らせて突っ伏させてやりたくなる 和「はぁ、はぁ、はぁ、」 立ち上がって見下ろす和の身体は意外なほど小さかった 桃色の髪は分かれてしなだれうなじは丸見え 両脇から隠し切れないバストの丸みがはみ出し 細く締まる腰から極端に拡がっていくヒップへのラインは どこかの国の壺を思わせた これ以上ないほど、オスを誘っている身体だ ケダモノの視線を感じたのか、和が振り向く 和「あ……っ」 その視線は怒り狂ったように青筋を立てて勃起しているチン○に釘付けだった 京太郎「……」グッ 和の瞳に不安の色を感じ取ったが あえて無言で覆いかぶさり和の入り口に亀頭を当てる 和「…………っ」グッ グ ググ ググジュ 正直、力を入れられては挿れにくいことこの上ないが 和「ひぐっ……ぅあ、あ、っ、」 京太郎「ぐぉぉぉ、ぉぉぉっ」 滑りにまかせて力づくで無理やり和の中をオレのチ○ポのサイズに拡げていく感覚は 脳ミソが沸騰しそうなほど征服感を満足させてくれた ジュジュ ジュリ ジュ……ズン! 和「ふ、う、う、ぐぅう……ああぅ!」 京太郎「ふぅー。ふぅー。ぷぅ……」 やがて、和の最奥に到達した時には 和の背中に玉のような汗がびっしりと浮いていた 途中で何か薄い膜のようなものをブチ抜いたような気がしたが オレの穴なので一切の遠慮はいらない 和「ご、主人様ぁ……和の中、ご主人様のオチンチンで、いっぱいですぅ……」 初めて身体の中に他人の一部が入っている違和感に眉を歪めながらも 和は征服された喜悦を涙を浮かべて無理矢理作った微笑みと共に伝えてくる その微笑みに、欲望とは違う甘酸っぱい興奮が胸を高鳴らせる イカンイカン。今のオレはご主人様。甘い顔を見せるわけにはイカンのだ でも急に動くとやっぱり痛いだろうし、痛みが和らぐのを待ちつつ ペットの言葉遣いを躾ておくことにした 京太郎「そのオチンチンっていうの、ちょっと子供っぽいな」 和「そ、そうですか?何とお呼びすればいいでしょうか」 京太郎「○ンポ……いや、生チ○ポだ」 和「え?そ、そんないやらしい…///」 京太郎「……」グリッ 和「ひゃぅうっ!分かりました、な、なまチン○、とお呼びしますぅ」ハァハァ 京太郎「そうだ今、和の中に挿入ってるんだぞ」グイッ 和「はぁあ……はい。感じます……ご主人様の生○ンポォ……」 うううやばい。和の口からチン○とか言わせたら辛抱たまらんくなってきた そろそろいいかな?いや、いいだろうん 和「ふぁっ、あっあっうっあっ」 京太郎「くぅ~~~っ」 ゴリゴリとカリの一番太いところで和の膣を掘り荒らす 女の身体に強引に侵入し、自分の大きさを馴染ませて専用にしていく感覚 京太郎(たまんねぇ……!) ズンズンズン パンパンパン 激しく肉を打つ音が響く 和「うぅっ、うっ、あっあっ、ああっ」 和の白い肩の上に顎を置き 亀頭でクニュクニュと子宮口の感触を楽しみながら パンチングボールのように揺れる大きなおっぱいを鷲掴みにして乳首をひねり回してやる 和「あっ、あっ、後ろから、犯されてます、本当に犬みたいにぃ、あっあぁっぁああ」 和の嬌声が鼓膜に響き、その刺激だけで腰の動きが止まらなくなる 京太郎「の、和、気持いいか?奥が、ココがいいのか?」 和「気持ちいぃ、ソコ、気持ちいいですぅ、メチャクチャにして下さい!」 カクカクと腰から下だけが別の生き物のように跳ねる ダメだ、気持ち良過ぎる もう止めようと思っても絶対に止められない 京太郎「ぐ、あ、もう止まらねぇ、すまん和、このまま、中出しイクぞおぉぉ、孕ませる、ぞ!」 和「はいぃ、和はどうなってもいいです、ご主人様さえいてくれたらぁ」 全体重をかけて和に乗り上げてへばりつき ゼンマイ仕掛けのおもちゃのようにただひたすら カクカクカクカクと腰を跳ねさせて和の膣肉に溺れていく 京太郎「くっうっ孕め、孕め、オレの子をぐっ、孕めっえっ」 暴走した繁殖欲がそのまま脳を乗っ取ったかのように言葉が紡がれ、メスに受胎を命令していく ごく類稀な容姿と身体を併せ持つ美少女は 快感で蕩けた意識でもご主人様の命令だけには忠実に反応する 和「はっはいぃ、わかりましたぁぁあっあっああ、孕みますっあっあっ」 京太郎「ぐぅぅぅっっ!っっっ!」 ドグンッ!ドクドクッ!ドクドクドクドグッ! 和「はああ、ああぁぁあ―――っ!」 ドロドロネバネバの白濁液が無垢な子宮に音を立てて流し込まれていく 京太郎「――――っ!」ガクガク 和「――っ。や、す、ごっ、――まだっ――っ!」ビクビク ドクッドクッドックン ドクドクン 和「うっうっあっ……お腹の奥に、重たいのがっ、ああっ、溜まっていくのが、分かりま、すっ」 ドク ドクドク ドク ……ビュックン! 和「はぁうっ……これが、中出し、ぃ……」 京太郎「――――」 和「ご主人様?あっ……ふふ、気持ち良すぎて、気を失っちゃったみたいですね」 京太郎「――――」グイグイッ 和「え、あん、なんでぇ、気絶してるのに、まだ押し込んできて、これぇ……完全に孕ませる腰の動きですぅ……」 京太郎「――――」グイグイ 和「はぁあ……意識が無いのに、種付けなんてぇ……ご主人さまぁ……男らしくて、素敵ですぅ……♪」 目が覚めると、仰向けになったオレの横にピッタリと和が絡みついていた 和「お目覚めですか?」 京太郎「あ、ああ……寝ちゃってたか……和も?」 和「いいえ、私はずっとご主人様の寝顔を眺めていました」 京太郎「なんだそりゃ。飽きるだろ」 和「ふふ、大好きなご主人様の顔を見飽きるなんてあり得ません。24時間でも眺めている自信があります」 京太郎「…………うーむ」 和「どうかしましたか?」 京太郎「いや、和が依存し過ぎて、帰った時が大丈夫か心配だなーとか思って」 和「大丈夫です。ちゃんと部活仲間でも恋人としても演技出来ますから…もちろん、夫婦でも♪」 京太郎「そ、そうか」 和「でもぉ、基本は絶対忘れないで下さいね」 京太郎「基本?」 和が耳元に顔を近づけ、蕩けそうな甘い声で耳の穴に直接言葉を流し込んでくる 和「和は淫乱でスケベなメス犬です。一年中発情期なので、いつでも可愛がって下さいね?」 京太郎「ぅお、おぅ。」ムクムクビキビキ 和「あっ……ふふ、早速、可愛がって頂けるみたいですね」 和「もしよければ、今度は人間の真似で、抱き合いながら、いっぱいキスしながら子作りしたいです」 京太郎「………いいな、それ」ガバッ 和「んぁあっ!ご主人様、そんな、急に挿れて、あっ、いきなり激し」 京太郎「ん?」 和「いっいえ、お好きに使って下さい。和の身体で、いっぱい、楽しんで下さあっあっ、あぁっーー!」 取り敢えず明日からはベッド1つで良さそうだな とか ハンモックは改造して投網にするか とか 射精を堪えるために適当なことを考えながら、和の中を再びじっくりと味わっていくのだった カン 立て逃げ死すべし 367:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/30(木) 21 36 15.01 :FGCw1FCR0 んほー の人か? 424:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/30(木) 23 08 24.80 :tlJ8Ry790 368 第七部Suga Ball RecordsはHDDが死んだので永久にお蔵入りです悪しからず
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1358177535/ 京太郎「買ってくるけど何がいい?」 淡「んーと……キョータローのセンスで」 京太郎「はいよ」ガタ 菫「須賀、あまり淡を甘やかすなよ。すぐに調子に乗るからな」 淡「ヒドーイ!!」 京太郎「いえ丁度買い出しに行こうと思ってたところなんで。先輩達も何か必要なものとかありますか?」 照「お菓子買ってきて。チョコ系」 淡「ダッシュでな!!」 バタン 京太郎「んーと、とりあえず近くの業務スーパーでいいか」 スタスタ... ――――――――――――――――――― ウィーン 「いらっしゃいませー!」 京太郎「必要なものはっと……」ガサゴソ 京太郎「えー、茶葉に月餅にティッシュ箱……それに32ワットの蛍光灯一本にミノーがひとつ……ってなんじゃこりゃ」 京太郎「ミノーってのがよくわからんから、先輩にメールで確認するとして……」ポチポチ 京太郎「よし……他は何とかありそうだな」 京太郎「さて、探しますか」 京太郎「……よし、何とか揃ったな」 京太郎「あとは宮永先輩のお菓子に、淡に頼まれてたジュースか」 京太郎「先輩はいつも棒系のチョコばっか食べてるからな。今回もそれでいいか」キョロキョロ 京太郎「うーんと、ポッ○ーの苺チョコ味か……これだな」ポイッ 京太郎「あとは俺用にマ○ブルチョコも買ってと……」ポイッ 京太郎「淡は……そうだな」 京太郎「お、これなんかいいじゃん! ホットケーキの飲み物だって!」 京太郎「お子様のあいつにはぴったりだな……よし」ポイッ 京太郎「さーて、精算精算っと」 ――――――――――――――――――― 京太郎「あっ、そうだメール」カチャ 京太郎「ふむふむ……わからないから買ってこなくていい、と」 京太郎「了解でっす。すぐに帰ります……っと」ポチポチ 京太郎「よし、んじゃちゃちゃっと戻るか」 スタスタ... ガチャ 京太郎「戻りましたー」 淡「きょうたろーおかえりー! 私の飲み物はっ!?」 京太郎「まぁそう急くな。どうどう」 京太郎「まずは頼まれてたものを先輩方に確認してもらってからな?」 淡「ぶー」 京太郎「先輩、これメモに書いてあったやつひと通り買ってきました」 京太郎「あ、でもミノーってやつが分からなかったんでそれは入ってません」 菫「ああ、照から聞いたよ。たぶんそれは亦野が書いたんだろうな」 京太郎「亦野先輩が……?」 菫「ミノーってのは釣りに使うルアーの名前だそうだ。さっき調べた」 京太郎「そんなのがなんで買い出しのメモに……?」 菫「きっとあいつ自身が買い出しに行く予定で、自分の欲しいものも一緒に買ってこようと思っていたんだろう」 京太郎「あぁ、それでメモに……亦野先輩も案外うっかりですね」 照「……そんなのはいいから早くお菓子」 京太郎「あ、あぁ! すみません……」ガサゴソ 京太郎「茶葉に月餅……これは渋谷先輩ですね」 尭深「あ、ありがとう……」 京太郎「いえいえ……って、うわぁ! いたんですか!?」 尭深「うん……驚かせちゃった……?」 京太郎「い、いえ……大丈夫ですよ」アハハ 京太郎(物静かすぎて、たまに存在を見失うことがあるんだよなー……渋谷先輩って) 京太郎(顔はすげーかわいいけど)ムヘァ 淡「きょうたろー、なに変な顔してんの?」 京太郎「え、あ、いや! してないしてない!」フルフルッ 淡「してたよー! こんな感じでむへぁ……って」 京太郎「こら、マネしない」コツン 淡「痛ったー! ……こんにゃろう、やったなー!」ポカポカ 京太郎「おい、こらやめろって……!」 菫「……ごほんっ!」 京太郎「あっ……」 淡「……き、きょうたろーが悪いんだからねっ!」 京太郎「お前なぁ……」 菫「いいから、淡はそこで黙って座っていろ」 淡「はーい……」ブスッ 菫「須賀は残りを手短に報告しろ」 京太郎「あ、はい! えーっとですね……」 淡「……さっききょうたろー変な顔してたよね? ね、テルー?」 照「お菓子……お菓子早く……」ギュルル 淡「もう、聞いてないしっ」 菫「よし、報告ありがとう。代金はあとで部費から出す」 京太郎「わかりました」 照「終わった……? 京ちゃん、早くお菓子を」 京太郎「あ、ええ! ちょっと待っててください……」ガサゴソ 京太郎「宮永先輩にはこの、苺チョコポッ○ーを買ってきました」スッ 照「うわ、これ新発売の……ありがと、京ちゃん」ビリリ 京太郎「いえいえ」 京太郎(ってさっそく破ってるし) 照「んぐんぐ……」ニコニコ 京太郎(宮永先輩、いつもはあまり感情を表に出さないけど、お菓子食べてる時だけは無防備なんだよなぁ……) 淡「いいなぁ……きょうたろー、私のは!?」 京太郎「え、いやお前はお菓子頼んでねーだろ」 淡「えー! なにそれー! 気が利かないやつぅ!」 京太郎「気が利かねーって……お前にはちゃんと飲み物買ってきてやったよ! ほら!」スッ」 淡「うわぁ、なにこれ! ホットケーキだって! 見て、テルー!」 京太郎(ふぅ……まったく、単純なやつ) 照「おいしそう……私もほしかった」ジー 京太郎「ん……って、えっ!? なんすかその目は?」 照「……私もほしかった」ジー 京太郎「ぅう……い、いやでも、あるのは一つだけですし……」 淡「こらー、きょうたろー! テルーがほしいって言ってるんだから買ってこーい!」 京太郎「なんでお前に命令されるんだよ! ってか、お前がちょっと分けてやればいいじゃん!」 淡「いやだよー! これは私のものっ!」 照「ホットケーキ……」ショボーン 京太郎「ぅぐ……」 京太郎「ああ、いいですよ買ってきますぅ!」 照「ほんと、京ちゃん……?」 淡「さすがきょうたろー! よっ、男前!」 京太郎「ったく、宮永先輩も人使い荒いですよね……」ブツブツ 淡「んじゃー、私も行くー!」 京太郎「って、お前も行くのかよ! なんで!?」 淡「だって、テルーはお菓子ばっか食べてるし、スミレはちょーぼ書いてて相手してくれないし、ヒマなんだもーん!」 京太郎「んじゃお前行ってきて。お金やるから」 淡「なっ、そんなのダメー! なんでそうなるわけー!」 京太郎「だってお前ヒマなんだろ? それに本来は一年であるお前だって買い出し要因なんだからなー?」 淡「なにいってんのっ!? 私レギュラー! きょうたろーはレギュラーじゃないじゃん!」 淡「それにこういうのは男子が率先してやることでしょー!?」 京太郎「っだよその暴論は……ちょっと麻雀がうまいからってよぉ」 淡「ちょっとじゃないし! きょうたろーの百倍だし!」 京太郎「ああ、もうわかったよ! 勝手についてこい!」 淡「やたー! 勝手についてくー♪」ダキッ 京太郎「ちょ、こら離れろって!」 バタン 菫「……はぁ、やっとうるさいのがいなくなったよ」 照「……私は好きだけど。あの二人が騒いでるの」ポリポリ 菫「ふーん、お前は物好きだな」 照「物好き……? そうかも」 照「でも、菫だって今うれしそうにしてる」 菫「なっ……嬉しそうにしてるって、私が?」 照「……」コクッ 菫「そ、そんなことないぞ! ただ……」 照「……ただ?」 菫「いや、須賀もちゃんと馴染んでくれたようで何よりだったな……と」 照「……」 菫「ほら、あいつがうちの高校に転入してきて麻雀部に入ることになったとき」 菫「正直不安だったんだ……あまり実力もない上に、数少ない男子部員だったからな」 菫「けど心配無用だったみたいだ。お前も、それに淡や渋谷も、あいつに気兼ねなく接してくれた」 菫「まぁ淡についてはあまり気にしていなかったというか、予想通りというか……」 照「……ふふ、たしかに」 菫「いずれにせよ、お礼を言いたい。感謝してるよ、二人……あぁ、それに亦野もだな」 照「……ぷっくく」プルプル 菫「お、おい! なんだその笑いは! 人がせっかく……!」 照「……っ、ご、ごめん……でも、どうして菫が感謝してるの……?」プルプル 菫「そ、それは……! その……わ、我が麻雀部の部長としてだな!」 照「……菫も、京ちゃんのこと心配してくれてたんだね」 菫「そ、そりゃあな……?」 照「……っぷ……お、お母さんみたい……」プクク 菫「お、お母さん!? 私が!? あいつの!?」ガタッ 菫「さっきも言ったが私は部長として……って、ちょっとこら待て逃げるな照!」 尭深「……」ズズー 尭深(先輩たちも、十分騒がしいです……) ――――――――――――――――――― 淡「それで、どこにいくのー?」 京太郎「ん? 業務スーパーだけど」 淡「ぎょーむすーぱー? そんなんあったっけ?」 京太郎「ったく、お前ここ地元だろ? 転校してきた俺の方が詳しいってどういうことだよ」 淡「だってここらへん、通学路しか通んないんだもん!」 京太郎「へいへい、そうですか」 京太郎「業務スーパーはなぁ、ここを真っ直ぐ行って信号を左に曲がったすぐのとこにあるんだ」 京太郎「よく叩き込んどけよ? そのちんちくりんな脳みそにな」ヘヘン 淡「なんか一言余計なんですけどっ!」ゲシッ 京太郎「いてっ!」 淡「まったくもう……ふんっ!」プイッ 京太郎「たた……な、なんも蹴るこたぁないだろ」 淡「きょうたろーはデリカシーなさすぎ! もっと女の子にやさしくできないのっ?」 京太郎「優しくしてるよ……お前以外にはな」 淡「なっ! 私にも優しくしろー!」ポカポカ 京太郎「いてっ、痛いってこら……!」 淡「んもうっ!」グイッ 京太郎「お、おわっ! な、なにすんだよ!」 淡「男子ならこうやって女の子をリードするくらいしなきゃダメでしょー?」 京太郎「そ、そりゃ付き合ってる男女の場合だろうが! 腕組みなんて普通やらねーよ!」 淡「なにそれー! じゃ、きょうたろーは私のこと好きじゃないわけ?」 京太郎「なんでそうなる! 俺は、お前の彼氏でもなければ恋人でもないって言ってんの!」 淡「ひっどーい! 京太郎は私のことなんか眼中にないんだー! うえーん!」 京太郎「ウソ泣きすんなウソ泣き」 淡「むっ……と・に・か・く!」 淡「今日は、私とデートってことでエスコートしてもらうから!」 京太郎「買い出しがデートかよ!」 淡「いいからいいから、ほら行くよっ!」 京太郎「おい、こら引っ張んなって!」 京太郎(はぁ、俺の初デートが……ってなに俺も乗り気になってんだよ! こんなのデートのうちに入んないだろ!) 淡「ふんふん♪」 京太郎「……」 京太郎(……入んないよな?) ――――――――――――――――――― 京太郎「よし、早めに戻るか」 淡「ええー! ちょっと寄り道してこーよ!」 京太郎「いやマズいだろ。宮永先輩だって待たせてるんだし」 淡「むぅ……じゃあいいよ」ブスッ 京太郎「……」 京太郎(こいつ……ほんと子供みたいにワガママだよなぁ) 京太郎「はぁ……じゃあ少しだけな?」 淡「えっ……?」 京太郎「少しだけなら、寄り道……してやってもいいぞ」 淡「……!」 淡「きょうたろー、大好き!」ダキッ 京太郎「ちょ、こら引っ付くなって!」 ガランゴロン! 淡「……ん? 何の音?」キョロキョロ 京太郎「さぁ?」 ??「……っ」ダダッ 京太郎「ん、あれは……」 京太郎(……咲? ……いやまさかな。あいつがこんなところにいるわけ……) 淡「? どうしたの、きょうたろー?」 京太郎「いや、なんでもない」 京太郎「んじゃささっと回って帰るぞ」 淡「なっ! ささっとじゃダメー!」 ――――――――――――――――――― 京太郎「それじゃ、お疲れ様です!」 菫「ああ、お疲れ」 照「お疲れ様……京ちゃん、ミルクセーキありがとうね」 京太郎「ああ、どういたしまして」 淡「んじゃ帰ろー! テルー、スミレ!」 京太郎「淡、あんまし先輩方に迷惑かけんなよ?」 淡「なっ、人をなんだと思ってるのー!?」 京太郎「幼稚園児」 淡「なにおーっ! このこの!」ポカポカ 菫「ほら淡、さっさと帰るぞ」グイッ 淡「わわっ! ちょ、待ってよスミレ!」 ズルズル... 淡「明日覚えてなさいよー! きょうたろー!」 照「じゃあね、京ちゃん」 京太郎「はい、また明日です」 「わー! わー!」 京太郎「はは、退屈しない奴だぜ。まったく……」 京太郎「俺もそろそろ帰るとするか」 ガチャ 京太郎「よし、戸締りオッケー」 京太郎「あとは鍵を戻して……と」 京太郎「さーて、帰宅帰宅ゥ」 ――――――――――――――――――― スタスタ... 京太郎「夕暮れ時か……なんか郷愁にふけりたくなるな」 京太郎「って俺らしくないか」ハハッ ??「……ほんとそうだね」 京太郎「だよなぁ……って、へ?」 京太郎(い、今の声……どっかで!?) 京太郎「っ!」クルッ 咲「お久しぶりだね……京ちゃん」 京太郎「さ、さ……」 京太郎「咲じゃねえか! どうしてここに?」 咲「ちょっと、ね……お姉ちゃんに会いに」 咲(ウソだけど……) 京太郎「ああ、宮永先輩か。でも先輩ならもう帰ったぞ?」 咲「うん、知ってる……だからあとで家に行こうかと思ってる」 京太郎「ああ、そうだよな。咲なら宮永先輩の家、知ってるもんな」 咲「うん」 京太郎「……俺にも、わざわざ会いに来てくれたのか?」 咲「っ! う、ううん! た、たまたま見つけたから声をかけただけだよ……」 京太郎「ふーん……」 咲「……っ」アセアセ 京太郎「……ほんとかぁ? ほんとは俺に会いたくて仕方なかったんじゃないのかぁ?」ニヤッ 咲「ち、違うよ! そ、そんなわけないでしょ!」 京太郎「へへー、さいですか」ニヤニヤ 咲「さいですよ! 京ちゃんはすぐうぬぼれるんだから……もう」 京太郎「へーへー、ごめんなさいねぇ。モテる男はつらくてよぉ」 咲「……」 京太郎「……なんだぁ、咲。ツッコミはなしかよ」 咲「えっ……ああ! ごめん、なんだっけ……?」 京太郎「おいおい、咲さんにしてはキレがわりぃなぁ……さては長旅で疲れたか?」 咲「う、うん……そうなの、かな……」 京太郎「……」 京太郎「……なら、俺んち寄ってくか?」 咲「えっ、き、京ちゃん家に!?」 京太郎「いや、すぐに宮永先輩んちに行くっていうならあれだけどよ」 咲「い、行く行く! 行かせて、京ちゃんの家!」 京太郎「お、おう……じゃ、ついてきてくれ」 咲「うんっ!」 京太郎「……」 京太郎(なんかやけに食いつきいいな……咲のやつ) スタスタ... 咲「……京ちゃん家は、ここから歩いて行ける距離なの?」 京太郎「ああ、こっから10分くらいかな。一軒家を借りてる」 咲「へえ……」 京太郎「あ、でも帰りちょっとスーパー寄っていっていいか?」 咲「うん、なにか買い物?」 京太郎「いや、今日は両親とも帰るのが遅くなるって連絡があってさ」 京太郎「久々に自炊でもしようかなーと」 京太郎「あ、そうだ! なんなら咲も食ってくか?」 咲「い、いいの?」 京太郎「もちろん!」 咲「あ、ありがとう!」 咲(うれしい……うれしい、けど) 咲(こういうときは、『私が作ってあげるよ!』くらい言いたかったな……) 咲(京ちゃん、こう見えてけっこうなんでもそつなくこなすから……ずるいよ) 京太郎「……どうした?」 咲「え、いやなんでもない!」 京太郎「んー、さては俺の作る夕飯が待ち遠しくて、食卓の妄想にでもふけってたか?」 咲「ち、違うよ!」バンッ 京太郎「いてっ! なにすんだよ!」 咲「京ちゃんが変なこと言うから……!」 京太郎「……っく、はは」 咲「ど、どうしたの? いきなり笑い出して……」 京太郎「い、いやさ……お前とこんなやり取りするのも久々だなぁと思って」 咲「そ、そうだね……」 京太郎「へへ……」 京太郎「……ま、ちゃちゃっと食材買いに行きますか」 咲「……うん」 ――――――――――――――――――― 京太郎「うーん……なににすっかな」 咲「京ちゃん、何が作れるの?」 京太郎「なにがって言われてもな……ある程度なら作り方さえ知ってればいけるし」 咲「すごい……ほんとに料理できるんだね」 京太郎「なんだよ、疑ってたのか?」 咲「う、ううん! 違うけど、人は見かけによらないなぁって」 京太郎「ぐさっ! ……へいへい、そうですよ。俺はどうせずぼら人間ですよ」 咲「そ、そんなつもりで言ったんじゃ……!」 京太郎「……咲はなんかリクエストあるか?」 咲「え……なんでもいいの?」 京太郎「俺の作れるものなら」 咲「じゃあ……し、質素なやつで」 京太郎「す、ずいぶんアバウト!?」 咲「ご、ごめん……でもぱっと思い浮かばなくて」 京太郎「うーん質素か……」 京太郎(……今日はブリが安いみたいだし、煮つけにしてみるか) 京太郎(んで家にある野菜……たしか人参と大根はまだあまってたはず……で味噌汁、いや豚汁作って」 京太郎(ついでに切り干し大根も……それだと買い足さなきゃいけないか。ま、いいけど) 京太郎(あとはほうれん草買って行っておひたしにでもするか) 咲(すごい考えてる……) 京太郎「……よし、決まったぜ」 咲「ほんと?」 京太郎「ああ、さっそく必要なもん買ってこうぜ」 咲「うん!」 ――――――――――――――――――― 京太郎「いやいいって」 咲「大丈夫! 私は手伝ってもあまり役に立たないだろうから、これくらいさせて!」 京太郎「いや、お前の細腕にその荷物はちときついだろ」 咲「平気だよ……それに、京ちゃんだって細いじゃん」 京太郎「俺のは細マッチョっていうの。いいから貸せって」ヒョイ 咲「あっ……」 京太郎「うご……けっこう重いな。明日の分も一応買ってきたせいか」 咲「でしょ? だから……」 京太郎「あーはいはい。んじゃ半分こな?」 咲「うん」 京太郎「よいしょと……じゃ、咲はこっちの重い方」 咲「お、重い方なんだ!?」 京太郎「だって持ちたがってたじゃねえか」スッ 咲「そ、それはそうだけど」グッ 咲(あれ……別に重くない) 京太郎「……ほら行こうぜ」 咲「え、あ……」 咲「……う、うん……っ///」 ――――――――――――――――――― 京太郎「よし、着いたぞ」 咲「うわぁ、なんか別荘みたい」 京太郎「へんな屋根の形だろ? まぁ中はそれなりだからさ、あがってけよ」 ガチャ 咲「お、お邪魔しまーっす」 京太郎「誰もいねーけどな」 咲「あっ……」 咲(そっか……今は京ちゃんと私の、二人っきりなんだ) 咲「……っ///」 京太郎「そっち、洗面所だから行って手洗ってこいよ」 京太郎「俺はちょっと自分の部屋に鞄おいてくる」ダッダッ 咲「う、うん!」 咲「……へえ、お風呂場はここか」 咲「って、うわわ……///」 咲(京ちゃんの下着……だよね、これ?) 咲(あ、でもお父さんのかも……) 咲「ぅう……///」 咲(こ、こういうところはテキトーなんだよね……)ジャー 京太郎「ほいほい、っと」ドンッ 咲「うわっ!」 京太郎「俺も手洗おっと~♪」 咲「京ちゃん、階段くらいゆっくり降りてよ!」 咲「あ、あとこの下着、京ちゃんの!?」 京太郎「あ、そうだわ。悪ぃ悪ぃ」ポポイッ 咲「もうっ!」 京太郎「だってさ、仕方ねえじゃん。今日お前を家にあげる予定なんてなかったんだぜ?」 咲「そ、それはそうだけど、こういうのは普段からしっかり……きゃっ!」 京太郎「ふふんふ~ん♪」ジャー 咲「っちちち、ちょっと京ちゃん!!?」 咲(う、後ろから私のこと抱きかかえるように手を伸ばして……!!) 京太郎「いやこれならいっしょに洗えるじゃん?」 咲「そ、そうだけど……っ!///」 咲(わ、私はどうすればいいのーーーっ!?) 京太郎「ガラガラ、っぺ……っ!」 京太郎「コップはその棚の中に紙コップあるからそれ使って」 咲「ぅ……」 京太郎「んじゃ俺は準備してんぞ」ダダッ 咲「は、はぁ……っ」フニャ 咲(き、緊張した……) ――――――――――――――――――― 咲「えっと……お台所は……」 咲「あっ、京ちゃん!」 京太郎「おう」ガサゴソ 咲「わ、私は何をすればいいかな……?」 京太郎「……んー」ガサゴソ 京太郎「とりあえずこの野菜洗ってくれるか?」 咲「あ、うん!」 京太郎「んじゃ俺は切り干し大根を水につけてっと……」 京太郎「最初にブリ捌いちまうか」チャキン 京太郎「あ、咲。お前血とか苦手?」 咲「え、いや好きじゃないけど……」 京太郎「んじゃこっちの台でやるから見ないで」 咲「う、うん……」 (面倒なので、料理シーン大幅カット) 京太郎「そろそろいいか……ふぅ」フキフキ 咲(京ちゃんすごいなぁ……ほとんど一人でやっちゃったよ) 咲(私なんか全然役に立たなくて……さっきもみりん入れすぎちゃったし) 咲(なんか自分が恥ずかしいよ……うぅ) 京太郎「じゃ、咲は皿用意してくれ。そっちの棚にあるから」 京太郎「必要なのはお茶碗と味噌汁用のお椀に、そっちの平たい小皿ふたつずつ……あと大皿な」 咲「あ、うん!」 ――――――――――――――――――― 京太郎「よーっし、では」 京太郎「いただきます!」 咲「い、いただきます」ペッコリン 京太郎「ふぃ~、腹減ったぁ」 京太郎「あ、そうだテレビつけようぜ」ピッ ワーワー 咲「き、京ちゃんごめんね……足手まといになっちゃって」 京太郎「ん、なにが?」モグモグ 咲「いや、さっきの料理……この煮つけだって……」 京太郎「いやうまいぜ? ほら……」ヒョイパクッ 京太郎「んぐんぐ……な、うまいだろ?」 咲「んん……」モグモグ 咲「う、うん……」 咲(きっと京ちゃんがよくわかんないけど味の調整してくれたんだ……) 咲(それなのに私……) 京太郎「なーにしょぼくれた顔してんだよ。咲だってこれから料理覚えてけばいいじゃん」 咲「わ、私にはムリだよ……」 京太郎「まぁ、たしかにどんくさいしな」 咲「むっ……でも言い返せないよ」 京太郎「だけどよ、下手は下手なりに努力すればいいだろ。俺だってハギヨシさんみたいにできるわけじゃねえし」 京太郎「なにかやろうって思うことが大事なんだよ」パクッ 咲「……うん、そうだね」 京太郎「そっちなら、和あたりが料理に詳しそうじゃねえか? 教えてもらえよ」 咲「あ、うん……」 咲(でもわたしは……京ちゃんに教えてもらいたかった、な) 咲(そんなの無理ってわかってるけど……) ワーワー 京太郎「ははっ、なんだこいつ!」 咲「……」 咲(京ちゃんは……私にやさしくしてくれる) 咲(たまに意地悪なことも言うけど、そういうやり取りをすること自体が、私にとっては楽しい……) 咲(でも、京ちゃんにとって私は……数いる女の子のうちの、一人でしかないんだよね) 咲(でも、じゃあ……昨日の子はどうなんだろう……?) 咲「……」チラッ 京太郎「あ、今の問題わかるぞ! ……ええっと、なんだっけ」 咲(き、聞いてみたい……京ちゃんと、昨日の子の関係……) 咲「……っ」 咲「き、京ちゃんはさ……」 京太郎「ん? なんだよ、咲?」 咲「こ、こっちで……その……」 咲「す、好きなことかできたりしたの……っ?///」 咲(な、なに聞いてんだろ私……っ!) 京太郎「と、突然なんだよ……?」 咲「ご、ごめん! 今の忘れて!」 咲(は、恥ずかしい……! なんでこんなに顔が熱く……っ) 京太郎「好きな子かぁ……考えたこともねえな」 咲「えっ……」 京太郎「こっちにもかわいい子はそれなりにいるけどよ」 京太郎「なーんか今一つもの足らないというか……」 咲(そ、それって……) 咲「も、もしかして……胸?」 京太郎「おお、そうだ! それだ!」 京太郎「白糸台の人らには胸が足りないっ! ……あ、今の宮永先輩には絶対言うなよ」 咲「わ、わかってるけど……それを私に言う? 普通……」ペッタン 京太郎「ん、なんだ? 咲は気にしてんのか? 胸ないの」 咲「そ、そうグサッといわないでよ!」 咲(気にするに決まってるじゃん! だって京ちゃんが……) 咲「……っ」 京太郎「まぁ世の中にはいろんな趣味趣向のやつらがいるしよ」 京太郎「きっと咲にもチャンスはきっと巡ってくるって! だからそうしょげんなよ、な?」ポンポン 咲「……」 咲(……なんだ……京ちゃんには、私なんか眼中に入ってないってことか) 咲(薄々わかってたことだけど……こうも容赦なく切り返されると……) 咲(やっぱり傷つくな……)ズキッ 京太郎「お、おいおいどうしたよ? そう重く受け止めんなって、咲さん」 咲「……」 咲(はぁ……なんかここまでくると、失うものなんか何一つないって思えてくるよ) 京太郎「お前にだっていいところはたくさんあるじゃねえか。たとえば麻雀とか、麻雀とか……」 もういいや…… 京太郎「あとは……ま、まぁとりあえず! そういう自分の強みで戦ってけばいいんだよ!」 ……自暴自棄になっちゃえ 咲「……京ちゃん、昼間一緒にいた子……名前はなんていうの?」 京太郎「えっ……一緒にいた子……?」 咲「実は見かけちゃったんだ……神社の近くで」 咲「金髪の子と京ちゃんが……その、抱き合ってるとこ」 京太郎「え……あっ!」 京太郎(もしかして……淡のことか?) 京太郎「あ、あいつはただのチームメイトっていうか……そ、そう! 友達だよ、友達」 咲「へえ……」 咲(少し焦ってる……おもしろい) ……もっと畳み掛けちゃえ 咲「……京ちゃんは“友達の”女の子と、外で抱き合ったりするんだ?」 京太郎「い、いやそれは……! あいつの方が勝手にさあ……!」 咲「ふーん……じゃあその子はきっと京ちゃんのことが好きなんだね?」 京太郎「なっ……」 咲「京ちゃんはどうなの? その子のこと、どう思ってるの?」 京太郎「お、俺は別に……ていうか、なんだよこれ。尋問かよ」 京太郎「もういいだろこの話は……さっさとメシ食っちまおうぜ」 咲「……質問に答えてよ、京ちゃん」 京太郎「はぁ……もう答えたろ。俺は淡のことなんかどうとも……」 ...ギリッ 咲「……じゃあ、私のことは?」 京太郎「……は?」 咲「私のことは、どう思ってるの?」 京太郎「お、お前のこと……?」 咲「うん……」 京太郎「いやそれは……」 咲「……それは、なに?」 京太郎「……っ」 京太郎(咲のやつ、どうしたんだよ……そんな怖い顔して……) 京太郎(ていうかこれって……もしかして、もしかすると……) 京太郎(……咲は、俺のことが好きなのか……?) 京太郎(いやいや待て! 今までそんなそぶり……) 京太郎(……) 京太郎(……あったか……あったかも) 京太郎(で、でも……だからってどう答えりゃいいんだ?) 京太郎(俺は咲のこと、そんな目で見たことなんかないし……) 咲「……京ちゃん、なんで答えてくれないの?」 京太郎「うっ……いや、あの」 咲「……」 咲(いつもは態度大きいくせに……こういうときばっかりヘタレて……) ……いくじなし 京太郎「なっ……さ、咲!?」 ...ギシッ 京太郎「お、お前どこ座って……!」 咲「京ちゃんの膝の上だよ……?」 京太郎「は、早く降りろ……!」 咲「……じゃあ、質問に答えてよ」 京太郎「ぐ……」 京太郎(ほ、本音を言えば……こいつを傷つけちまうかもしれない) 京太郎(だからって、ウソついてまで『好きだ』なんて言葉、言えるわけない……) 京太郎(どうすれば……) 京太郎(くっ、咲の言うとおりだぜ……俺はこういう時、優柔不断すぎる……!) 咲「……京ちゃん、答えてくれないと膝からどいてあげないよ?」 咲(……京ちゃんが嘘をついてるとは思えない) 咲(だから、京ちゃんにはまだ“特定の”女の子はいないはず……) 咲(京ちゃんの性格からして、いま頭の中では、私をどう傷つけずにこの場を乗り切れるか……それだけを考えてるはず) 咲(だけど、ウソも付きたくない……そう思ってる) 咲(そこが京ちゃんの甘いところだよ……) 咲(迷いのある人間の心なんて、ちょっと後ろからつついてやればすぐ脆く崩れちゃう……) 咲(さっき言ったよね……私には私にしかない“得意分野”で攻めていけって) 咲(これは私が、麻雀から学んだことだよ……やっと役に立った、ふふ……) 咲(私には胸はないけど……それでも体は、女の子なんだから……) 咲「……」ギュ 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎「さ、咲!?」 咲「私は、京ちゃんのことが好き……」 京太郎「え、いや……その……それは嬉しいんだが」 咲「嬉しいんなら、なんで私のことも好きって言ってくれないの……?」 京太郎「そ、それは……」 咲「……それは、なに?」 京太郎「えっと、その……」 咲「……はぁ」 咲「ふふ……ここだよね、たしか……」サワサワ 京太郎「っ!」ビビクン 咲「あ、なんか固い……どうしちゃったの、これ?」クス 京太郎「さ、咲……! や、やめろって!」 咲「ふふ……そう思うなら、なんで力ずくで止めさせないの?」 京太郎「ぐっ……」 咲「ほんとはしてほしいくせに……」スリスリ 京太郎「ぅぁ……!」 ふふ……男の子なんて、やっぱり単純だ 咲「ふふ……これがいいの?」スリスリ 京太郎「うぐ……っ!」 京太郎(ダメだ……こんなことしちゃ……!) 京太郎(自分の意思も通さず、なりゆきにまかせてこんなことさせて……) 京太郎(一番最悪な……なさけねえパターンじゃねえか!) 京太郎「さ、咲!」グイッ 咲「きゃっ!」ドタンッ 京太郎「す、すまん!」 咲「……っ」 京太郎「だ、大丈夫か……?」スッ 咲「……ふふ、っ……はは……」 京太郎「さ、咲……?」 咲「……そっか、そうだよね……」 ...スクッ 咲「……ごめん、どうかしてたよ……私」 咲「……」パッパッ ←スカート直し 咲「……じゃあね、京ちゃん」 スタスタ... 京太郎「お、おい! 咲、どこに……!」 咲「ん……お姉ちゃんの家」 京太郎「いや、でもメシ……」 咲「もう食欲失せちゃったよ……それに京ちゃんだって、いつまでもこんな私にいてほしくないでしょ?」 京太郎「そ、そんなことは……!」 咲「……ねえ、京ちゃん」 京太郎「な、なんだよ……?」 咲「中途半端な優しさは……逆に相手に辛い思いをさせるだけだよ……?」 京太郎「……そ、それは……っ」 咲「いっそ、嫌いって言ってくれた方が……まだ救いがあったよ」 京太郎「ごめん……でも、俺は咲のこと嫌いじゃない。それは確かだ」 咲「……」 咲「そういうのが、相手を傷つけるっていうんだよ……」ボソッ 京太郎「え……」 バタンッ 京太郎「……っ」 京太郎「咲……」 京太郎「くそっ……最低だ、俺!」 京太郎「咲を傷つけちまった……それだけじゃない」 京太郎「答えを言い淀んだせいで、あんなことまでさせて……」 京太郎「ほんっと……最低だよ……」グッ 京太郎「咲を追いかけたい……でも、今そうしたって許してくれるわけないし……」 京太郎「なにより、今以上に咲を傷つけるだけだ……」 京太郎「でもこのままにはしておけない……どうしたら……」 京太郎「明日……誰かに相談してみるか……」 京太郎「っく……こんなときまで、人頼みとは……」 京太郎「つくづく情けない男だぜ……俺はよ」 ――――――――――――――――――― 翌朝 スタスタ... 京太郎(昨日はあんまり寝つけなかった……咲を傷つけた、罪悪感で……) 京太郎(宮永先輩……照さんには、ちゃんと咲が家に着いてるかどうか確認しておいた) 京太郎(事情は聴いてるだろうから、正直電話越しにコークスクリューかまされるかと思ったが……照さんはいつものように淡々と受け答えしてくれた) 京太郎(照さんに相談でもしてみるかな……いや、でも……) 京太郎(ここは関係ない、第三者に相談するのが筋だろ) 京太郎(亦野さんや渋谷先輩はどうだろう……なんかあまり頼りにならなさそうだ) 京太郎(やっぱりここは弘世先輩かな……) 京太郎(淡は……なんだろ、役に立たないっていうのは百も承知だけど……) 京太郎(それ以前に、今回のことに淡を絡めて考えると……なんかモヤモヤする。なぜかはわからんけど) 京太郎(とりあえず、今日の放課後……先輩をどっかに呼びだすか)ポチポチ ――――――――――――――――――― 放課後 京太郎「終わった……さてと」 京太郎(弘世先輩は、教室に直接きてくれって言ってたな) 京太郎(あ、でもそれだと、同じクラスの照さんにも聞かれるかもしれないんじゃ……) 京太郎(……まぁ、その時はその時か) スタスタ... 京太郎(先輩方の教室は二階だよな……) 3-C 京太郎(……ここか) ...コンコン 京太郎「失礼します、一年の須賀です」 菫「ああ、入っていいぞ」 ...ガララ 京太郎「すみません……呼び出したりして」 菫「かまわないよ。何か相談があるんだろう?」 京太郎「はい……だけど」キョロキョロ 京太郎「あれ……弘世先輩だけですか?」 菫「なんだ、照も一緒の方が良かったのか?」 京太郎「い、いえ……逆にそうじゃない方がありがたいなぁと」 菫「そうなのか……まぁいい、とりあえずその相談ってのはなんだ?」 京太郎「実は……(カクカクシカジカ」 ――――――――――――――――――― 菫「なるほど……それが昨日のことか」 京太郎「……はい」 菫「それで須賀……お前はどうしたいんだ?」 京太郎「え……っと、それは……」 菫「まさか、なんとなく私にどうにかしてもらおう……なんて甘い考えでここに来たんじゃないだろうな?」 京太郎「ぐっ……」 京太郎(た、たしかに先輩の言うとおりだ……) 京太郎(俺は、先輩に相談すればどうにかしてくれるんじゃないかって、そう思って……) 京太郎(くそっ……! なんだよ、全然ダメじゃねえか、俺!) 京太郎「……っ」 菫「図星か……?」 京太郎「……はい、すみません」 菫「はぁ……やっぱりな」 菫「私は、お前はもう少し賢いやつだと思っていたんだが」 京太郎「……返す言葉もないです」 菫「まぁ、別に私はいいよ。お前がどうしたいか、それを決めるまで一緒に付き合ってやる」 京太郎「せ、先輩……」 京太郎(弘世先輩……やっぱり頼りになる人だ) 京太郎「すみません、ありがとうございます……!」 菫「礼は相談が無事終わってからにしてくれ」 京太郎「……はい」 菫「それじゃあカウンセリングを始めるが……」 菫「いきなりどうしたいか考えろと言っても無理だろう。お前も昨夜はいろんなことがあって、気持ちの整理もついてないんだろうしな」 菫「だから質問形式でいく」 京太郎「質問形式……?」 菫「ああ、私がお前の立場であればどう考えるか……それをシュミレートし、考えうる限りの決着点を模索してやる」 京太郎「は、はい! お願いします!」 菫「では、まず……お前はその子、照の妹さんをどう思っているんだ?」 京太郎「それは……さっき言った通りです。友達以上としては見れません……」 咲『ふふ……これがいいの?』スリスリ 京太郎「……っ」 京太郎(違う……! 俺は咲に、そういうのを求めていたんじゃない……!) 菫「昨晩……なにか、あったのか?」 京太郎「いえ……」 菫「ふむ……それでは」 菫「お前は妹さんと、よりを戻したいか?」 京太郎「よ、より!?」ガタッ 菫「友達として、だ」 京太郎「あ、ああ……」ストン 京太郎「そりゃもちろんそうですよ……あいつとの付き合いも長かったわけですし」 京太郎(何より一緒にいて気が楽だった……そう、昨日までは……) 菫「だが、彼女は長野に住んでいるんだろう? なら今後、接する機会もそう滅多にないはずだ」 菫「それなら今の関係のまま、彼女に長野へ帰ってもらえば済む話ではないのか?」 京太郎「そ、それは……! それは、あんまりですよ……」 菫「なにがあんまりなんだ?」 京太郎「さっきも言いましたけど、あいつとは中学からの付き合いなんです……」 京太郎「咲の方はわからないけど……少なくとも俺は、あいつのこと大切な友達だと思ってます……」 京太郎「だから、できるなら元の関係に戻りたい……戻って、また一緒に話せたら、それだけで俺……」 菫「そうか……でも、彼女はそうは思わないだろうな」 京太郎「……っ」 菫「君を好きになってしまったのだから。そして、その君に拒絶されてしまったのだから」 京太郎「……わかってます」 菫「彼女との関係を戻したいというのは、結局はお前の独りよがりなんだよ」 京太郎「……」 菫「おそらく彼女の中では、君に拒絶された時点で君との関係は終わってしまったんだ」 京太郎「……そ、そう……ですか」 菫「だから、彼女のことはそっとしておいてやるのが一番なんだ」 菫「今さら君に謝られたって、それはなにも生み出さないし」 菫「好きだといってみても、彼女にとってそれは嘘に塗り固められた言葉の刃でしかない」 菫「もっとも、君が本気で彼女のことを好きになったのなら話は別だが……違うのだろう?」 京太郎「……はい」 菫「……なら、残念ながら君にはもう彼女に対して何もすることはできないよ」 京太郎「……っ」 菫「……それでも、何かせずにはいられないか?」 京太郎「っ! な、なにかできることが、あるんですか!?」 菫「……あるにはある……だが、これは結局、自分自身のためのものでしかない」 京太郎「俺自身のため……?」 菫「自分の気持ちにケリをつけるってことだ」 菫「彼女にも言われたんだろう? 中途半端な心が他人を傷つけるんだと」 菫「彼女にしてやれることはもうない……しかし、彼女の前で誠実であろうとするならば、絶対にしなければならないことだ」 京太郎(そうだ……今回の原因は、つまるところ俺の優柔不断さにあったんだ……) 京太郎(咲を完全に拒否しきれなかった自分……それがあいつの傷口を大きくしてしまった) 京太郎(なら俺は……そんな自分を、断ち切らなきゃいけない!) 京太郎「……お願いします」 菫「ああ、では最後の質問だ」 京太郎「……」ゴクリ 菫「お前には……好きなやつがいるか?」 京太郎「……」 京太郎(だよな……そうなるよな……) 京太郎(でも俺には……特定の好きなやつなんて……) 菫「私にはな……お前は、自分の恋に気付いてないように思えるんだ」 京太郎「気づいてない……? 俺が、ですか?」 菫「ああ、私の直感でしかないんだがな……」 菫「ズバリ言うぞ。お前……淡のことが好きだろう?」 京太郎「ええっ!? お、俺があいつをですか!?」 菫「ああ」 京太郎「ないです、絶対ないっ!!」ブンブン 菫「そうか? 妹さんの話にも、淡のことが出てきたじゃないか」 京太郎「いや、だからあれはですね……!」 ...ガララッ ??「あー! ここにいたー!」 京太郎「えっ?」 ??「もう、きょうたろーにスミレ! 探したんだからねっ!」 スタスタ...ギュム 京太郎「ちょ、淡……!」 淡「二人でなんの話してたのー? 私にも聞かせなさーい!」グイングイン 京太郎「おい、ゆするなって!」 菫「ふむ……」 菫「実はな淡。須賀がお前に相談したいことがあるそうなんだが」 京太郎「ちょ、先輩!?」 淡「ええーっ! きょうたろーが私に相談!?」 淡「なにそれちょー気になる!」 京太郎「ね、ねえよ! 相談なんて!」 淡「いいからいいからー! 私に何でも相談してみなさいっ!」エッヘン 菫「じゃ、頼んだぞ。淡」 淡「らじゃーっ!」ピシッ スタスタ...ガラッ 京太郎「ひ、弘世先輩……!」 淡「こーらぁ! 患者は逃げないの!」グイッ 京太郎「ぐおぇ! ちょ、ネクタイ引っ張るんじゃねえ!」 ガタン 淡「それで、相談って?」キラキラ 京太郎「……うっ」 京太郎(ったく、なにが目的で先輩は……) 京太郎(つーか俺がこいつのこと好きなわけ……) 淡「んっ?」 京太郎「っ!」ドキッ 淡「なに~? ねえってば~」グイグイ 京太郎「ちょ、こらやめろって!」 京太郎(い、今のは不意打ちすぎた……いや、いくら不意打ちでも淡なんかにドキッとするか? 普通……) 京太郎(実は……本当に俺は、知らない間にこいつのことが……) 京太郎(いや、ないない! たまにかわいいとは思っても、それは小動物的な可愛さというか、いじると面白いっていうか……) 淡「ねーねー!」 京太郎(そう、妹みたいな感じなんだよ! 妹には恋愛感情なんて抱かねーだろ?) 淡「ねーってばっ!」ボコッ 京太郎「んぎゃ!」 京太郎「痛ってー! 鼻が……! 鼻がつぶれた!」 淡「もう、大げさだなぁ!」 京太郎「てめえ、淡! なにしやがる!」 淡「きょうたろーがいくら呼んでも返事しないからだよっ!」 淡「相談事っていったい何なのさーっ!?」 京太郎「相談事? あぁ……」 京太郎「実は、俺がお前のこと好きなんじゃねーかって言われてよ」 淡「えっ……」 京太郎「ありえねーよなぁ……お前みたいなチンチクリンを好きになるだなんて」 京太郎「まったく笑っちまうぜ、ははっ」 京太郎「……お前もそう思うだろ、なぁあわ「……好きだよ」 京太郎「……は?」 淡「私、きょうたろーのこと好きだけど。てゆーか何度も言ったよ?」 京太郎「えっ……いやいや、ウソだろ?」 淡「嘘じゃないし。真だし」 京太郎「……」 京太郎(淡が……俺のことを好き?) 淡「でも京太郎は私のこと好きじゃないんだ……ざーんねんっ」 淡「きっと両想いだと思ったのにー」ムゥ 京太郎「……」 淡「でもいーんだっ! きっときょうたろーは私に振り向いてくれるんだって、そう思ってるからっ!」 淡「だって、こんなに近くにいて私のナイスバヂーな魅力に気づかないわけないしさ!」 淡「だからきょうたろーが振り向いてくれるまで、私は常に自分のかわいさに磨きをかけて日夜精進、頑張るのだ!」ニコッ 京太郎「……っ」ドキッ 淡「うわー! なんか恥ずかしいこと言っちゃったっ! 忘れて忘れて!」 京太郎「……」 京太郎(そうか……俺は、“こんな”淡に、いつの間にかずっと惹かれ続けていたのか……) 京太郎(なんで……俺はこんなことにすら気づかなかったんだろうな……) 京太郎(こんなんだから、他の誰を傷つけたりしちまうんだ……それに今、淡のことだって……) 京太郎(弘世先輩、今やっとわかりました……俺の本当の気持ちが……) 京太郎「あ、淡……」 淡「んっ? なーに?」 京太郎「……っ」ダキッ 淡「うわっ!」 京太郎「淡……ありがとう」 淡「な、なにいきなり? どうしちゃったのきょうたろー?」 京太郎「こんな俺を好きでいてくれて……ありがとう」ギュ 淡「な、なんか京太郎に感謝されちゃった……でも嬉しいかもっ」 淡「だって、京太郎の方から私のこと抱きしめてくれたの、初めてだもんねっ?」 京太郎「はは……そういやそうだな」 京太郎(淡の体……あったかくてやわらかい……) 淡「きょうたろーは私のこと好き?」 京太郎(もう、迷いはない……) 京太郎「……あぁ、好きだ」ギュ 淡「よしっ! きょうたろーのハートげっちゅ!」グッ 京太郎「ふっ……なんだよそれ」 淡「勝利のガッツポーズっ! 私がきょうたろーとの賭けに勝ったから!」 京太郎「賭けしてたのかよ……」 淡「うん! 誰も知らない、私だけが知ってる大きなギャンブルっ!」 京太郎「ったく……そんなちんけなギャンブルで、いったいなにを賭けたんだよお前は」 淡「ふふー聞きたいー?」 京太郎「聞かなくてもどうせいうんだろ?」 淡「あったりーっ! んじゃ教えちゃいまーっす!」 京太郎「おう」 淡「賭けたものは~……」スゥ 京太郎「……っ」 淡「んっ……」チュ 京太郎「ん……っ……」 淡「んん……ちゅ……」 京太郎「……っ、ぷは……っ……か、賭けたものはこれか?」 淡「へへ……うんっ! 私の愛、全部!」ニコッ 京太郎「はは、そりゃまたでけえな」 淡「あったりまえよー! 私の愛の大きさは計り知れないんだからっ!」 京太郎「んじゃ、ギャンブルに勝ったお前には、それ相応の見返りが必要になるわけだな?」 淡「んー、そっか! そうなるよねっ!」 京太郎「……じゃ、それは俺が払うしかないか。えっとこういう場合なにで払えばいいんだ?」 淡「私は私のラブ全賭けしたんだから、それの百倍くらい大きいのじゃなきゃイヤだよっ?」 京太郎「んー、わかった。それじゃあ……」 京太郎「俺はこれから、お前が今まで俺のことを好きでいてくれた分以上に、お前を大好きでいてやる……それでいいか?」 淡「……うんっ! それでよし!」 淡「絶対に約束やぶっちゃだめだよっ! わかった?」 京太郎「わぁってるよ。お姫様」 ギュ カン ----------- 菫「ズバリいうぞ。お前……私のことが好きだろう?」 京太郎「……へ?」 菫「……///」カァア 菫「な、なんでもないっ! 忘れてくれ!」←少し上ずった声 京太郎「いや、あの……」 菫「わ、私は用事を思い出した! 先に失礼させてもらうぞ!」ダダッ 京太郎「ちょ、先輩!?」 ビューン! 京太郎「はええ……まるでアーチェリーの矢のようだ」 京太郎「っていうか、相談は……」 京太郎「ん、まぁあとは自分で考えろってことなんだろうな……うん」 京太郎「誰が好きなのか、か……」 ...スタスタッ 菫「……っ///」 菫(わ、私としたことが……思わず心にもないことを口走ってしまった……!) 『私のことが好きなんだろう……?』ドヤァ 菫「ああ、恥ずかしいっ! 忘れたい忘れたい!」グシャグシャ 菫「……あっ!」 ズテンッ! 菫「いてて……」 菫「……っ!」キョロキョロ 菫(ふぅ……誰にも見られてはいない、か) ...ストン 菫(はぁ……なにやってるんだろうな、私は) 菫(須賀があんな相談を持ちかけてきたとき、正直私は断ろうかと思っていた) 菫(だって私もあいつを……) 菫「……っ///」 菫「ば、ばかだよほんと……! なんでよりにもよってあいつなんかを!」 菫「……っ」 菫(……でも、仕方ないよな。自分の気持ちに嘘はつけない……) 菫(私が須賀京太郎を好きになってしまったという事実は……少なくとも私にはもう、どうしようもないんだ……) ??「あれ、弘世先輩じゃないですか!」 菫「……っ!」ドキッ 菫(こ、この声は……!?) 京太郎「どうしたんすか、こんなところで?」 菫「す、須賀……」 菫「お、お前こそどうしたんだ?」 京太郎「俺は買い出しですよ。また照さんにお菓子頼まれちゃって」 菫「そうか……あのあと部室に戻ったんだな」 京太郎「ええ、そうです」 菫「……っ、すまなかった。勝手にお前をほっぽり出して……」 京太郎「いいですって。弘世先輩からは十分アドバイスがもらえましたし、とても助かりました」 菫「そ、そうか……?」 京太郎「そうですよ。俺、自分の本当の気持ちってやつ、ちゃんと見定めます」 京太郎「それで、好きな人ができたときには、その人のことが好きだってちゃんと胸を張って言える男になるつもりっす!」 菫「そうか……」 菫(少しでも役に立てたんなら……よかったよ) 京太郎「先輩の方は、もう用事済んだんですか?」 菫「用事? あぁ……」 菫(そういえばそんなこと言って出てきたんだっけか……) 菫「まぁな。すぐに済むようなものだったし」 京太郎「じゃあ一緒に買い出し行きませんか?」 菫「……私とか?」 京太郎「ええ、もしよければですけど。弘世先輩と二人で話す機会って滅多にありませんし」 菫「……」 菫(そうだな、ここは素直に誘いに乗ろうか……) 菫「わかった。一緒に行こう」 京太郎「はい!」 ...スタスタ 菫(須賀と二人きりか……) 菫「……っ///」 京太郎「……あっ、先輩」 菫「わわっ、なななんだ!?」 京太郎「膝のところ、少し破れかかってますよ。どうしたんですか?」 菫「あぁ、これか……」 菫(たぶん、さっき転んだときだな……) 菫(でも、転んだなんて言うのは情けないし……ここは……) 菫「さ、さっき木の幹に引っかけてな……うかつだったよ、はは」 京太郎「木の幹ですか……林の中にでも入ったんですか?」 菫「ん、まぁそんなところだ」 京太郎「しかしけっこうひどいですね……直しましょうか?」 菫「直すって……お前がか?」 京太郎「ええ、道具さえあればすぐに直せると思いますよ」 菫「そ、そうか。それなら……」 菫(……いや待て。これじゃまるで、私ができないから須賀に頼んでいるみたいじゃないか! いやたしかにできないが……) 菫(いずれにしろ、そんなのは私のプライドが許さん……!) 菫「こ、これくらい自分でできる! 私をバカにするな」 京太郎「そうですか? じゃあ、いいですけど」 菫「……う、うむ」 菫(……はぁ、なんで私はいつもこう強がってしまうのだろう) 菫(素直に頼めばいいのに、そうできない……) 菫(こういうとき、照や淡が羨ましく思うよ……) ――――――――――――――――――― ウィーン 「いらっしゃいませー!」 京太郎「んじゃ、ちゃちゃっと買いましょうか」 菫「そうだな」 スタスタ... 京太郎「照さんはこれっと」ポイッ 菫(お、このチョコレートおいしそうだな) 京太郎「淡のやつも、なんか買ってかないとうるさいだろうしな。これでいいか」ポイッ 菫(カントリー○ーム味か……すごく甘ったるそうだが、これはこれで興味あるな……) 京太郎「弘世先輩はなにか食べたいものあります?」 菫「え、あっ、いや……」 京太郎「あぁ、それですか? おいしいですよね!」 京太郎「んじゃそれも買いましょう」スッ 菫「いや待て。要らんといってるだろう!」 京太郎「でも、さっきすごく欲しそうにじーっと……」 菫「み、見てない!」 京太郎「うーん……ほんとですか?」 菫「ほ、ほんとだほんと……!」 京太郎「じゃあいいですけど……」スッ 菫「……っ」 菫(まただ……素直に欲しいといえばいいのに……) 京太郎「……いや、やっぱり買いましょう」ポイッ 菫「え……おい、待て。どうしてだ須賀!」 京太郎「いや、これは俺がほしいから買うんですよ」 菫「そ、そうなのか?」 京太郎「ええ、そうです。それなら問題ないでしょう?」 菫「う、うむ……たしかにな」 京太郎「それじゃ精算してきますね」 菫「あ、ああ」 ――――――――――――――――――― ウィーン 京太郎「よし、これであとは戻るだけですね」 菫「そうだな」 京太郎「あっ……そういえば、これどうぞ」スッ 菫「ん? ……って、これはお前が欲しいといって買ったものじゃないか」 京太郎「……先輩、いらないなんて嘘だったんでしょ?」 菫「い、いや本当だ! 何を言い出すかと思えば……」 菫「そもそもどうして私に嘘をつく必要があるんだ?」 京太郎「そんなの知らないです。けど……」グイ 菫「なっ……///」 京太郎「先輩が欲しがってたのは間違いないと思ってますよ。俺の目はごまかせません」 菫「ず、ずいぶん横暴な言い分じゃないか……何の根拠もなしに」 京太郎「横暴でけっこうですよ。それで先輩が喜んでくれるんなら」 菫「なっ……この、生意気なやつめ」 京太郎「ついでに、途中で俺んち寄って、その膝のとこ直していきましょうよ」 菫「それもいいといっただろう!」 京太郎「じゃあ道具だけ貸しますよ。それならいいでしょう?」 菫「ど、道具……いや、そんなのは自分の家で直すからいい!」 京太郎「……先輩、ほんとに直せるんですか?」 菫「なっ……! なんだその疑いのまなざしは! 直せるとも!」 京太郎「じゃあ見せてください」 菫「うぐっ……それは……」 京太郎「はぁ……」 菫「な、なんだそのあからさまな溜息は……」 京太郎「先輩……疲れませんか?」 菫「えっ…?」 京太郎「そんなになんでも完璧であろうとしなくていいんですよ」 京太郎「先輩はたいていのことなら何でもこなしますし、それはすごいことだと思います。けど……」 京太郎「人間誰しも完璧なわけない。誰にだって得手や不得手があって……それに」 京太郎「人の知らない、思いもしないような一面だってあります」 菫「な、なにが言いたい……?」 京太郎「先輩にもそういう一面があるんじゃないかって、俺は思うんです」 京太郎「たとえば、いつもは気丈にふるまっていても、実は甘い物好きだとか」 菫「なっ……!」 菫(見透かされてる……なぜ!?) 京太郎「先輩、俺が先輩のこと全然見てなかったって思ってます?」 京太郎「先輩が俺ら部員をしっかり見ててくれたように、俺だって先輩のことずっと見てきたつもりですよ?」 菫「な、ななな何を言ってるんだお前は……っ!///」 京太郎「……先輩はドライに見えて、実はけっこう気にしいなところがある」 菫「なっ……!」 京太郎「先輩は何でもそつなくこなすと思われてるけど、実は陰で人一倍努力している」 菫「や、やめろ……っ!///」 菫(は、恥ずかしい……!) 京太郎「そして……先輩は厳しそうに見えて、実際はやさしい」 菫「はっ……!」ズキュン(ロン) 京太郎「全部……俺が先輩をずっと見てきた中で感じたことです」 菫「ぅう……お前、こんなことしてただで済むとは……」 京太郎「思ってませんよ。だからお礼させてください」 京太郎「先輩の制服、俺が直してあげるってのでどうですか?」 菫「……っ///」 菫「わ、わかったよ……それでいい」 京太郎「はは、やっと素直になりましたね」ニコッ 菫「……っ」プイッ 菫(こ、こいつの顔をまともに見れん……!) 菫「そ、それじゃ早く家へ案内しろ……///」 京太郎「はい……!」 ...スタスタ 京太郎「……」 菫「……」チラッ 菫(まさか、こいつにあれほど見られていたなんて……) 菫(気にしいなところも、陰で努力をしていることも……すべて図星だ。情けないことに) 菫(だが、やさしいってのはなんだ……!? 私にはそんな心当たりは……) 菫(それとも、私が気付いてないというだけで、須賀の目にはそう映ってくれたんだろうか……) 菫「……っ///」 菫(な、なにを嬉しそうに顔をゆがませてるんだ私は……!) 京太郎「あ、着きましたよ」 菫「は、はい!」 京太郎「……どうしたんですか?」 菫「ごほんっ……な、なんでもない。さあ、とっととあがらせてくれ」 京太郎「さあ、どうぞ。レディーファーストです」ニコッ 菫「……なんか今日のお前はいちいちムカツクな」 京太郎「ええっ、なんですかそれ!」 菫「な、なんでもないよ」 ガチャ 菫「ほう……一軒家とは聞いていたが、けっこう立派なもんじゃないか」 京太郎「ええ、借り家にしてはけっこういいところに住まわせてもらってると思ってますよ」 菫「そうだな……そういえばお母様は? ひとつ挨拶をさせてもらいたいのだが」 京太郎「母ですか? いませんけど」 菫「え、じ、じゃあお父様は……?」 京太郎「俺の両親、共働きですよ?」 菫「で、ではこの家には……」 京太郎「俺……と先輩だけっすね」 菫「……」 京太郎「……?」 菫「……帰るっ!」 京太郎「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」 菫「お前、もしかしてそういうのが目的で呼び出したのか!」 京太郎「そ、そういうのってなんですか!?」 菫「お前には失望した! 大いに失望した!」グググ 京太郎「お、落ち着いてくださいって! とりあえずそのドアにかけた手を放して!」 菫「わ、私をたぶらかそうとおもっているんだろう! 照の妹に引き続いて、まったくお前というやつは……!」 京太郎「ご、誤解ですってー!」 (5分間の押し問答の末) 菫「……」プイッ 京太郎「い、いい加減、機嫌直してくださいよー」 菫(まったくこいつは……自覚がないのかっ) 菫(自分が周りの女子からどういう風に見られているのか……) 菫(ほんと最悪のたらしだよ……お前は) 京太郎「と、とりあえずお茶入れてきますね」 菫「……」スクッ 京太郎「逃げないでください」 菫「……ふんっ」ストン ――――――――――――――――――― 京太郎「はい、どうぞ」 菫「い、いただきま……じゃなくて」 菫「いただいてやる……」ズズ 京太郎「あはは……どうですか?」 菫「ん……」 菫(こいつはどこで覚えたんだか……お茶の入れ方が異常にうまい) 菫「ま、まぁまぁだな……」ズズ 京太郎「そうですか。よかったです」 京太郎「それじゃ、さっそく直してあげますね」 菫「ん……あぁ、頼むぞ」 京太郎「……んじゃちょっと失礼して」スッ ボカッ 京太郎「いたっ!」 菫「な、なななななな……!///」 菫「何をしようとしてるんだお前はっ!///」 京太郎「いやだから膝の部分を縫い直そうと……!」 菫「お前、だからと言っていきなりスカートの中に手を突っ込むやつがあるかぁ!」ボカッ 京太郎「ご、誤解ですって!」 菫「はぁ、はぁ……」 京太郎「そ、そんじゃ、少したくし上げてくださいよ!」 菫「……今度は何をたくらんでる」 京太郎「何も企んでません」 菫「……」 菫「こ、これでいいか……?///」スッ 京太郎「ええ、オッケーです」 ...スチャスチャ 菫(まったく……デリカシーのないやつめ) 菫「……しかし、ムダに器用だよな。お前」 京太郎「ムダ、は余計ですよ」 菫「いーや、ムダだよ。その才能が、どうして麻雀の方に向かなかったんだろうな、ほんと……」 京太郎「み、耳が痛い……」 京太郎「……でも、俺はムダだなんて思ってませんよ」 京太郎「これのおかげでこうして今も、先輩の役に立ててるわけですし」 菫「ま、またそうやってすぐ……」 京太郎「ほんとのことですよ」 菫「……っ///」プイッ ...スチャスチャ ――――――――――――――――――― 京太郎「……はい、できました」 菫「あ、あぁ……」 京太郎「どうですか?」 菫「ま、まぁまぁじゃないのか……? お前にしては」 京太郎「はは、最大限の褒め言葉として受け取っておきます」 京太郎「それじゃ、そろそろ帰りましょうか。照さんも待たせてることですし」 菫「ん……あぁ、そうだな」 菫「……」 京太郎「……どうしかしたんですか?」 菫「いや……」 菫(も、もっと……二人で話していたい、なんて) 菫「……っ」 菫(言えるわけない、よな……) 菫「なんでもないよ。帰ろう」 京太郎「はいっ」 ――――――――――――――――――― ガチャ 京太郎「ただいま戻りましたー」 菫「……」 淡「おっそーい!」バンッ 京太郎「いてえっ! てめえなにしやがる!」 淡「きょうたろーが遅いのが悪いんだよっ!」 淡「ほら見てよ! テルーがもう人の姿を保てなくなってるっ!」 照「……ぉか、し……」 京太郎「うわ、大丈夫っすか!? 照さん!」 京太郎「今お菓子あげますからねっ」ガゾゴソ 照「き、京……ちゃ……」 淡「早く、早く!」 京太郎「よ、よし……はいこれ!」グッ 照「もがもがっ……」 淡「テルー……生きかえってっ!」 照「……っ!!」ピキーン 照「……復活」 京太郎「よ、よかった……」 淡「やったー! テルー!」ダキッ 照「……あ、ありがと……京ちゃん」ボリボリ 京太郎「いや、いいってことですよ……遅れたのは俺が悪いんですし」 菫「……」ボー 淡「そういえば、きょうたろー。なんでスミレと一緒に帰ってきたのっ?」 菫「っ!」 京太郎「いや、買い出し行くときに偶然会ってな。それで一緒に」 淡「へえー、じゃあなんで遅れたのー?」ニヤニヤ 京太郎「は……?」 淡「買い出しにしてはみょーに長かったからさっ」 淡「なーんか二人でよろしくやってるのかなーっと」プクク 菫「ば、ばか! そんなのあるわけないだろ!」 京太郎「そ、そうだよ! 何言ってんだよお前!」 淡「ふーん、ならいいけどさーっ!」 京太郎「はぁ、ったく……」 京太郎「淡のやつなに考えてんすかねえ……?」クルッ 菫「……っ!///」プイッ 京太郎「……?」 ――――――――――――――――――― 照「……それじゃ、先に帰ってるから」 淡「まったねー!」ブンブン 尭深「……お疲れ様です」 京太郎「はい、また明日」 京太郎(てか、渋谷先輩いたのか) ワーワー 京太郎「先輩は仕事が残ってるんですよね?」 菫「ん……まぁな。だからお前も先に帰って……」 京太郎「俺も手伝いましょうか? もしできることがあるなら」 菫「なっ……いいよ! そんなの!」 京太郎「でも、先輩に全部まかせっきりで変えるのも忍びないですし」 京太郎「何かあるなら手伝わせてください」 菫「……っ」 菫「そ、それじゃ……頼めるか?」 京太郎「もちろんですよ!」ニコッ 菫「……っ」 菫「じ、じゃあそこの牌譜の整理を頼む」 京太郎「了解です!」 菫「あぁ」 京太郎「……」サッサッ 菫「……」 菫(またこいつと二人きりになってしまった……) 菫(いや、今回のは完全に私が仕向けたことだ。こんな雑用、今でなくても全然いいわけだし……) 菫(私は……こいつと一緒にいたいと思ってる。それはもう、ごまかしきれるものじゃない) 菫(私は好きなんだから……こいつのことが……) 菫「……っ///」 菫(……なんだろう……今この瞬間を逃したら、この気持ちは一生伝えられそうにない気がする) 菫(……でも、この気持ちを伝えて……私はどうしたいんだ?) 菫(須賀が私を好きだなんてことは、万に一つもあり得ない……) 菫(それに、こいつは昨日同じようなことを経験してるんじゃないか) 菫(せっかく気持ちの整理をつけようとしているのに、そこへ私がちゃちゃを入れたら、ますますこんがらがってしまうだけだ……) 菫(それでは、私がしたアドバイスもすべて無駄になる……) 京太郎「……」サッサッ 菫「……」 菫(だが、本当にそれでいいのか……?) 菫(本当に私はそれで、納得できるのか……?) 京太郎『先輩……疲れませんか?』 京太郎『はは、やっと素直になりましたね』ニコッ 菫(そうだな……私はいままで自分を律しすぎていたのかもしれない) 菫(完璧な理想を追い求めて、嘘をつき、偽り続けていたんだ) 菫(一番の親友である照にさえ、本音をさらしたことはあまりない) 菫(けど、こいつと話してみて思ったこと、それは……) 菫(もっと素直になってみたい、もっと本音を吐き出したい……! そういったことだった) 菫(たとえその結果、私が須賀のことを困らせるようなことになっても……) 菫「……っ」 菫(はぁ、結局人ってのは自己中な生き物なんだな……) 菫「……須賀、少しいいか?」 京太郎「はい、なんです?」 菫「……さっき教室で、私はお前に『好きなやつはいるか』と聞いたよな?」 京太郎「え、ええ」 菫「……あれの答えを、もう一度聞かせてほしい」 京太郎「……そ、それは」 菫「……っ、須賀……私は」 菫「……っ///」 菫(いけ……私っ) 菫「お前のことが、その……好きかもしれない」 京太郎「え……」 菫「……だ、だから……っ///」 菫「お、お前の方はどうなのか……それだけ聞かせてほしい」 菫(返答は……わかってる……) 菫(けど、それでも……お前の口からききたいんだ……) 菫(今ならわかる……照の妹さんの気持ちが) 京太郎「俺は……その、俺も……っ」 菫「っ!」 京太郎「先輩のこと……好きかもしれない、です」 菫「なっ……でも、お前好きな人はいないって!」 京太郎「その、さっきまではそうでした……いやそうだと思ってました、けど……」 京太郎「今日一日……短い間ですけど、先輩とたくさん話をして……思ったんです」 京太郎「俺は、この人のことが好きなんじゃないかって」 菫「な、なんだそれ……そんなの……」 京太郎「嘘の気持ちだっていうんですか……?」 菫「……っ」 京太郎「……でも違いますよ、少なくとも今は」スッ 菫「……ひっ!///」 菫(す、須賀の……手が……) 京太郎「もう一度言います……俺、先輩のことが好きです」 菫「……っ///」 菫(ほんと……卑怯だよ、お前は) 菫(そうやって言われたら、信じるしかなくなるじゃないか……) 菫「こ、こんな……こんな私でも……好きでいてくれるのか?」 菫「わ、私は……全然素直じゃないぞ? い、意地っ張りだぞ? 神経質だぞ? それでも……」 須賀「それでも、好きですよ。ていうか、そんな先輩だからこそ、好きでいられます」 菫「……っ///」 菫「お、お前……ほんと生意気だなっ」 京太郎「はは、すみません……」 菫「だけど……私も、そんなお前だからこそ、好きでいられるのかもしれない」 京太郎「……うれしいっすよ」 菫「……うん」 京太郎「あの……先輩」 菫「……なんだ?」 京太郎「これからは、先輩じゃなくって……菫さん、って呼んでもいいですか?」 菫「す、すすすスミレさん!?」 京太郎「ええ、なんというかその……弘世先輩だとなんか距離感あって」 菫「……っ、私は別にかまわないが……いいやかまうが!」 菫「というかそれは……照たちの前でもか?」 京太郎「? ええ、もちろんです」 菫「な、なんか恥ずかしいな……///」 京太郎「す、すぐなれますよ! ていうか俺だっていうの恥ずかしいですよ!」 菫「じ、じゃあ! わ、私も付き合ってやる……」 京太郎「えっ?」 菫「お、お前のこと……これからは京太郎って呼んでやる……っ///」 京太郎「……はい! お願いします!」 菫「う、うん……///」 京太郎「じゃあ、これからよろしくお願いしますね。菫さん」 菫「あ、あぁ……よろしくすg……き、京太郎っ///」 京太郎「えへへ……」 菫「……っ///」 京太郎「じ、じゃあ仕事終わらせちゃいましょうか!」 菫「あ、うん……」 京太郎「……よしっと」サッサッ 菫「あ、あの……! き、京太郎……」 京太郎「っ! な、なんですか?」 菫「えと……その、だな……」 菫「……っ///」 菫「と、隣……座ってもいいか……?///」 京太郎「えっ……」 京太郎「ええ! もちろんっすよ」ニコッ 菫「……う、うんっ」スタスタ 京太郎「ほら、ここどうぞ」 菫「ち、近すぎないか……!? これじゃ仕事に集中できんぞ……っ」 京太郎「せ、先輩が言い出したんじゃないですか!」 菫「それはそうだが……っ」 京太郎「ていうか、先輩やっと素直になったんすね。自分から『隣に座りたい』とか言い出すなんて」 菫「な……っ! だ、黙れっ! この、この!」 京太郎「い、痛いですって! 先輩!」 ワーワー 菫「……ふふ」ニコッ 菫(……京太郎となら、少しは自分に素直になって生きていけるかもしれない) カン ----------- 京太郎(くそっ……あいつを傷つけちまった) 京太郎(それだけじゃない……答えを言いよどんだせいで、あんなことまでさせて) 京太郎(最低だ……俺) 京太郎「……」 京太郎(どうする……このままでいいのか) 京太郎(よくない……けど、咲を追いかけたところで、余計にあいつを……) 京太郎(いや、ここであいつを追いかけなかったら、俺はきっと後悔する……!) 京太郎(あれこれ考えるのなんて、俺には似合わねえ……行動あるのみだ!) ダダッ 京太郎「待ってろ……咲!」 ――――――――――――――――――― ...トボトボ 咲「……っ、ぇ……」ポロポロ 咲(最低だよ……私) 咲(いくら振り向いてもらえないからって……あんな汚いマネするなんて) 咲(そりゃあ、京ちゃんにも好きになってもらえないわけだよ……っ) 咲(それに……最後の最後に交わしたのが、あんな私の独りよがりな言葉だなんて……) 咲(なんなんだろう……私。なにがしたいんだろう……) 咲(みっともないよ……ほんとに) 咲「……っ、ひっく……」 「おーい! 咲ーーーっ!」 咲「えっ……」 「はぁ、はぁ……やっと追いついたぜ……っ」 咲「き、京ちゃん……」 京太郎「あんまり遠くに行ってなくてよかったよ」 咲「な、なんできたの……」 京太郎「そ、そりゃお前……」 京太郎「あんな状態で、お前をほっとけるやつがいるかよ……」 咲「……っ、なにそれ」 京太郎「えっ」 咲「私をこんなにしたのは、京ちゃんでしょっ!」 咲「……っ、えっく……」ボロボロ 京太郎「ご、ごめん……咲」スッ 咲「触らないでよっ!」パシンッ 京太郎「……」 咲「……っ、ぅう……」 京太郎(くっ……どうすれば) 京太郎(俺には何もしてやれないのか……) 咲「……っ、帰ってよ」 京太郎「……」 京太郎(でも、ここで帰ったら、こうして咲を追いかけてきた意味がねえ……) 京太郎(なんとか……なんとか咲に話を……) 京太郎「咲……さっきはほんとに悪かった。お前の気持ちも考えず……」 咲「……」 京太郎「俺は……まだよくわからねえ、咲のことどう考えたらいいのか……」 京太郎「でも、今泣いてるお前を放っておけない……それだけは確かだ!」 咲「……っ」 京太郎「だから……ひとまず俺んちに戻ろうぜ。ここじゃ風邪ひくだろ」 咲「……」 ――――――――――――――――――― 京太郎「ただいま」 咲「……」 京太郎「咲、お前風呂入るか?」 咲「な、なに言いだすの急に……」 京太郎「いや、お前もいろいろあって心落ち着けたいだろうしさ」 京太郎「風呂でも入ればすっきりするかなって」 咲「……エッチなこととか、考えてないよね?」 京太郎「か、考えてねえよ!」 京太郎「俺は俺で、食事の後片付けでもしながら頭冷やしとくからよ」 咲「……わかった。入ってくる」 京太郎「ああ」 スタスタ...バタン 京太郎(俺もちゃんと、どうしたいのか考えねえと……) ――――――――――――――――――― ジャー 京太郎「……」フキフキ 京太郎(俺は、咲のこと……女として見てなかった) 京太郎(でも、さっきのこともあって……咲が本気で、その……俺のことが好きなんだってことが分かった) 京太郎(咲の中ではもうとっくに、俺は“ただの友達”じゃなくなってたんだ) 京太郎「……っ」 京太郎(じゃあ、俺の方は……どうだ?) 京太郎(今でもあいつを……ただの友達でしかないと言い切れるか?) 京太郎(俺はいったいどうしたいんだろう……?) 京太郎(……) 京太郎(俺は、あいつを悲しませたくない……あいつの泣いてる顔なんて見たくない) 京太郎(……それは、友達だからか? それとも、それ以上の気持ちがあるからか……?) 京太郎(わからねえ……俺には……) ――――――――――――――――――― バタン 咲「……あがったよ」 京太郎「あぁ、おかえり」 咲「……」 京太郎「まあ、ここに座れよ」 咲「……うん」ストン 京太郎「……」 咲「……」 京太郎「……あのさ、咲。俺、考えたんだ」 咲「……なにを?」 京太郎「俺はどうしたいのか」 咲「……京ちゃん」 京太郎「なんだ?」 咲「京ちゃんはやさしいから……たぶん、私のことを傷つけたくないって思ってると思う」 咲「でも、傷つけたくないからって理由で好きになってほしいなんて、私は思わない……思えないよ」 京太郎「咲……」 咲「私も考えた……自分がどうしたいのか」 咲「私はもう、京ちゃんのこと忘れたい……」 京太郎「なっ……」 咲「だって、京ちゃんのこと考えるの……苦しいから……っ」 咲「好きになってもらえないんなら……一緒にいるだけで……それだけで辛いから……っ」 京太郎「……っ」 咲「私はたぶんすっごく意地が悪くて、ワガママなんだと思う……」 咲「普通なら、好きな人と一緒にいられるだけで幸せだと思うはずなのに……私にはそれができない……っ」 咲「私は独占したいんだよ、京ちゃんを! 京ちゃんを私一人だけのものにしたい! 他の子と一緒にいるのなんて嫌なの!」 京太郎「咲……」 咲「……でもそれはできないってわかった……もうわかったんだ」 咲「だから、これ以上私が“嫌な奴”になる前に……っ」 咲「……っ、京ちゃんのこと……もう忘れさせて」 京太郎「……っ」ガタン 咲「えっ……」 ダキッ 咲「ひぅ……き、京ちゃん……?」 京太郎「俺は……っ! 俺は咲のこと、忘れたくなんかねえよ!」 咲「……っ」 京太郎「俺の……俺の方こそワガママだ……っ」 京太郎「咲のことを傷つけたくないといいつつ、答えをはぐらかして、傷つけて……」 京太郎「俺……咲のこと好きなのかそうじゃないのか……それだけを考えてた」 京太郎「でも思ったんだ……答えはそれだけなのかって」 京太郎「俺の中で不変なのは……お前と一緒にいたいっていうこの気持ちだ」 京太郎「それが世間でどういう言われ方をしているのかわからない……」 京太郎「もしかしたら、それも単なる“友達としての好き”の範疇なのかもしれない」 京太郎「だけど、俺が自信を持って言えるのってそれだけなんだ」 京太郎「俺はお前といたい……ずっと一緒に」 京太郎「……咲の方は、どうだ?」 咲「……っ」 咲「わ、私だって……っ」 ギュッ 咲「私だって、京ちゃんとずっと一緒にいたいよっ!!」 京太郎「そっか……ありがとう」 咲「ぅ……ひっく……」 京太郎「ごめん、こんな卑怯な言い方しかできなくて……」 咲「いい……いいの……っ」 咲「私には……私にはそれだけで、すごい宝物だよ……?」 京太郎「……ありがとう」ギュ 咲「……っ」 京太郎「いつか、ちゃんとお前に『好きだ』って、自信を持って言いたい」 京太郎「それまで、一緒にいてほしい……頼めるか?」 咲「うん……」ゴシゴシ 咲「よ、喜んで……っ!」ニコッ カン
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762 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 22 06 00.93 ID p86R64tMo [8/24] 京太郎「蒲原さんで」 智美「わ、ワハ!? 私か!?」びくっ ゆみ「へ、変なことするつもりじゃないだろうな?」 京太郎「大丈夫ですよ。俺がああなるのはあのメス豚だけです」 桃子「んほぉぉぉっ! ごれらめいぐっずぅぅぅぅ!」 京太郎「大分いい具合に仕上がって来たな。完成までもう少し」 智美「笑えないぞー」 佳織「智美ちゃんが調教されちゃう……? わくわく」 智美「えっ」 佳織「死なないでください」 智美「えっ」 京太郎「それじゃあ押しますね」 智美「あ、うん」 京太郎「いけぇぇぇ!! ポチっとなぁぁぁ!!」 01他人 02知り合い 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14弟子 15師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31旧友 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40ジュリエット 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50ティッシュ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54中二病 55変態 56ナルシスト 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64誘拐犯 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80おにぎり 81初恋の人 82トイレットペーパー 83アラフォー 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 ブーンキキーッ 777 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 22 16 51.32 ID p86R64tMo [9/24] 15 師匠 ぼふんっ 京太郎「……何か変わりました?」 智美「うーん、特に変わらない気がするなー」 ゆみ「やはり壊れているのか?」 佳織「残念だね」 睦月「京太郎、もうやめるか?」 京太郎「一応最後までやります。部長に何を言われるか分からないので」 智美「須賀君、終わったら今日も特訓して行くかー?」 京太郎「そうですね。是非ともお願いしたいです」 ゆみ「特訓?」 京太郎「はい。実は俺、蒲原さんに弟子入りしてるんですよ」 佳織「そうなんだ」 智美「須賀君はセンスあるぞー」 京太郎「いえいえ、俺なんてまだまだですよ」 ゆみ「それで、なんの弟子なんだ?」 京太郎「それはもうアレっすよ……アレ」 智美「アレだぞー」 ゆみ「なんだアレか」 佳織「ああ、アレなんですね」 京太郎「師匠は本当に教え上手ですよ」 智美「ワハハ、なんだか照れるなー」 京太郎「それにいつも蒲原さんと二人きりで特訓できて、嬉しいです」 智美「ワハッ?!」 京太郎「蒲原さんは可愛いですし、ドキドキしちゃいますよ」あはは 智美「わ、ワハハ……そっかー、可愛い。うん、嬉しいよ」 京太郎「?」 桃子「さんぎゃいめ、いぎゅぅっすぅぅぅ!?」ガクガク 智美「それじゃあ次はユミちんか佳織だなー」 佳織「わ、私ですか?!」 ゆみ「どちらからにする?」 京太郎「そうですねぇ」 ↓2 どっちだい? 786 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 22 22 50.06 ID p86R64tMo [10/24] 京太郎「次は妹尾さんで」 佳織「わ、私っ!?」 京太郎「同じ金髪ナカーマですし」 佳織「四番目って微妙だよね」じぃー ゆみ「いいじゃないか。最後の方がなんだか、むず痒い」 智美「佳織なら大丈夫ー」 佳織「智美ちゃんがそう言うなら」 睦月「京太郎、ちゃんとやるんだぞ」 京太郎「勿論です!」 さてさて、どうなるかな 今度こそいいのが来てくれるといいけど 佳織「よ、よろしくね」 京太郎「よし、行くぞぉぉぉ! ポチっとなぁ!」 01他人 02知り合い 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14弟子 15師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31旧友 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40ジュリエット 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50ティッシュ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54中二病 55変態 56ナルシスト 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64誘拐犯 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80おにぎり 81初恋の人 82トイレットペーパー 83アラフォー 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 かおりんなら何が来ても天使 はっきり分かんだね 804 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 22 29 46.96 ID p86R64tMo [11/24] 03 顔見知り 京太郎「……?」 佳織「何も起こらないね」 ゆみ「やっぱり壊れてるじゃないか」 智美「もうダメだなー」 佳織「なんだか、ごめんなさい」 京太郎「いえ、妹尾さんは悪くないですよ!」 佳織「で、でも!」 京太郎「この機械が無くても、これから仲良くなりましょうよ。ね?」 佳織「……うん!」 そうだよな こんな機械で人の気持ちがそう簡単に変わってたまるかよ 桃子「きょうたろうしゃまぁ、きょうたろぉ……んへへぇぇっす」 京太郎「アレは特に無いな」 睦月「連絡先くらい交換しておけば?」 佳織「い、いいかな?」 京太郎「もちろん! これから始めていきましょうね」 佳織「……ふふっ」ギュッ ゆみ「これで残るは私だけか」 京太郎「準備はいいですか?」 ゆみ「ちょ、ちょっと待ってくれ! 心の準備がだな」スーハーッ 810 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 22 34 02.83 ID p86R64tMo [12/24] ゆみ「(何も変わっていない筈なのに、なぜだ? なぜ違和感をこうも」 京太郎「(確かになんかおかしい気がする)」 そもそも俺は蒲原さんのなんの弟子なんだっけ? 睦月お嬢様も、なんだかしっくりこないし……メス豚に至っては意味不明だ 京太郎「(もしかして、もう効果が出てる?)」 ゆみ「よ、よし! いいぞ」 智美「ユミちんの乱れる姿が見たいなー」 ゆみ「か、蒲原!」 佳織「ワクワクします」 睦月「どうなるか……」 京太郎「それじゃあ押します。行くぞぉぉぉ!」 これで確かめる! この機械が本当に使えるのかどうか!! 京太郎「ポチッとなぁぁぁぁ!!」 01他人 02知り合い 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14弟子 15師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31旧友 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40ジュリエット 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50ティッシュ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54中二病 55変態 56ナルシスト 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64誘拐犯 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80おにぎり 81初恋の人 82トイレットペーパー 83アラフォー 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 ユミちん! 今こそオチを着ける時!! 836 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 22 41 29.11 ID p86R64tMo [13/24] 68 腐女子 ぼふんっ 京太郎「……?」 ゆみ「……」 京太郎「加治木さん?」 ゆみ「なんだ?」 京太郎「あれぇ? やっぱダメだったのか」 智美「残念だったな須賀君」 京太郎「いえ、問題無いですよ」 ゆみ「くだらないな。久には私の方からよく言っておこう」 京太郎「あはは、残念です」 結局何も収穫が無かったな 睦月お嬢様に会えたからよしとするか ゆみ「それより……あー、須賀君。君に聞きたいことがあるんだが」 京太郎「はい? なんですか?」 ゆみ「えーっと、君はその――龍門渕の執事と、親しいとか?」 京太郎「ハギヨシさんですか? はい、たまにネトマ打ったり、料理を教わったり」 ゆみ「料理を!? なんだって!? それは本当か!?」ぐいっ 京太郎「え!? えと、本当です」 ゆみ「二人きりで!?」 京太郎「は、はい。一応は……」 ゆみ「ほぉぅ……執事が二人、料理を教えあうか」ペロリ 京太郎「舌なめずり?」 智美「あー、ユミちんの悪い癖が出たぞー」 佳織「あわわわっ!?」 ゆみ「くふっ。そうだ、君に着けて欲しいものがあるんだ」 京太郎「なんですか? 機械で協力して貰いましたし、なんでも言ってください」 ゆみ「ん? 今なんでもするって言ったな?」 京太郎「え?」 ゆみ「では、まずはこれを着けてもらおう」 スッ 京太郎「これは!?」 猫耳「」に ょ ん た か ゆみ「猫耳だ」 京太郎「」 ゆみ「そしてこれは!!」 ス ク ー ル 水 着 (旧) ゆみ「君の為に特別に用意したんだ……ハァハァ」 京太郎「」 844 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 22 50 12.66 ID p86R64tMo [14/24] 京太郎「あの? 俺は男ですよ?」 ゆみ「馬鹿なことを言うな。男だからいいんだ」 京太郎「ワッツ!?」 智美「ゆ、ユミちん! モウヤメルンダッ!」 佳織「わぁ……これを男の人が着るんだぁ」 睦月「ちょっと待ってください! 人の執事を勝手に!」 ゆみ「一日くらい貸してくれ津山!! 後生だ!!」 睦月「そ、そんな!」 京太郎「こんなの着れません!」 ゆみ「大丈夫! ちょっと写真に撮るだけ! ほんのちょっとなんだ!」 パシャッ 京太郎「既に撮ってるじゃないですか!」 ゆみ「これは冬コミ用の資料だ! 次はこっちのアングルを!」パシャッ 京太郎「ひぇっ!?」 ゆみ「いいぞ! そうだ! その怯えた表情……君はやはりネコだ! ネコの素質がある!」 京太郎「た、助けてぇ……!」 ゆみ「二人のお嬢様を持つ執事はフラストレーションを常に貯めていた」 睦月「!?」 ゆみ「しかしとある日、別のお嬢様の執事と出会い……恋におちる」 智美「!?」 ゆみ「だが執事――しかも男同士の恋愛など認められるわけもなく、その性欲のはけ口は適当な牝奴隷に」 桃子「じゅっがいめいぐっぅぅぅぅずぅぅぅぅ!!」 ゆみ「けれど女のユルマンで我慢出来なくなった君は、鍛え上げられた執事のケツ穴を求める! そうだろう!」 京太郎「違います!!」 ゆみ「でもいざ本番になると攻めるどころか、逆に挿入されて悶える! 君は誘い受けなんだ!!」 京太郎「やめてぇぇぇぇぇ!!!」 ゆみ「そのリビドーを開放しろ!! 君は自由だ!! さぁ、濃厚な執事の絡み合いを!! ハァハァ!」 睦月「やめてくださいっ!」 バキッ ゆみ「おぶぇっ!?」ずしゃっ 854 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 23 00 02.70 ID p86R64tMo [15/24] ゆみ「」 睦月「ぜぇっはぁっ……はっ!? つい手を!?」 智美「いや……よくやったぞむっきー」 佳織「」ぶるぶる 桃子「あへぇ」 京太郎「うぅっ……腐女子こえぇよぉ」しくしく 睦月「京太郎、今日はもう帰った方がいい」 京太郎「はい……」 智美「なんか、ごめんなー」 京太郎「こちらこそ、部長のわがままですみません」 佳織「ま、また連絡するね」 京太郎「はい。楽しみにしています」 桃子「きょうたろぉしゃまぁ……」ダキッ 京太郎「しょうがねぇな。ほら、帰りにホテル行くぞ」 桃子「うわーい! やったっす!!」 佳織「うわぁ……大人だなぁ」 智美「爛れた関係だぞー」 睦月「むっ……」 京太郎「それじゃあ、また来ます」 智美「車には気をつけてなー」 京太郎「はい!」 桃子「えへへっ、京太郎様っ!」だきっ 京太郎「くっつくな。お前とは別に付き合ってるわけでもなんでもねぇんだ」 桃子「それでもいいっす! 今日はこれからいっぱい……私のこと、虐めてっす」ハァハァ 京太郎「いいぜ、覚悟しろよ牝豚ァ……」もみもみ 桃子「くひぃっ♪」 その後 滅茶苦茶セックスした 桃子「ふふっ……お腹の中、たぷたぷっすよ」うっとり 京太郎「喜んでないで口で綺麗にしろよ」 桃子「了解っす!! あむっ、ずずぅるるっ」 京太郎「(……あれ? 俺って童貞じゃなんだっけか)」 描写? 知らんな 【鶴賀編 しゅーりょー】 津山睦月 お嬢様 東横桃子 牝奴隷 蒲原智美 師匠 妹尾佳織 顔見知り 加治木ゆみ 腐女子 878 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 23 12 25.78 ID p86R64tMo [17/24] 【番外編 プロからの刺客 カツドーン VS 久保コーチ】 久「なに? 効果が無かった?」 京太郎「はい。そうです」 久「効果が無いって……ゆみは腐女子に、東横さんは牝奴隷になったんでしょう?」 京太郎「それは元からじゃないですか」 久「あら? この世界の須賀君は意志力弱いのね」 京太郎「?」 久「まぁいいわ。そこまで言うなら次は大人で試してみましょ」 京太郎「大人ですか?」 久「近くの喫茶店に靖子が来てるらしいのよ。電話しておくから、ぱぱっとやってきて」 京太郎「藤田プロですか? なんだか怖いなぁ」 久「つべこべ言わずに行きなさい。ほら!」パンパン 京太郎「はーい! 行ってきます!」 <きっさてん> 京太郎「ということで来ました!」 靖子「君が須賀君か。久から話は聞いてるよ」 京太郎「それはどうも。あの、早速一ついいですか?」 靖子「なんだ?」 京太郎「こちらの方は……?」 貴子「……」ゴゴゴゴッ 京太郎「(こわっ!?)」 靖子「風越のOBでコーチをしている、久保貴子。今日は打ち合わせがあって、一緒だったんだ」 京太郎「へぇー……よろしくお願いします」 貴子「ああ、よろしく」ゴゴゴゴ 京太郎「(いちいち怖ぇぇぇ!?)」ビクビク 883 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 23 18 07.74 ID p86R64tMo [18/24] 京太郎「というわけで、この機械の効力を試したいそうです」 靖子「こんなものがねぇ……カツ丼食ってからでもいいか?」 京太郎「は、はい」 人と話してるのにカツ丼食べてるよこの人 流石、プロは違うなぁ 京太郎「さて、どうしますか」 貴子「……」ジィー うわぁ、すっげぇ見られてる どうしよ、怖いんだけど 靖子「ごちそうさま。さぁ、どっちからやる?」 京太郎「どっち?」 靖子「二人いるんだ、当然だろう?」 貴子「藤田さん!? 私もですか!?」 靖子「当たり前だ。ここは奢るから、いいだろ?」 貴子「でも、私は!」 京太郎「む、無理にお願いするのは」あせっ 靖子「いいからいいから。君は早く選んでくれ」 選べと言われても……どっちにすればいいんだ? 京太郎「(適当に選ぼうっと)」 ↓2 どっちがよい? 892 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 23 21 55.33 ID p86R64tMo [19/24] 京太郎「じゃあ……久保さんで」 貴子「あぁ?」 京太郎「ひぃっ!?」 貴子「あ、いや。そう驚くな、ただの確認だ」 京太郎「は、はいっ」ビクビク 靖子「面白そうだ。早くやってくれ」 京太郎「い、いいですか?」 貴子「なんでもいいから早く頼む。打ち合わせに戻りたい」 京太郎「では遠慮なく」 大人の女性に使うのは初めてだからなぁ 何も無ければいいけど…… 01他人 02知り合い 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14弟子 15師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31旧友 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40ジュリエット 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50ティッシュ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54中二病 55変態 56ナルシスト 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64誘拐犯 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80おにぎり 81初恋の人 82トイレットペーパー 83アラフォー 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 くぼこーちのぱんすとやぶきたい 903 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 23 30 10.68 ID p86R64tMo [20/24] 19 記者 ぼふんっ 京太郎「……?」 貴子「……」 靖子「変化無しか?」 京太郎「やっぱり壊れ……」 貴子「おい」 京太郎「はい!?」 貴子「……君は麻雀部だったな?」 京太郎「そうですけど?」 貴子「清澄の……それに、時に一位で和了ることもあると聞いた」 京太郎「少ないですけどね。最近ようやく飛ばされなくなってきて」 貴子「なるほどな。あの清澄レギュラーの中で揉まれた男子か」うんうん 靖子「?」 貴子「おい、須賀。お前を取材させろ」 京太郎「ファッ!?」 靖子「いきなりどうしたんだ?」 貴子「知り合いのライターに、今度男子雀士の特集を組まないかと持ちかけられてまして」 靖子「ほうほうそれで?」 貴子「いい題材がいなくて困ってたんですが……見つけた」 京太郎「お、俺ですか!?」 貴子「一見、ちょっと顔がいいだけの図体デカイ金髪高校生にしか見えないが……どうだ? 隠してるんだろ?」 京太郎「そんなことないです! 俺は弱いですってば!」 貴子「隠すな須賀ァ!! 取材させろぉ!」 京太郎「ひぃぃぃ!? 藤田プロ助けてぇ!?」 靖子「カツ丼食べ終わるまで待て」 京太郎「さっき食ってたでしょぉぉぉ!」 靖子「おかわり」 京太郎「なにこの人ぉぉ!?」 貴子「身長、体重、年齢! 何かトレーニングはやってんのか!? すごくガッチリしてるな須賀ァ!!」 京太郎「週に三日か四日くらいですぅぅぅ!」 909 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 23 35 02.56 ID p86R64tMo [21/24] 靖子「まぁ落ち着こう。取り敢えず須賀君、次は私の番だ」 京太郎「そ、そうですよ! 久保さん落ち着いて!」 貴子「……チッ」 怖かった なんなんだこの人、豹変するとさらに怖いぞ 靖子「どんと来い。面白いものが見られるのを楽しみにしてるよ」 貴子「その後はインタビューだ須賀ァァァ!」 京太郎「ひぃぃっ!?」 さっさと終わらせて逃げよう! 藤田プロ! なんとかしてください! 京太郎「えいやぁぁ! ポチっとなぁぁぁ!」 01他人 02知り合い 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14弟子 15師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31旧友 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40ジュリエット 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50ティッシュ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54中二病 55変態 56ナルシスト 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64誘拐犯 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80おにぎり 81初恋の人 82トイレットペーパー 83アラフォー 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 そういや捲りの女王とかいう設定ありましたね 923 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/28(金) 23 46 14.32 ID p86R64tMo [22/24] 51 抱き枕 ぼふんっ 京太郎「……?」 靖子「何も変わらないようだ」スッ 京太郎「そうですね」ダキッ ギュゥゥゥ 貴子「抱き枕を抱いたままでいいから質問に答えろ須賀ァ!」 京太郎「そんなこと言われても、どうしよう」 靖子「答えればいいじゃないか」もぐもぐ 京太郎「抱きついてる時に食べないでください」さわさわ 靖子「くすぐったくてな」 京太郎「でも、藤田プロの匂いなんか好きだなぁ」 靖子「そうか? タバコ臭くないか?」 京太郎「それもまた、藤田プロの匂いですから」もふもふ 靖子「ふふっ、可愛い奴め」なでなでぇ 貴子「見せつけてくれるな。ほら、始めるぞ」 京太郎「あ、はい。じゃあこのまま」ぎゅぅぅぅ 靖子「んっ……」 貴子「じゃあ、まずは――」 こうして、俺は久保さんのインタビューに答えることになった 当たり障りのない質問ばかりだったけど、答え終わると久保さんは満足そうにしていた 貴子「よし、協力助かったぞ須賀」 京太郎「いえ、これくらい大丈夫っす」 靖子「もう終わり?」 京太郎「じゃあ名残惜しいですけど帰ります」 靖子「持ち帰ってもいいのに」くすくす 京太郎「流石にまずいですよ。でも、また今度抱きに来ますね」 靖子「ああ、いつでも来い」 藤田プロは意外と柔らかい あの感触はやみつきになっちゃうよ、やばいやばい 京太郎「ではまた」 靖子「久によろしく」 京太郎「はいっ!」 【カツドーン VS 久保コーチ しゅーりょー】 久保貴子 記者 藤田靖子 抱き枕 靖子「(あの機械の存在……小鍛冶さんにも教えておこうか)」 貴子「タイトルはどうするか、清澄に埋もれた天才――いや、もっといいタイトルが」ブツブツ 20 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 00 53 35.67 ID Npfmi29ho [5/15] 【岩手 宮守】 拝啓、皆さん わたくし須賀京太郎は今―― 久「さぁ、着いたわよ!」 京太郎「……あの、部長」 久「なぁに?」 京太郎「どうしてわざわざ岩手まで来たんですか?」 岩手まで来ています 久「そんなの決まってるじゃない。この機械を試すのよ」 京太郎「ええええ!?」 久「なによ?」 京太郎「まだやるんですか?」 久「当然でしょ。さ、行きましょ」 京太郎「そんなぁ」 もうアレは懲り懲りだっていうのに 部長は勝手だなぁ 京太郎「岩手ってことは宮守ですか?」 久「そうよ。みんな快諾してくれたわ」 京太郎「姉帯さん辺りが喜びそうですね」 久「ぴょんぴょん跳ねていたわよ」 京太郎「やっぱり」 可愛いんだよなーあの人 大きいのに仕草が女の子らしいっていうか、なんていうか 京太郎「うえへへ」 久「やる気ばっちりね」 23 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 00 58 28.47 ID Npfmi29ho [6/15] 京太郎「それしても岩手の田舎は見晴らしいいですねー」 久「そうね。長野も負けてないけど、岩手はさらに凄いわ」 というか車とか全然通らないんだけど大丈夫なんだろうか 久「うーん、そろそろ来る頃だと思うんだけど」 京太郎「迎えですか?」 久「ええ。ここで待ち合わせしてるの」 京太郎「へぇ……」 一体誰が来るんだろう? 姉帯さんかな? それとも―― ?「……あっ!」 久「あら、来たみたいね」 京太郎「あ、あなたは!」 この人は、まさか!? ↓2 みやもりうぉっち 30 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 01 04 39.85 ID Npfmi29ho [7/15] 胡桃「遅れてごめんなさい!」 京太郎「鹿倉さん!」 胡桃「シロが中々起きなくて……待ちました?」 久「いいえ、着いたばかりだから安心して」 胡桃「……ほっ」 相変わらず小さいなー でも可愛い 京太郎「……」にこにこ 胡桃「?」 久「あ、そうだ須賀君。早速だけどアレを試すわよ」 京太郎「え? もうですか!?」 胡桃「??」 会って数分も経ってないのに、いくらなんでも急すぎぃ! 京太郎「やるんですか?」 久「やるのよ」 胡桃「あの、なんの話を?」 部長に言われた以上、やるしかない すみません鹿倉さん! 京太郎「お覚悟を!!」 鹿倉「うぇっ!?」 京太郎「うぉぉぉお! ポチッとなぁぁぁ!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 宮守の伝説は始まるのか否か 43 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 01 12 04.68 ID Npfmi29ho [8/15] 88 女王様 ぼふんっ 京太郎「!?」 久「これは!?」 胡桃「……」ギロリ 京太郎「あっ、か、鹿倉さん?」 胡桃「鹿倉さん? 違うっ!」パシィンッ 京太郎「いたっ! すみません、胡桃様!!」 がばっ 胡桃「分からない犬ね、女王様と呼ぶ!!」げしっ 京太郎「あぁぁっ! 女王様ぁぁ!」 久「」 胡桃「踏まれて感じるなんて、情けない」 京太郎「もっと踏んでください、はぁっ、はぁっ」 胡桃「気持ち悪い」 京太郎「うっ! ふぅ……っ」 胡桃「下僕の分際で勝手にイかない!」がんっ 京太郎「はぁっんっ!?」ぞくぞく 久「写真撮っておきましょ」パシャパシャ 胡桃「そこのベンチに座って」 京太郎「は、はいっ!」 胡桃「誰が人の言葉を使っていいって言ったの!」バシンッ 京太郎「わぅっ! きゃいんきゃいんっ!!」 胡桃「いい子、いい子そのまま。そのまま……」ストン 充 電 胡桃「んっ……中々の、椅子」 京太郎「ふぉぉっ!!」ぎんぎん 胡桃「きゃっ!? ~~っ! 勝手に勃たせない!!」ばきっ 京太郎「わぅぅぅぅう!!」 久「何これぇ」 46 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 01 19 18.26 ID Npfmi29ho [9/15] 久「で、結局こうなったわけ?」 京太郎「わうぅん」 胡桃「この駄犬の面倒は私が見ます」 久「だからって首輪しなくても」 京太郎「ぐるるるうっ」 胡桃「バカ!」バキッ 京太郎「きゃいぃーんっ!」 久「……頼むから普通にやってくれない。いたたまれないわ」 胡桃「そうですか、なら」 京太郎「ハァハァ……女王様」 久「須賀君! シャキっとしなさい!」 京太郎「ハッ!?」 久「少しは理性を保ってくれないと困るわ」 京太郎「す、すみません……」 胡桃「ではこちらへ。学校へ案内します」 久「ありがとう。ほら、行くわよ」 京太郎「わうっ! じゃなくて、はいっ!」 すたすた ?「……あっ」 胡桃「あ、迎えに来てくれたんだ」 京太郎「アナタは?」 ↓2 ちょーかわいい人だよー 53 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 01 26 10.49 ID Npfmi29ho [10/15] 豊音「迎えにきたよー!」 京太郎「姉帯さん!」 豊音「竹井さんに須賀君だねー。ようこそ岩手へー」にこにこ 胡桃「トヨネ、みんなは?」 豊音「学校で待ってるよー」 豊音さんやっぱり可愛いな 胸も小さいようで加筆修正されて大きくなってるように思えるし 京太郎「ちょーかわいいよー」 豊音「えっ?」 京太郎「あ、いや! なんでもないです!」 胡桃「……」ピシィンッ! 京太郎「むちぃぃぃ!?」 豊音「わわっ!? 大丈夫!?」 久「須賀君、悶えてる場合じゃないわよ」 京太郎「いだぁぁ! って、え?」 久「やるのよ! 次こそ、アナタの下僕を増やす時!」 京太郎「そんなこと言われても」 下僕とかなんだとか、そんなの有り得るわけないし まぁ、押すだけなら一瞬だしな 京太郎「姉帯さん!!」 豊音「ん? 何かなー? 」 京太郎「これを、食らってください!!!」 豊音「その機械……?」 京太郎「いけぇぇぇ! ポチっとなぁぁぁ!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 今までに出てない奴だと嬉しいなぁ 70 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 01 33 23.00 ID Npfmi29ho [11/15] 84 傭兵 ぼふんっ 豊音「そのスイッチがどうかしたの?」 京太郎「あ、いえ! なんでもないです」 豊音「ふーん? 脈拍が上がって汗の分泌が増したから嘘だと思うけど、気にしないよー」 京太郎「ファッ?!」 豊音「冗談だよー」にこにこ 京太郎「そ、そうですよね」 久「ところで姉帯さん」 豊音「何かなー?」 久「例の件、100万でどうかしら?」 豊音「……おーけーだよー」にやり 久「ふふふっ、スイスの口座に入金しておくわ」 豊音「後で確認しておくねー」グッ 京太郎「あの、部長? 一体なんの話ですか?」 胡桃「百万? スイス?」 豊音「世の中金だよー。でも、金で信頼を売る奴はクズだねー」 久「傭兵の鑑ね。それじゃあ、須賀君の護衛頼んだわ」 豊音「任せて。へのつっぱりはいらないんだよー」 京太郎「言葉の意味はよく分からないがとにかく凄い自信だ!」 久「(須賀君が変な判定を出して殺されないように、保険をかけとかないとね)」 傭兵・豊音を手に入れた! てーれってれー 二週目だけに限り、豊音さんが命を守ってくれるぞ! 75 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 01 39 13.49 ID Npfmi29ho [12/15] 豊音「そろそろ着くよー」 胡桃「思ったより時間がかかった」 豊音「待ちくたびれて誰か来ちゃいそうだねー」 久「時間も遅いし、そろそろ最後の判定だわ」 京太郎「遅い? あの、まだお昼ですけど」 久「いいから、次来る子を予想しなさい」 京太郎「えぇ?」 一体部長は何を言ってるんだ? でも言うこと聞かないと後が怖いし 久「決まった? 今日のラストよ?」 京太郎「そうですね、どうせなら……」 前に一度話したことがあるあの人がいいな 京太郎「きっとあの人です」 ?「??」 京太郎「ほら、やっぱり!!」 ↓2 ガチで本日最後のお方です 86 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 01 46 01.10 ID Npfmi29ho [13/15] 塞「何してんの?」 京太郎「塞さん!」 塞「京太郎君! 久しぶりだね!」 久「あら、既に顔見知り?」 京太郎「はい。以前にちょっとだけ」 それにしても塞さんなら話しやすいな 他の人はあまり話したことないし、女王様は怖いし 胡桃「……」ジトォー 京太郎「わぅっ」 豊音「ダメだよー。私がちゃんと守ってるよー」 胡桃「むっ」 塞「なんだかややこしくなってない?」 久「感が鋭いわね。でも、じきにあなたもこうなるのよ」 塞「!?」 京太郎「部長!? またですかぁぁ!?」 久「いいからとっととやる!! ほら!」 京太郎「わぁぁ!? 勝手に押させないでください!」 塞「へ?」 京太郎「塞さんごめんなさい!」 豊音「!?」 京太郎「うぉぉぉ! ポチっとなぁぁあっ!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 有終の美を飾れるか 100 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 01 54 01.94 ID Npfmi29ho [14/15] 80 クーデレ ぼふんっ 塞「……」 京太郎「あの、塞さん?」 塞「何?」 京太郎「えっと、その」 塞「……」 京太郎「なんでもないです」 塞「そう」 な、なんだ? 急に塞さんと話しづらくなったような 久「クーデレね」 豊音「くーでれ?」 胡桃「?」 塞「あの」 京太郎「は、はい?」 塞「……もっと」 京太郎「もっと?」 塞「もっと、色々話して。須賀君と話すの、嫌じゃないから」 京太郎「は、はい! 俺も楽しいですよ」ニッ 塞「……そう。よかった」プイッ なんだろう、この胸にきゅんきゅんくる感じ 可愛いよ、塞さんかわいいよ!! 京太郎「塞さんかわいい!」 塞「……ありがと」モジモジ 久「これまた貴重なデータね」かりかり 胡桃「……」いらいら 豊音「どうどう、落ち着いてねー」がしっ 塞「須賀君」 京太郎「なんですか?」 塞「……すき」 京太郎「俺も塞さんのこと好きですよ!」 塞「……」コクッ 宮守編 前半戦 しゅーりょー 鹿倉胡桃 女王様 姉帯豊音 傭兵 臼沢塞 クーデレ 150 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 23 19 41.68 ID BpfJXkeio [1/7] <ぜんかい まで> 睦月「うむ、ご苦労」 お嬢様 智美「ワハハ、修行が足りないぞー」 師匠 桃子「ハァハァハァハァハァハァ」 牝奴隷 佳織「よ、よろしくね」 顔見知り ゆみ「ハギ京キタァァァ!!」 腐女子 殿堂入りならずの鶴賀編 貴子「取材させろ須賀ァァァ!」 記者 靖子「もっと強くしてもいいぞ」 抱き枕 大人の参戦も殿堂入りには及ばない そして次の舞台は―― 胡桃「女王様と呼ぶ!」 女王様 豊音「契約を交した以上は役目を果たすよー」 傭兵 塞「京太郎君と話すの、嫌いじゃない」 クーデレ 開幕からカオスごった煮の宮守 シロとエイスリンの運命やいかに!? あ、トシさんは……どうしましょ? 宮守編 後半戦 すたーとぉ 154 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 23 26 02.51 ID BpfJXkeio [2/7] <みやもり ぶしつ> 豊音「ということで到着だよー!!」 塞「うん」 胡桃「豚ァ! 四つん這いになって!」 京太郎「ひゃいっ! 女王様!」 胡桃「うん。豚にしてはなかなかの座り心地」ぼふっ 京太郎「ぶひぃぃぃっ! ありがたきお言葉!」 久「何やってんのよ須賀君。当初の目的は忘れないで」 豊音「須賀君は面白いね。それじゃあ他の二人も――」 塞「二人、いない」 胡桃「あれ? シロもエイちゃんも二人共いないの?」 豊音「飲み物でも買いに行ってるのかなー?」 宮守の小瀬川さんとエイスリンさん 二人共めちゃんこ可愛いんだよなぁ 久「いじりがいがあるわね」にやり 京太郎「またこの部長は……」 久「いいじゃない。さて、どっちが先に戻ってくるのかしら?」 京太郎「さぁ、どちらでしょう?」 ?「……」ガラッ 豊音「あっ! 戻ってきたよー!」 京太郎「あ、アナタは?!」 ?「?」 ↓2 イッタイ! ダレ!? 161 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 23 33 10.56 ID BpfJXkeio [3/7] 白望「ダル……ってか誰?」 京太郎「小瀬川さん!」 白望「? 知り合いだっけ?」 豊音「清澄の須賀京太郎君だよー!」 白望「知らない」 塞「……友達」 白望「うん? 塞の……?」 胡桃「私の飼ってるブタ」 白望「あ、胡桃のブタか」 京太郎「それで納得するんかい!」 久「独特の空気ねー」 白望「あぁー……ダル」 京太郎「疲れてるんですか?」 豊音「いつもこんな感じだよー」 胡桃「しっかりする!」 白望「ヤダ」 大分フリーダムな人なんだな よし、この人がどんな風に変わるのかを見てみよう 京太郎「じゃあ早速試します」 白望「??」 久「いいわ! ファイナルフュージョン! 承認!」 塞「プログラムドライブ」 京太郎「よっしゃぁぁあ! 派手に行くぜぇぇぇ!」 白望「何これ」 京太郎「ゴルディォォォン!! ポチッとなぁぁぁぁ!!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 がががっがががっ 181 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 23 39 53.46 ID BpfJXkeio [4/7] 22 ストーカー ぼふんっ 白望「……」 京太郎「あれ?」 白望「あっ……//」カァッ 豊音「どうかしたの?」 白望「……」たったったっ 胡桃「シロが走った!?」 塞「異常事態」 久「何かあったのかしら?」 白望「……」じぃー 京太郎「あの、壁の端から覗いてどうしたんですか?」 白望「ぅっ……」もじもじ 胡桃「様子が変」 豊音「照れてるのかなー?」 白望「……」すっ 久「携帯取り出したわよ」 白望「……」カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ 京太郎「すげぇ連射!?」 白望「……」きょろきょろ 塞「?」 白望「……」がさごそがさごそ 豊音「カバンを弄りだしたんだよー!」 京太郎「あれ? あれは俺のカバンじゃ……?」 白望「……」さっ 久「今何かポケットに入れたわね?」 京太郎「俺のタオル? というか小瀬川さんのポケットからはみ出してます」 白望「……」すぅーはぁーすぅーはぁー 胡桃「カバンに頭を突っ込んで匂いを!?」 白望「……zzzz」 豊音「そのまま寝ちゃったよぉぉぉぉ!?」 191 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 23 46 25.41 ID BpfJXkeio [5/7] 白望「すぴー」 久「これは面白いケースだわ」 京太郎「これってスイッチの効力なんですか?」 豊音「普段はこういうことしないよー」 塞「豹変」 胡桃「京太郎は私のブタ!」 京太郎「ぶひぃ!」 豊音「なんだか面白くなってきたよー」 久「盛り上がってきたわね」 京太郎「とは言っても、残っているのはエイスリンさんだけですよね? 豊音「どこに行っちゃったんだろー?」 がたんっ 京太郎「!?」 こそっ エイスリン「……ドウモ」 京太郎「……なんで机の下に?」 エイスリン「オドロカソウトオモッテ。デモ、タイミング……」 久「逃したってわけね」 エイスリン「……」コクコク 豊音「ちょーかわいいよー!」 塞「可愛い」 胡桃「天使」 エイスリン「アッ……うぅ」もじもじ 京太郎「これは……たまりませんねぇ」ごくり 久「ふふふ、どんどん機械を使いたくなってきたでしょ?」 京太郎「そりゃあ勿論」 193 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 23 51 03.84 ID BpfJXkeio [6/7] エイスリン「キカイ?」 京太郎「マシーンですよ! マッスィーン!」 エイスリン「??」 豊音「百聞は一見にしかずだよー」 久「そうよ。お見舞いしてやりなさい」 京太郎「分かりました! お覚悟を!」 エイスリン「マッテ、ドウイウコト?」 塞「実験」 胡桃「死にはしないよ」 豊音「モルモットだよー」 エイスリン「モルモット!?」びくっ 京太郎「エイスリンさん!」 エイスリン「ハイッ!」 京太郎「くらぇぇぇ!! ポチッとなぁぁぁぁ!!」 エイスリン「?!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 えいすりん・うぃっしゅあーと 213 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/29(土) 23 58 50.47 ID BpfJXkeio [7/7] 52 椅子 ぼふんっ エイスリン「……」 京太郎「何も変わりませんね?」 エイスリン「……」コク 久「いや、何か変化があるはずよ」 豊音「とは言っても?」 塞「特に何も」 胡桃「変化ある?」 エイスリン「……」ブンブンッ 豊音「八方塞がりだねー」 塞「うん」 豊音「取り敢えず立ち話もなんだし、みんな座ろうよー」 京太郎「そうですね。それじゃあエイスリンさん」 エイスリン「ウン。キョウモイッパイスワッテ」四つん這い 京太郎「よいしょっと」 エイスリン「んっ……ハァ」 久「え?」 豊音「相変わらずいい椅子だねー須賀君」 京太郎「そうですか? 確かにこの辺りが」しりさわさわ エイスリン「ひゃうっ! んくっ……」 京太郎「触り心地もいいんですよー」アハハ 胡桃「むっ! ブタの分際で椅子なんて贅沢!」 白望「……椅子」じぃー エイスリン「ハァ、ハァ……」 京太郎「んー、ここら辺もいいな」プニプニ エイスリン「んぁっ!?」びくんっ 京太郎「うわぁっ!?」 エイスリン「ゴ、ゴメンナサイ!」 京太郎「いえ。いきなりで驚きました?」 エイスリン「ウウン。スガクンノテ、ヤサシクテキモチイイ」 京太郎「ありがとうございます」さわさわ エイスリン「ハァハァ」 久「これやべぇ」 221 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 00 06 07.04 ID XRzTvvzco [1/14] 京太郎「やっぱりエイスリンさんは最高の椅子ですよ」 エイスリン「アリガトウ」 胡桃「なら、京太郎の上に私が座る!」 豊音「エイスリンさんが潰れちゃうよー!」わたわた 胡桃「くっ!」 白望「……さわさわ」 京太郎「あの? 小瀬川さん、それ椅子じゃなくて俺の尻ですよ?」 白望「知ってる」 京太郎「なんだ、知ってるのか。なら仕方ない……のか?」 塞「私も、触る」さわさわ 京太郎「だからそれ俺の尻です」 豊音「ちょっと興味あるよー」 胡桃「ブタァ!!」 久「カオスすぎねー」 がちゃっ トシ「こら、何を騒いでるのさ」 豊音「あっ、熊倉先生!」 トシ「おや、今日は千客万来かい?」 久「どうも、お世話になってます」 トシ「何やら面白い実験をしてるんだってね?」 京太郎「あんまり成果ないですけどね」アハハ トシ「それはよくないね、なんなら私も手伝うよ」 久「本当ですか?」 230 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 00 12 18.82 ID XRzTvvzco [2/14] 豊音「熊倉先生が動くよー!」 胡桃「!」 塞「不安」 白望「……」じぃー 京太郎「じゃあ、よろしくお願いします熊倉さん」 トシ「こちらこそよろしく」 熊倉さんにまで手伝ってもらえるなんて なんとか結果を出さなきゃな 久「(事件が起きなきゃいいけど)」 京太郎「よし、行きますよ!」 塞「頑張って」 京太郎「うぉぉぉ! ポチッとなぁぁぁ!」 トシ「疼くねぇ」にやり 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 からっぽのほし せかいをぜろからはじめよー 245 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 00 19 43.51 ID XRzTvvzco [3/14] 45 芸人 ぼふんっ トシ「……」 京太郎「どうですか? 何か変化あります?」 トシ「いいや、何も無いねぇ 京太郎「そうですかー。じゃあもう一回スイッチ押してみましょうか」 ぽちっ トシ「そう何度押しても……」 デデーン \トシ OUT/ トシ「え?」 ガラガラッ 豊音「……!?」 レジェンド仮面「……」すたたた 京太郎「だ、誰ですか!?」 久「これは!?」 レジェンド仮面「……」ぐいぐい トシ「ちょ、ちょっと! 急に何を!?」 レジェンド仮面「……!!」スッ トシ「お尻、やめっ! なっ!」 レジェンド仮面「レジェンドキック!」 パシィィィン トシ「アォォォォォ!!」 胡桃「熊倉先生ぇぇぇ!」 白望「うわぁ」 豊音「熊倉先生のお尻が変な赤毛の仮面の人に蹴られたよぉぉぉ!?」 京太郎「」 久「」 エイスリン「???」 252 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 00 27 19.34 ID XRzTvvzco [4/14] レジェンド仮面「……」すたすた ぴしゃっ トシ「ひぃっ……いたたたっ」 京太郎「だ、大丈夫ですか!?」 トシ「あ、ああ。なんとかね」 久「なんだったのかしら今の?」 豊音「スイッチの効果?」 久「さぁ、こんなの見たことないわ」 トシ「なんだっていいさ……あー、痛かった」 塞「お尻割れる」 トシ「ああ、四つに割れちゃうよ」 京太郎「え?」 トシ「ん?」 京太郎「四つに割れたら大変ですよ」 トシ「いや、それは……冗談で」 京太郎「あ、冗談か」 トシ「……」 京太郎「ふぅん……」ぽけー トシ「えと」 京太郎「お尻……うん」 トシ「ふっ、ふふっ」 デデーン \トシ OUT/ トシ「!?」 ガラッ はやりん仮面「……」すたすた 胡桃「別なのが来た!?」 豊音「今度はなんかキツそうな感じだよぉぉ!!?」 はやりん仮面「お仕置きだぞっ!」きゃるんっ トシ「ま、待って! 何を――」 はやりん仮面「えぇーいっ!」 ドガッ トシ「バァァァミヤァァァン!」 豊音「熊倉先生ぇぇぇぇ!!」 京太郎「」 久「」 261 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 00 35 26.86 ID XRzTvvzco [5/14] その後、熊倉さんは何かに呪われているかのように謎の襲撃を受けた デデーン \トシ OUT/ アラフォー仮面「アラサーだよっ!」げしっ トシ「きゃおらっ!?」 デデーン ぷんすこ仮面「ぷんすこっ!」べしっ トシ「」ガクッ \トシ OUT/ 京太郎「もうやめろぉ! 熊倉さんが何をしたっていうんだ!!」 トシ「す、須賀君……」 京太郎「熊倉さん! 大丈夫ですか!? 次は俺が守ります!」 トシ「……」フルフル 京太郎「なんでですか!? こんな痛い思いをして!」 トシ「違うんだ。これは痛い思いじゃないんだよ」 じゃあ、一体――!? トシ「……美味しい思い、さ」 京太郎「へ?」 トシ「ふふ、燃えてきたよ……この歳になって、こんなにも」メラメラ 京太郎「???」 その後、何かに目覚めた熊倉さんは芸人デビューした しかも年末の特番、笑ってはいけないプロ雀士24時にも出演し、人気を博すまでとなった 一体この人に何があったのか それは俺にも分からない ただ言えるのは―― 京太郎「このスイッチ、実はやばいんじゃね?」 久「今更遅い」 266 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 00 46 10.96 ID XRzTvvzco [6/14] 胡桃「京太郎のブタァ!!」 豊音「お金の切れ目が縁の切れ目だよー」 塞「京太郎、好き」 白望「……ふふっ京太郎を見るのはダルくない」 エイスリン「フグググッ……ガンバル!」 トシ「なんでやねんっ! うーん、これは違うねぇ」 京太郎「よくよく考えればこれ、おかしいよな」 久「気づいて貰えて嬉しいわ」 このスイッチを使えば、俺だって! 久「そうよ。これを使って須賀君、あなたはもっともっと活躍するの」 京太郎「部長、俺……!」 久「さぁ、宮守は終えた。次は――どうする?」 京太郎「……それは」ニィッ 宮守編 しゅーりょー! 282 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 00 56 57.95 ID XRzTvvzco [8/14] <阿知賀編> 京太郎「……とうとう来ましたね、奈良くんだり」 豊音「宮守は色々あったねー」 京太郎「なんかすみません姉帯さん、付き合わせちゃって」 今回の機械の起動実験 部長に代わってボディガードの姉帯さんが同伴してくれている 豊音「構わないよー。ちゃんとお金貰ってるからねー」 京太郎「ありがとうございます。すげぇ心強いです」 この機械で何があっても守ってくれるようにと 部長の気遣いで雇われた傭兵 京太郎「(これで恐れずに挑戦出来る!)」 豊音「頑張ってねー」 白望「……」コソコソ 京太郎「ん?」 豊音「どうかした?」 京太郎「いえ、知り合いが居たような?」 豊音「??」 気のせいかな それより、案内の人がそろそろ来るはずだけど ?「……」タッタッタッタッ 京太郎「あ、あの人は!?」 豊音「阿知賀の――!」 ↓2 どなた? 288 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 01 06 52.18 ID XRzTvvzco [9/14] 灼「お待たせしましたー」 京太郎「(なんか凄いTシャツ着た人が来た!)」 豊音「姉帯豊音だよー」 灼「鷺森灼です。えっと?」 京太郎「須賀京太郎です。よろしくお願いします、鷺森さん」 灼「あ、灼でいいよ。苗字は呼ばれなれてないから」 京太郎「そうですか。なら灼さんと」 灼「うん。それで、今日は――」 豊音「機械の実験で来たんだー」 灼「機械?」 京太郎「はい。この好感度変換ルーレットなんですけど」 灼「好感度変換ルーレット?」 京太郎「実はかくかくしかじかのまるまるちょっちょで」 灼「(うさんくさっ)」 京太郎「その目は信じてませんね?」 灼「うっ」 京太郎「それなら、身を持って試してみます?」 灼「えっ? 私!?」 京太郎「そうですよ。女は度胸! なんでも試してみるもんですよ」 灼「うーん? そうかな」 よし、押しに弱いなこの人 こんまま好感度を変えて、ひゃっほらほいしちまおう! 京太郎「それじゃあやりますよ」 豊音「ゴーゴー!」 灼「お、お願いします」 京太郎「うぉぉぉお! ポチッとなぁぁぁ!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 あらたそ ハルちゃんの元に戻れると思うなよ!! 301 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 01 15 51.84 ID XRzTvvzco [10/14] 37 お姫様 ぼふんっ 灼「あれ?」 京太郎「灼姫、いかがなされました?」 灼「ううんなんでもない」 京太郎「何かあればなんなりとお申し付けください。俺は姫の為なら例え火の中水の中!」 灼「ありがとう。でも、その姫ってのは……//」モジッ 京太郎「姫は姫ですから。命に代えてもお守りします」ニッ 灼「……でも、私はただの男女としての方が」ぼそっ 京太郎「姫! いけません! 俺とアナタは身分が違いすぎる!」 灼「何も違わなくない! 今の私はただの……ボーリング屋の孫娘だから」 京太郎「しかしそれは世を忍ぶ仮の!!」 灼「京太郎!!」 京太郎「……姫様、戯れはおやめください」 灼「っ! ……ごめんね」 豊音「ロマンスだよぉぉぉ! ちょー感動だよぉぉ!」 ?「……?」 灼「あっ!」 京太郎「しまった! 姫のことを聞かれては生かして返すわけには!」 ?「ええっ!?」 灼「京太郎、ダメ! その人は!!」 ↓2 その人は? 315 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 01 28 57.68 ID XRzTvvzco [11/14] 灼「その人は大丈夫だから!」 京太郎「!? では、この方が例の!?」 晴絵「何やってるの灼? 遅いから車で迎えに来たわよ」 灼「ありがとうハルちゃん。えっと、こっちの人が……」 豊音「姉帯豊音です」 晴絵「私は赤土晴絵。アナタのことは知ってるよ。全国、頑張ってたね」 豊音「えへへ、照れるよー」 晴絵「それでこっちが――」 京太郎「姫に仕える須賀京太郎です。今は故あって二人の方に仕えてはいますが……」 晴絵「うん。灼の家が没落して――君も大変だったんだね」 京太郎「はい。しかし、忠誠の心は今も変わりません」 灼「……//」カァァ 晴絵「ふーん? いい事言うね」 京太郎「当然のことです」 豊音「そうだ。須賀君、早速だけどアレやっちゃおうよ」 京太郎「あ、忘れてました」 赤土さんにもこの機械を使わないとな 晴絵「なにそれ?」 京太郎「やれば分かりますよ」 灼「京太郎?」 京太郎「すみません、姫。やります!」 姫の前でこんなことしたくないが…… 京太郎「全ては大義の為!!」 晴絵「この気配!? 小鍛冶さんと――同じ!?」 京太郎「うぉぉぉ! ポチッとなぁぁあ!!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 これが本日ラストです レジェンドとなれ! 336 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 01 40 35.44 ID XRzTvvzco [12/14] 45 芸人 ぼふんっ 晴絵「……!」 京太郎「あれ?」 何も変わらない……のか? 晴絵「何やってんのか分からないけど、早く行くよ」 京太郎「あ、はい」 スタスタ 京太郎「(やっぱり効いてないのかなぁ……)」 晴絵「……おっと、石か」よろっ ぽてっ 京太郎「あ、何か落としましたよ!」 なんだこれ? 仮面? どこかで見たような……? レジェンド仮面「」 京太郎「あっ」 豊音「これって……」 晴絵「……ふふ、どうかした?」 京太郎「あ、いや! なんでもないです!」ブンブンッ 晴絵「そう? 残念ね、気づいたら……レジェンドキックだったのに」ボソッ 京太郎「」がくがくがく 白望「……」タタタッ ゲシッ 晴絵「ワーオ!」ズシャッ 灼「あぁぁぁっ! ハルちゃんが突然コケて頭がドブにハマりそうになってる!?」 晴絵「と、ここでレジェンドジャンプ!」 豊音「でも、地面を蹴って空中で回転して回避したよー!」 晴絵「レジェンド着地っ!」 ズボォォォォッ! 灼・豊音「でも足からドブにはまっていったぁぁぁぁ!」 晴絵「ふぅ……ちょっとだけ、汚レジェンド」 京太郎「……」じー 晴絵「……」じー 京太郎「あの、生きてて恥ずかしくないんですか?」 晴絵「」 京太郎「……」 晴絵「」 灼「ハルちゃんェ……」 346 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 01 51 34.37 ID XRzTvvzco [13/14] 晴絵「……あのね。須賀君」 京太郎「はい」 晴絵「この歳になってくると、身を汚してでも笑いを取らないといけないの」 京太郎「そうなんですか」 晴絵「だからね、これはちょっとした人生のスパイスってとこかな?」 京太郎「へぇ」 晴絵「大人になると君も分かる時が来るから」 京太郎「……一ついいですか?」 晴絵「はい」 京太郎「辛いことがあったら、なんでも相談に乗りますよ」 晴絵「」 京太郎「だから、そんなに張り詰めないでください」 晴絵「」プルプルプルプル 灼「京太郎やめて! ハルちゃん泣いちゃう! 泣いちゃうから!」 豊音「多分だけど男の人にこんなに優しくしてもらったこと無いんだよー!」 京太郎「綺麗なんですから、そんなに自分を汚さないでください。どうぞ、手を」スッ 晴絵「あ、ありがっ……」グイッ 白望「……」タタタタッ ゲシッ! 京太郎「あっ! 手が!?」ツルッ 晴絵「スパーキンッ!」 ドボォォォォ! 灼・豊音「突然手が離れたせいで今度は体ごとドブにハマったぁぁぁぁ!!」 晴絵「うぅぅ……何こレジェンドぉ……」 京太郎「見事にはまってますね」 晴絵「……」 京太郎「赤土さん?」 晴絵「私のこの姿――」 ざわっ 晴絵「まさに、ハマり役? みたいなー? うまい! 一万棒持ってきて!」 京太郎「……」 灼「……」 豊音「……」 晴絵「あ、あはは……」 京太郎「あの、赤土さん」 晴絵「は、はいっ!」びくっ 京太郎「いいからもう、帰レジェンド」 晴絵「」 386 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 23 17 29.18 ID EZqFBhhho [1/6] <前回のおさらい> 穏乃「今回私達の出番なんだって!」 憧「嫌な予感しかしないんだけど」 宥「前回までの流れをVTRでおさらいしちゃおっか」 玄「好感度変換ルーレットごとき! 私達の敵じゃないよ!」 ぽちっ シロ「……京太郎が欲しい」 ストーカー エイスリン「フグググ!」 椅子 トシ「アォォォォッ!」 芸人 灼「また、あの日のように……」 お姫様 穏乃「割と普通?」 宥「これなら私達でも……」 憧「ま、こんなもんでしょ」 玄「あ、次は赤土せんせ……」 晴絵「レジェンドォーン!」 芸人 京太郎「うわぁ!? やめてください!」 晴絵「うるさい! こうだぞっ!」 ブチュゥゥゥ 京太郎「ぎゃああああ!?」 灼「ハルちゃぁぁん!」 豊音「……少し、頭冷やそっかー」じゃきんっ 晴絵「え? ちょ、そのバカでかい銃はMK……」 バララララッ! <ただいま、映像が乱れております。 復旧まで少々お待ちください> 憧「」 穏乃「」 宥「」 / / ... / ′ / . . ..... ./. / ! . . .i ..! . ..... { . . . . . ハ /. /.〃/ ...../ ′'. | i . . . . | i _{__| .| . . .i | . .../  ̄`ヽ/ ふ ' // ′ /斗 十 | . . . . . . }}ハ ハ { ≧ト| / な な な ぅ {// { /|i 八 {=从 { i N孑弐{ミト∨ | ′ る. る .る (. i 从 {イァ う{ミト爪ト . ! ん) ハヽト、 { | ほ ほ ほ ). |. | \《 { } ヽ\{ { リ | ヽ! ど ど ど む. | ! |ハト.乂__ノ ー ' | < | 八 | | i /i, , , /i/ , } }i 人 __ ノ\ (__) l . i. / 厂「{ { ` ー― ´ / { | V 入 { ̄`ソ }/} }/ l.| | { |人 ∨ >... ` . ィ升| / 八 { 阿知賀崩壊のお知らせ……になるといいなぁ 390 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 23 25 51.29 ID EZqFBhhho [2/6] <あちが> 京太郎「……酷い目にあった」げっそり 豊音「守るのが遅れてごめんだよー」 京太郎「いえ、気にしてませんから」 灼「……ハルちゃん」 晴絵「」ぴくぴく 白望「……ん」ツンツン 晴絵「おふっ」 京太郎「運転手が伸びちゃったんで、どうします? 歩きますか?」 豊音「私が運転するよー」 京太郎「あれ? 運転出来るんですか?」 豊音「私が運転出来ないのは旅客機だけだねー。戦車から潜水艦までは一通りできるよー」 京太郎「傭兵すげぇ」 ということで移動! 京太郎「着いた! 早い!」 灼「ここが阿知賀女子。京太郎は男子なんだから、目立たないように」 京太郎「(姫様に悪いが、女子高ってだけでテンション上がってきた!)」 豊音「暴走ヤダよー?」ゴゴゴ 京太郎「気をつけます」 灼「誰か迎えに来てるかな……?」 ?「あっ!」 京太郎「お? この人は――」 ↓2 だれーん? 395 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 23 32 53.71 ID EZqFBhhho [3/6] 京太郎「(確か大将の……高鴨だっけ?)」 穏乃「灼さん! 着いたんですね」 灼「穏乃、こちらが岩手の姉帯さんで……こっちの人が」 穏乃「清澄の須賀京太郎君、だよね?」 京太郎「あれ? 会ったことあったっけ?」 穏乃「ううん、見かけたことがあるんだ! 大会でよく和と一緒に居たでしょ?」 京太郎「ああ。それはアイツがよくコケそうになるから……つーかあの格好で大会出るんだもん」 豊音「ちょーかっこいい騎士だったよー」 京太郎「改めて俺は須賀京太郎。よろしくな高鴨」 穏乃「よろしく!」 元気だなぁ、っていうかすげぇ格好 これ、下に何か穿いてるのか? いや、はいてないだろこれ 穏乃「?」 京太郎「(こんなけしからん格好の奴には――この機械を使ってやる)」スッ 灼「京太郎! いきなりはちょっと!」 京太郎「大丈夫ですよ。赤土さんの悲劇はそうそう起こらないですって!」 穏乃「どういうことですか?」 豊音「その内わかるよー」 京太郎「じゃあ行くぜ! そりゃ! ポチッとなぁぁぁ!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29ラッパー 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60手袋 61マフラー 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72財布 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 本日一発目 イきます! 412 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 23 42 03.99 ID EZqFBhhho [4/6] 93 ヒーロー ぼふんっ 穏乃「……?」 京太郎「あれ、何も変化無い?」 豊音「ううん、少し変わってるよー」 京太郎「え?」 豊音「高鴨さんの腰に何かベルトが付いてる」 穏乃「あっ! 本当だ! なんだろこれ!?」 灼「ベルト?」 きゃー! わー! 京太郎「ん? 騒がしいな?」 灼「あ、あれ見て!」 妖怪アラフォー「うあぁぁぁぁ! 」ダダダッ 京太郎「うわ!? なんか変態が襲ってきた!?」 豊音「守るよー!」サッ 妖怪アラフォー「ふんっ!」 豊音「!? 出来る!?」 京太郎「そんな厚化粧の化物に勝てるわけありませんよ!」 豊音「くっ! こんな人の多い場所じゃ重火器が使えないよー!」 妖怪アラフォー「若い男ぉぉぉ!」 京太郎「う、うわぁぁ!?」 灼「京太郎!」 豊音「逃げて!」 ダメだ、避けきれない! 性的に喰われる!? 穏乃「危ないっ!」 妖怪アラフォー「!?」ずしゃっ 京太郎「高鴨!?」 穏乃「もう行き遅れの為に……誰かが傷つくのを見たくない!」バッ シュゥゥゥウン 穏乃「だから見ていて! 私の変身!」 ギュインギュインギュインギュイン! 穏乃「変っ身!!」 バシュゥゥゥン 京太郎「」 420 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 23 48 54.07 ID EZqFBhhho [5/6] 穏乃「じゃーん!! 変身したよ!」 京太郎「いや、あんま変わってないけど」 穏乃「山パンチっ!」 妖怪アラフォー「ぎゃー」 京太郎「強っ!?」 妖怪アラフォー「」ちーん 穏乃「正義は勝つ!!」 京太郎「おーかっけー! やるな高鴨」ぱちぱち 穏乃「えへへ、照れるなぁ」 豊音「マモレナカッタ……」 灼「(蚊帳の外っぽくてさびし……)」 ぽんっ 穏乃「あ、戻った」 京太郎「ちょっとジャージの裾が短くなってたくらいじゃないか?」 穏乃「角生えてたよ! 角!」 京太郎「そこ重要なんだ」 白望「むー」こそこそ 京太郎「なんにしても助かったよ。お前は俺のヒーローだ」 穏乃「またいつでも守ってあげるよ!」 たたたっ ?「大丈夫!? 凄い騒ぎが……」 灼「あ、心配して来てくれたんだ」 京太郎「この人は?!」 ↓2 どなどなどなた? 434 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2014/11/30(日) 23 56 38.95 ID EZqFBhhho [6/6] 玄「あれ? 賑やかだね」 京太郎「(松実姉妹の妹! 松実玄さん!?)」 やはり――大きさ、形、どちらも申し分無い! なんて、素晴らしいものをお持ちなんだ!? 京太郎「……」ゴクッ 灼「京太郎?」 京太郎「あ、いえ! 別に姫のが小さくて貧相というわけではありません!」 灼「は?」 穏乃「玄さん! 実はあれがこれでそうなって」 玄「変身!? 見たい!」 穏乃「変身!」 玄「かっこいいー!」パチパチ 豊音「ちょっと今ぼっちだよー」 京太郎「忘れてませんよ姉帯さん」 豊音「疎外感って言葉大嫌いだよー」 玄「姉帯さん!? これは中々のおもちの気配!」キュピーン 豊音「おもち?」 玄「ほほう、これはこれは……」 京太郎「あの?」 玄「……?」 灼「この人が京太郎」 玄「あ、はい」 京太郎「反応うっすっ!?」
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2 名前: ◆4XWQy0d5Wa1A[saga] 投稿日:2015/07/01(水) 00 52 23.51 ID 8+4Sdcywo [2/28] 京太郎スレ 安価コンマ 一部原作設定改変 Q:これどんなスレ? A:京太郎が親の再婚によってこれから義理の姉(もしくは妹)となる咲キャラと三日間を過ごすスレ